「5%の敗北」さえも
拒絶する。
小林剛、再戴冠に向けた
二度のリーチと
三度のドラ切り。
文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2024年5月14日
第2試合
東家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
西家:勝又健志(EX風林火山)
北家:小林剛(U-NEXT Pirates)
事実上の天王山だった、と言っていいだろう。
本日火曜日一戦目を終えてのポイントランキングはこちら。
ファイナル残り5戦で、各チームパイレーツとの差は300少々。
この二戦目でトップを取ったチームがパイレーツ挑戦への足掛かりを得て、残り2チームはいよいよ2位3位争いにシフトすることになる。そういう局面まで遂に来た。
最早パイレーツの優勝確率は90%を超えているだろう。2位争いが熾烈になることを考えれば95%を超えているかもしれない。
三人合わせてたかが5%、されど5%。最後のチャンスになるかもしれないその上振れを掴むための戦い。
受けて立つのは二度目のシャーレ掲揚を目前にした小林剛。
【東2局1本場】、5200・一人聴牌と加点を重ねてきた園田から3巡にして親リーチが入る。
相手は目下のライバルでもあるドリブンズ、しかも対親リーチとあっては……
この聴牌をどうするか。逃げるものゆえの悩みどころである。
極端な話、この先全部親の先制に対してだけは降りるという打ち方を徹底しても展開で勝てそうなくらいのリードではある。
今回もまだ東2局、一番の狙い目のが一枚切れで残り一枚というのも嫌なポイント。
しかし小林はリーチに踏み切った。
この手を追っかけることが5%の敗北の可能性を上げているのか、下げているのか。
当然だが小林はロボットではない(いやまあロボットなんだけど)。
卓上で正確な計算ができていて、だからこれは当然のリーチ! というわけではないのだ。
こんなを掴まされれば……
思わず姿勢を正す。さしもの小林もヒヤッとする。
ロボだからではなく、自分の意思で選んだ勝負局。
小林の手に舞い降りたは……
余りに大きい、裏3の跳満として成就した。
肩を落とすのは追う3チーム。小林トップだけはなんとしても阻止しなければならない。
しかしこのポイント状況で点棒を持った小林の打ち方は当然変化する。
ここから先はダマテン直撃待ちのみならず、いよいよ見逃しまでケアする必要が出てくる逢魔が時。
放銃・見逃しリスクが少ない序盤にどこまで手を育てられるか。とにかくダマテンの効く役あり聴牌を目指す。
ここからドラのを切ったところなど、その最たる例と言えるだろう。
現状のアタマ候補であるドラをぶった切るという普段ならば常軌を逸した一打だ。
勝又の仕掛けへの先切り気味の対応であることは明白だが、とにかく中終盤に高打点への放銃をしないようにという意識が伝わってくるだろう。(とはいえ、インタビューではさすがにやりすぎたと語っていた)
ターツが決まればドラは不要と次局、次々局も序盤に切りだしていく。
いずれも鳴ける形が他家に入っていたため、結果的に小林は聴牌まで届かずに封殺されることとなった。
しかしそれでも放銃0、【南1局】では自身の手で躱す和了りを決めて……