3月7日(火)の第2試合、南2局1本場。
渋谷ABEMAS・松本吉弘は思いあぐねていた。
残りツモは1回で自身でも切っているため、テンパイを取ってもアガリはほぼない手牌だ。
だがこのときトップ目のEX風林火山・松ヶ瀬隆弥以外は17600点~16300点と非常に競っており、
テンパイ料が軽視できない状況だった。
対面の東家、TEAM雷電・萩原聖人が2フーロしてテンパイ。
萩原に対してを通せるのか。松本の懸念はそれ一点である。
そして大長考の末、松本はを切った。
倒される、萩原の手牌。
5800と決して安くはない放銃である。
このとき松本の打ち込みを批難するコメントも散見された。
だがこの待ち──、これをアガるために、萩原がどれだけ苦心していたかを汲んだ視聴者は少なかったと思う。
実際私も当初は萩原の手順の意図をはかりかねていた。
萩原の辿った軌道はこうだ。
萩原はまずこのカンチー。
この仕掛け、出ていくのはしかないのではないだろうか。
ところが萩原が切ったのは。
これは、かがコーツになってのテンパイを逃す格好になる。
オタ風のポンはかなり待ちが限定されやすいので避けたいが、自力で引くことだってある。
何よりものポンテンが取れないのは、惜しくはないだろうか。
しかしそれらの裏目を見切って、萩原はの先打ちをした。
もツモ切り。
そして待望のが出てポン、打である。
おそらく多くの人はここで出ていくのがになって、同じ待ちであろう。
だがここからの萩原の打牌で、先打ちの真意が氷解していく。
次巡のツモがドラの。
実際安全度を考えれば、ここはと入れ替えた方がいい。
は場に3枚目、でテンパイしている者もいない。
は生牌で、ポンされて困るのは当然だ。
しかし萩原はツモ切り。打点は変わらないが、敢えて勝負のツモ切りを選択している。
も、と入れ替えることなどはせずツモ切り。
ではもう一度、松本の視点で萩原の河を見てみよう。
この捨て牌。
萩原の手牌は待ちというよりは──、ソーズのホンイツの方が強く匂わないだろうか?
もしも9巡目のカンチー出しのが、であり、
12巡目のポン出しのが、であり、
13巡目のドラがとのスライドであったなら──、
河の印象は全く違う。
マンズ待ちもかなり読み筋に入ったはずだ。
これが待ちなら、最初に打をしてに固定していることが、効率的に妙だ。
(松本目線でも + メンツ + + + になる)
加えて松本はが3枚見えでもワンチャンス、
も萩原がリャンメン固定した後に3枚見えと、を切りたくなる状況は揃い過ぎている。
放銃はしたが、あって。まさかとも思わなかったのではないだろうか。