今日も元気に高打点! 茅森早香、Mリーグでも群を抜く平均打点の高さの理由とは【Mリーグ2021観戦記2/3】担当記者:東川亮

今日も元気に高打点!
茅森早香
Mリーグでも群を抜く
平均打点の高さの理由とは

文・東川亮【月曜・木曜担当ライター】2022年2月3日

大和証券Mリーグ、2月3日の試合では、最高位戦日本プロ麻雀協会の現最高位・鈴木優プロが初めて解説を務めた。来シーズンのMリーグがどのような形で行われるかはまだ未定だが、もし新たなMリーガーが誕生するとするならば、有力候補の一人であることは間違いないだろう。初解説でかなり緊張していたとのことだが、柔らかい語り口と的確な状況の分析は、多くの視聴者に好評だったようだ。

初戦を制したのは、久しぶりの登場となった渋谷ABEMAS日向藍子。彼女も最高位戦所属の麻雀プロである。最高位が来ていたから・・・というのはおそらく関係ないにせよ、ここでトップを取ったのは、いろいろな意味でうれしさがあったはずだ。

2戦目では最高位戦から、セガサミーフェニックス茅森早香が登場。日向以上に解説がどうとかは気にしないタイプに思える彼女は、この日もいつものように、リーグ唯一の平均打点8000点台という打点力の高さを遺憾なく発揮した。

第2回戦
東家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
南家:本田朋広TEAM雷電
西家:茅森早香セガサミーフェニックス
北家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)

東1局、先制リーチは茅森、【1ソウ】【5ソウ】シャンポン待ち。リーチ赤赤でここも打点が見える。待ち取りはカン【6ソウ】との選択だったが、【9ソウ】を2人が1段目に切っており、持たれていそうな【6ソウ】よりも端にかかった【1ソウ】待ちの方がいいと読んだか。

実際には【6ソウ】の方が山に残った枚数は多く、自身でも引いてきてしまうが、ドラを暗刻にして前に出た堀から【1ソウ】が打たれ、5200のアガリ。幸先良く先制を決める。

次局の茅森。配牌で1メンツはあるが、それ以外は決していいとは言えない。

しかしこれが面白いもので、8巡目にはタンヤオテンパイ。ただ、もちろんこれでリーチはせず。現状ではタンヤオのみのカン【3ソウ】待ちと、打点も待ちも不満だが・・・

ピンフと高目三色で一気に3翻アップの可能性が広がる【5ソウ】引き。この手を安目タンヤオピンフで留めるのは惜しすぎる。ここは当然のリーチだ。

安目ながら一発でツモって裏ドラ1枚、3000-6000。やはり茅森がアガるときはだいたい高い。

南1局
この局は本田が【發】を仕掛けてカン【2ソウ】待ちテンパイを入れていたが、そこに茅森が追い付く。ドラの【1ソウ】単騎、本田が【發】を加カンしていて新ドラも乗り、アガれば満貫が確定。打点派ならここはリーチか・・・と思いきや、役なしダマテンに構える。

13巡目、【6ピン】引きで手変わりの選択。ドラの1sを切れば【3ピン】【6ピン】【9ピン】待ちの役ありテンパイだ。ただ、ドラで当たるケースも十分にあり得る。

茅森はじっと場を見据え・・・

ドラ切りリーチを選択。トップ目からの果敢なアタックだ。この場面について茅森は、「ドラで打ったら高いのは承知しているが、自分の手がいいし、ここで放銃してもまだ勝負になるので行った」と振り返っている。

これをツモって裏も1枚乗り、この試合2度目の3000-6000。この一撃が決め手となり、茅森はこの試合で見事な勝利を収めた。

この日の茅森は、3度のリーチを全てアガリに結びつける決定力の高さが光った。ただ、この日の対局を見て分かるように、茅森はひたすらリーチをかけまくっているわけではなく、打点と待ちをしっかりと作った上で勝算のあるリーチを打ち、アガリに結びつけているのが分かる。

また、この試合では茅森の守備意識も光った。南2局では、ピンフ赤のテンパイをダマテン、静かに本田の親を蹴りにいく。

しかしこれがなかなかアガれず、【白】をポンした親の本田が【3ソウ】【6ソウ】【1ソウ】待ちで追い付く。本田としては、絶対に連荘したいところ。

アガれないまま終盤になり、茅森が本田のロン牌【6ソウ】をつかんでしまう。

少し考え、茅森は【1ピン】を抜いた。自身がテンパイとはいえなかなかアガれないということで、全体的に危ない【6ソウ】を止めた形だが、これが止まらない打ち手も多いのではないだろうか。

それと、道中の手組みで興味深かった2局も取り上げてみたい。東4局では、この形から第1打に【3ピン】を切り出している。ハッキリ言って手はよくないが、かなり進行を限定するように見える一打。

チートイツホンイツか、という構想で不要なピンズソーズを払い、マンズが厚くなったところで【7ソウ】のトイツ落としでホンイツへ。守備力を担保しつつ、うまく高い手に仕上がれば、という進行だ。

さらに見ていて驚いたのが、南2局2本場、4巡目の【6ピン】ツモ切り。離れているが手の内には【5ピン】【7ピン】とあり、メンツが一つできたのだが、それをあっさり捨てたのだ。ツモってから切るまでは1秒ちょっと。ほぼノータイムと言っていい。

確かに、この手でピンズの1メンツを残したところで、現状ドラも役もなく、高い手にはなりにくい。そしてこの形では、他者に先んじて納得のテンパイにたどり着くのも難しいだろう。それなら無駄を省き、ホンイツチートイツなどで高く仕上がったときだけ勝負しよう、という構想だったと思われる。とはいえ、せっかくのメンツをこの巡目で未練なくスパッと見切るのはなかなかできることではない。

この試合では茅森の攻撃力もさることながら、手がよくないときに守備的に構えつつ高打点のルートだけは残すという、メリハリの効いた進行が印象的だった。攻めるときも守るときも中途半端はなし、攻めるときにしっかりと焦点を絞って高打点を決めにいくところが、茅森の平均打点の高さの理由と言えるのではないだろうか。

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