ギリギリ崖の上を行くように【Mリーグ2023-24観戦記 10/17】担当記者 越野智紀

ギリギリ崖の上を行くように

文・越野智紀【火曜担当ライター】2023年10月17日

第2回戦

東家：堀慎吾（KADOKAWAサクラナイツ）
南家：松ヶ瀬隆弥（EX風林火山）
西家：日向藍子（渋谷ABEMAS）
北家：園田賢（赤坂ドリブンズ）

引き出しの多さに定評のある園田選手。

いきなりを仕掛けてドラのを切りました。
の切り出しでのカンチーは他家からはホンイツには見えず、最大でもタンヤオ三色赤赤といった見た目の仕掛け。
これだと放銃してもだいたい軽傷ですみそうな雰囲気になり、特にを持っている人は何も恐れず攻め返してきそうです。
さらにこの手をタンヤオで仕上げるには、の部分で二面子を作ったり、カンとのくっつきを見たり、をコーツにしてのやのくっつきなど。どれも癖のある形が残っています。
相手の足を止められそうになく、自分の手を進めるのも大変な仕掛け。
このような形から鳴き慣れていない僕なんかは労多くして功少なしと思ってしまい、鳴かずに楽するほうを選びがちですが

一打目のから松ヶ瀬選手の所持率が上がっていると考えて積極的なチー。
少ない功すら逃すまいと、難易度の高い世界線へと元気に飛び込んでいきました。
「安全牌を残しすぎてテンパイやアガリを逃すより、ギリギリ手詰まって一生懸命降りるぐらいが丁度いいバランス」と常々話している園田選手。
さっそくギリギリを突くような攻めを見せてきました。

この園田選手の仕掛けに対して最初に反撃したのが日向選手。

オタ風のとを仕掛けてホンイツ模様です。

もう一方で日向選手の手を萬子のホンイツ本線と読んでいた堀選手は

余ったを見て、もう先に処理といった状況ではないことを把握。
を打たず受け気味に手を進めていきましたが

と極上の牌を引き続けて動きが止まります。
イーシャンテンまで辿り着き、ここから鳴いて勝負するかを先に決めておく必要がありました。

は仕掛けて前に出る覚悟を決めてを切った堀選手。

それから１枚切れのもツモ切り臨戦態勢に入っていましたが

松ヶ瀬選手のリーチ宣言牌のを日向選手がロン。
のシャンポン待ちで満貫のアガリとなりました。

堀選手は自身の手に浮いていたと日向選手のアガリ形を確認すると

「これはイケル」
さっきまで感じていた不安や恐怖は去り、それ以上に自分を支配する感覚。この半荘への手応え。
それは高揚、今までに感じたことのない高まりでした。

麻雀のリアルが支配する
隔絶された世界
この世界に、彼はいた
堀慎吾
彼は確かにそこにいた

次回、ホーリーシンゴ第２話「ちょっとラスしか引けない半荘でした」

堀選手の次の試合に御期待ください。

そんなわけで堀選手の予感はハズレ、全員にかわされていくのですが

まずは松ヶ瀬選手。

満貫放銃の失点後に園田選手との２軒リーチにも敗れ、追い打ちをかけるかのような酷すぎる配牌。
下の三色と国士無双の５シャンテンという、親じゃなくて良かったとしか言えないような悲惨な仕打ちを受けましたが