(左から)
浅井堂岐 茅森早香 竹内元太 醍醐大 近藤誠一監督
©Mリーグ
【茅森早香】
「レギュラーシーズンで200以上マイナスしていて、セミファイナル・ファイナルと入って、ここで活躍しないと一応キャプテンとしてまずいなというところで、最後にいいトップが取れたかなとは思っています」
-例年以上に笑顔も見られました。
「みんなポジティブな人たちで、特にすごく盛り上がる元太がいて、それにつられている感じです」
-麻雀プロ25年で初めて涙したということですが、どの辺で来ましたか。
「みんなが泣いていたので(笑)。二人(醍醐・近藤)が抱き合ったんですよ。そこで醍醐さんが泣いていたので、もらい泣きです。でも、オーラスとかもやばかったです。それで2人を見た瞬間に、バーって感じです」
【醍醐大】
「僕自身だいぶ調子が良かったですし、比較的最初から個人的にもスタートダッシュが効いたので、麻雀の内容的にも自分が打ちたいように周りの目を気にせず打てたと思うので、それが良かったのかなと思います」
-優勝後の涙の理由は。
「終わって戻ろうと思ったらチームの全員が入ってきて、すごくテンションが上がって、それでほっとしてしまいました。あれでホッとして泣きました」
近藤
「人のせいにするよね(笑)」
元太
「かわいいとこあるよね」
-近藤監督の退任もあって、優勝までたどり着きました。
「元々誠一さんがいる間に絶対優勝しなければいけないと思っていて、それが今年いっぱいしかないということがこの前に分かって、それからは何をおいても優勝することを最優先に考えて対局なり行動なりしていました。なんとか夢が叶って、ホッとしています」
-来季の目標をお願いします。
「来季も、まずはファイナルまでは進みたいです。今年セミファイナル・ファイナルとポストシーズンを戦って、レギュラーシーズンと比べても楽しかったというか、目に見えた目標に向かってみんなで頑張る、という一体感みたいなものをすごく感じたので、また来年もそれを自分たちでできるように、あとはWingthのみなさんにも喜んでもらえるように、来年もファイナルで戦っているところはお見せしたいなと思います」
【竹内元太】
「ずっと楽しかったです。わーって騒いでいるだけでしたけどね、僕は(笑)。麻雀の部分では本当に、醍醐さんが同じチームにいなかったら、世間の人に流されていた可能性があるので、同じチームで良かったなって思っていますね。
僕も醍醐さんも結構そうなんですけど、割と変わった、AIとかから外れた選択をするので、一般の方からはよく思われない打牌が多かったりするんです。僕はメンタルが弱いので何回も流されそうになりましたけど、醍醐さんがいたからそこで踏みとどまれたかな、と思っています」
醍醐
「AIより弱いと思っているんだ、自分が」
-シーズンを楽しんでいる印象がありました。
「途中からは余裕も出てきて、とにかく楽しもうって感じでした。初めて会う方も結構多かったので」
【浅井堂岐】
「寿命が縮まりました(笑)。1戦目に出るときには決めに行こう、トップで決めてやる、醍醐さんを楽にさせるっていう感じで試合に臨みました。そのプランが崩れたときは黒沢さんをトップにすることを目標にしていたんですけど、ちょっと大振りした結果がうまくいかなかったというか、リーチが負けちゃったりとかして、苦しかったです。最後は『醍醐さんに任せた』みたいな思いでいたいつもりなんですけど、なかなか簡単に切り替えられなかったですね。『やっちまった!』みたいな。でも『醍醐さん頼む!』という感じでした」
-優勝が決まったときの気持ちは。
「初めて、人生でうれし泣きがしました。たぶん、初戦がラスじゃなかったら泣いていなかったと思うんで、いい体験ができたなと今は思います」
-1年目で、なかなか成績が出ないところもありましたが、個人としてはどういうシーズンでしたか。
「最初のほうは普通に戦えてて、年内はプラスだったんですけど、大三元を打った後に4ラスが一気にきて、あのときは試合に出るときに緊張しましたね。やれた部分もありますし、すごく下手だったと思う部分もいっぱいありますけど、みんなと練習して、来年度に向けて突き詰めていきたいと思います」
【近藤誠一監督】
「最高です。本当に7年間でいろいろなことがありましたしね。しかも自分がフェニックスを今年で去るというこのタイミングで優勝を見届けることができて、本当に幸せ者だと思います」
-退任のタイミングについては。
「体調が去年の夏頃から戻っている感じはしていて、年明けに最高位戦のリーグ戦を継続する発表をさせていただいて、その頃から『Mリーグはどうなんだろう』と自問自答していました。
ただ、レギュラーシーズンずっと3月まで続いていましたから、多少もやっとしながらもフェニックスの応援などに集中する形できて、レギュラーが終わったぐらいのタイミングで他のリーグ戦などもやってみて、『これは体調的にはいけるぞ』と思ったんですね。であればMリーグの選手に戻りたい、そのためには監督のままではより難しいだろう、ということが真っ先に出てきました。
それで4月に入ったぐらいに会社の方には相談をさせていただき、ある程度話をする中で、最終的には後ろ向きの退任ではない、しかも会社の方からも選手に戻って打っている姿を見たいと言っていただいて、退任を受け入れていただいた、という格好です。
