瑞原明奈、
2年連続MVPへの道程
文・ZERO / 沖中祐也
瑞原さんの本を読んだ。
麻雀プロの戦術本を、コラムが楽しみで読んでいる人は多いかもしれない。
かくいう私も「もう少しでコラムだから麻雀部分を頑張って読もう!」とモチベーションにしているクチだ。
本書は全部がコラムである。
Mリーグでの苦悩だったり、喜びだったり、これまで明かしてこなかった家族のことだったり… を瑞原さんがかっこつけず、等身大のまま書いてある。
そう、彼女はいつも等身大なのだ。
瑞原さんの麻雀のストロングポイントも「等身大」にある。私はそう思っている。
10/17 第1試合
今季のPiratesの船出は順風満帆と言えるものではなかった。
Mリーグの舞台に慣れさせようと、新人である優・仲林を多めに起用するも苦戦が続き、8戦してトップがない。
そんな中、9戦目に送り出されたのが瑞原である。
この半荘の瑞原のキレ味に誰もが唸った。
瑞原はこのを切らずにを切った。
たしかに親・滝沢(下家)がダブをポンしている。
とはいえ、滝沢はまだテンパイしてるかは分からず、打点も不明。こんな端牌をいちいち止めていたら麻雀にならない。
それでも瑞原はを止めたのだ。
この時、は滝沢の当たり牌。もし切っていたら、ダブ・ドラ2の12000の放銃となっていた。
このビタ止めに解説も実況も視聴者も唸った。
もちろん瑞原もが当たり牌だと読めていたわけではない。
瑞原はインタビューでを止めた理由をこう語る。
・赤入り麻雀においてのダブポンは簡単にマンガンができる。
・滝沢がと切っていて、テンパイかわからないがテンパイでもおかしくはない。
一呼吸おき、「そしてこれが一番大事なのですが」と前置きした上で
・自分の手牌がドラもなく、価値の低い手牌だから放銃だけは避けたかった。
と説明した。
南3局も凄かった。
松ヶ瀬のリーチを受け、でテンパイしていた瑞原はドラのを持ってきた場面。
瑞原はここで…
プリっとを勝負。
続いて持ってきたのが
。一発でドラマタギのを切ったくらいだからも押すだろう。そう思って見ていたら、瑞原はこの場面を楽しんでいるかのように不敵な笑みを浮かべていた。
そしてを切らずに現物のを対子で落としたのだ。
上の画像の松ヶ瀬の待ち表示を刮目して見てほしい。
なんとは当たり牌だったのだ!
とでは放銃率もさることながら、危険牌吸収効率が違うとの判断だろう。
松ヶ瀬の捨て牌を見てみると、周りはしか切れていない。
つまりを残すことで、危険牌であるをツモってきた際に、それを吸収しながらテンパイを組み直せるのだ。
こうして4者が20000点台に集合したオーラス
瑞原はホンイツをアガリ切り、Piratesに初トップを持ち帰ることに成功。
言うまでもなく、とのビタ止めによって好位につけていたのが勝因である。
序盤のPiratesの話題は新人2人に集まりがちだったが、こうして瑞原は静かに好スタートを切ったのだった。
当たり牌を止めるだけではない。
私が一番印象に残っている選択がある。