あのタイミングの発表になったのは、時期としてはもちろん、個人的には来シーズンからの復帰を望みはしましたけれども、おおむねどのチームさんもあの時期はある程度目星をつけて、来年のチーム構成を決めたぐらいのタイミングだという認識を持っていましたので、個人的にはファイナルが終わった段階で発表するのが一番いいんじゃないかと思っていました。でも会社の方から、来シーズンのフェニックスのスポンサー契約の話が各企業さんごとに進んでいて、その時に『契約したはいいけれども監督辞めたの?』ということはさすがにちょっと言いづらいので、ちょっと早めのタイミングにしたいけどどうですか、と。それがちょうど、セミファイナルが終わった2日後にスポンサーさんたちのためのイベントがあったので、そこで発表することになりました。ファイナルが残っているのに、という声が出るのはちょっと心配でしたけれども、そこは話し方で大丈夫だろうということで、会社の方と私で合意してその日の発表にさせていただきました。
正直に言うと、セガサミーフェニックスを離れるのはとても寂しい思いはありますけれども、現状の規定では、戻るところがないんです。これはさすがに仕方がないと、断腸の思いで、たとえ別のチームでも選手復帰をしたい、ということです」
【質疑応答】
-敵として近藤誠一が立ちはだかったときにどう戦いますか。
茅森
「高打点のぶつかり合いで戦いたいと思います」
-優勝賞金5000万円でほしいものはありますか。
堂岐
「欲しいものはあまりないので、家族をいいご飯につれて行くとか・・・」
元太
「堂岐のおごりで焼肉行こうよ。今日ヒヤヒヤさせてくれたから(笑)」
堂岐
「焼肉代は出します(笑)」
茅森
「家族旅行にぱーっと行きたいですね」
元太
「僕はぱーっと使います。フェニックスのみんなや、最高位戦の後輩たちと遊びに行くとかもありますので、すぐなくなりますね、たぶん」
醍醐
「今日、優勝して、両親から連絡があったんです。うちの両親は麻雀を知らないですけど、すごく高いお店に連れて行って、優勝の報告をしたいと思います」
近藤
「新しいチームが決まったら、そこでぱーっと使います(笑)」
-醍醐選手は加入時から近藤監督を胴上げしたいとおっしゃっていて、それが実現した感想をうかがいたいのと、近藤監督には胴上げをされた感想を伺いたいです」
醍醐
「僕にとって近藤さんって、麻雀プロの中でも少し特別な存在で、尊敬している部分もありますし、セガサミーフェニックスに呼んでもらった恩もあります。ただ、体が悪かったのでいつまで監督を続けられるか分からないということで、誠一さんってセガサミーフェニックスの象徴みたいなところもありますので、監督としている間に絶対優勝して胴上げするところを、自分も恩返しの意味でしたいですし、Wingthのみなさんにも見せる義務があるなと思っていたので、それを達成できて本当にうれしいというか、目標を達成できたなと、ホッとしています」
近藤
「まず、こんなふうに言ってもらえて、すごくうれしく思います。胴上げ自体はやってもらいたいなと思う反面、ドキドキ感というか一抹の怖さがありました。身長の高さとか、どこでやるのかとかの問題もあって不安もあったんですけど、実際にやってもらったら屈強な人たちが、会社の方もみなさんが、何なら治紀社長(里見治紀・セガサミーホールディングス社長)も一緒にやってくださって、すごく安心して身を任せられました。人生で初めての胴上げでしたので、とても思い入れに残る、いい経験をさせていただきました」
-醍醐選手が2試合目に向かうときの気持ちを教えてください。
醍醐
「本音を言うと、ひょっとしたら1戦目で決まっちゃうかもな、という思いがありました。1戦目でああいう感じでまくられちゃって、カッコつける、じゃないですけど、堂岐がちょっと心配で『負けたら俺のせいだと思ってくれ』ぐらいな感じのニュアンスを伝えました。麻雀はなるようになるので、それは全然緊張していないつもりだったんですけど、やっている最中に親で36pを仲林さんからアガってからはかなり現実的な条件になったので、そこからは緊張しましたね。そこまではたぶん普通で、すごい意気込みがどうこうとかもなく、『堂岐の心配するぐらい、俺余裕があるんだな』って思っていました。
6pが出て、園田さんをまくれば大丈夫という状況、3000何百差でしたけど、それで緊張しましたね」
-東でオリたときは。
「アガったらトップの手が入ったら基本行くものなので行きたかったんですけど、麻雀的に言うと、仲林さんのリーチの一発目に打つのだけはちょっとこの7mは見合ってないなと思って、行きたかったんですけどやめましたね。仲林さんのリーチの一発目じゃなかったら、2軒リーチでも行ってました。
そこから7mを引いて、あの瞬間は『アガれる!』って思いましたね。7pってそもそも、あまり良くも悪くも思っていなかったので、あの7mを引いてテンパイできるときはアガれるイメージがあるので、7mでオリる前より『7p7p7p!』ってなりましたね」
-やっぱり、フェニックスは7mなんだなと。
近藤
「そうなんですよ。フェニックスの選手は、7mは引きたいときにいつでも引ける(笑)、そういう牌なんですよ」
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。