竹内元太の”気が付いたら”復活している不死鳥麻雀!【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 11/25 第1試合】担当記者 中野巧

竹内元太の”気が付いたら”
復活している不死鳥麻雀!

文・中野巧【火曜担当ライター】2025年11月25日

Mリーグを観ていて思うことがある。
「麻雀を1日1試合しかできないってストレスなんじゃないかなあ」ということだ。
なぜなら麻雀の大会は何試合かのトータルスコアで順位を競うため、「1回目は3着だったから次はこうしよう」ということができないからだ。

麻雀の大きいタイトル戦や最近行われた世界麻雀2025も1日に最低4試合程度行い、そのトータル成績でベスト32、16に勝ち上がれるかどうかを競う。各プロ団体のリーグ戦も1日4試合を月に1回ペースで、半年もしくは1年間のスコアで競う。だから連続登板をのぞき、基本は1日1試合のMリーグは特殊なのである。

またMリーグはチーム戦のため、今日出て明日も出て、また次も出てというわけにはいかない。ほかのチームメンバーも均等に登板するため、今日試合に出たら次の登板は来週なんてこともざらにある。その1試合で勝てればよいが、負けた場合はその悔しさや反省する機会は1週間以上先なのである。

このことから、1日1試合というのは一般の方からしたら「楽やん」と思うかもしれないが、打っている側はそうではない。特に麻雀は勝者が1名に対して敗者が3名生まれるゲームであるから、週単位でメンタルやストレスをコントロールする機会は増えるだろう。このままでは堀慎吾阿久津翔太の歩く距離がどんどん長くなり、膝などを悪くしないだろうかと心配している。

「まだまだ1/3じゃないですか、こんなの全然わからないっすよ」
昨年の優勝チーム、セガサミーフェニックスは現在9位、ポイントは▲253.3ptと苦戦を強いられている。しかし、竹内元太は軽く言い放つだろう。まだ全体の1/3が終わったばかり、これからの方が長いのだから、ポイント差は簡単にひっくり返るのだと。

実際に話すと、元太は少年のように笑いながら、冗談交じりの会話も多く、とてもフレンドリーな印象がある。特に覚えているのが、元太の飲み物が空になったときに、お手洗いにいって不在だった仲間のグラスを手に「これもらっちゃお」と笑いながら飲みだしたシーンだ。
「こんな自由で楽しそうな人おるんや」と一緒にいる自分までもが楽しくなったのを覚えている。

元太はその軽快なキャラクターは麻雀も同じく軽快であると相手に錯覚させるために演じているのでは、と思うほど正反対で重厚な麻雀を打つ。
元太に点棒を持たせてしまうと、もう何もさせてもらえないんじゃないか、という感覚すら覚える。それほど上にいくと落ちてこず、また場を安くするようなドラ切りや、相手が手を進めにくくなるような先打ちを駆使してくるからだ。

第1試合

東家:竹内元太セガサミーフェニックス
南家:日向藍子渋谷ABEMAS
西家:瀬戸熊直樹TEAM RAIDEN / 雷電)
北家:堀慎吾KADOKAWAサクラナイツ

東1局 瀬戸熊5巡目のチー

ここから瀬戸熊がカン【8マン】をチーしてテンパイ。1300点のリャンメン待ちだ。これには解説の土田浩翔も「おいおい本当かよ」といった感じで驚いていたし、8年間雷電ユニバースも「意外やな」と思った。今までの瀬戸熊なら、この手は伸びれば三暗刻もみえるため、急いでテンパイを取らなかっただろう。

しかし前述した元太の親を軽く流して、点数を稼ぐチャンスを奪うことは非常に効果的であるといえる。今年、瀬戸熊と同じ雷電の萩原聖人黒沢咲の麻雀が少し変わってきたと思ったが、ここで瀬戸熊も少し変えてきた。

結果は見事【赤5ピン】を引き、700.1300をツモ。ある日の萩原が8年目にして、今が一番チームとしていい感じ、というニュアンスの言葉通り瀬戸熊がチームのために自分のスタイルを変えたのだ。

 

東2局 元太8巡目にションパイのドラ【中】切り、その後カン【7ピン】を即リーチ

親を流された元太。この局の元太も今までとは少し違うように感じた。
まず1つめが、ドラを切る巡目である。元太は字牌のドラを切るのがほかのプレイヤーに比べ早かったが、今回は8巡目と普段よりも遅く切り出したのだ。
元太が字牌のドラを早く切るのは、いろいろ理由があると思うが、ひとつは鳴かれなかった場合、場を安くして自分の手の相対的価値を高めるということだ。

私の記憶では元太が赤を持っているとき、字牌のドラを切っているイメージがある。ドラを持たれていない場面では赤がある手の相対評価は高くなるからだ。
反対にドラが鳴かれたり、固まっていることが分かった場合は、そことはけんかをしない。なぜなら分が悪いから。このように元太は超合理的な麻雀のイメージである。

その元太が、1シャンテンから字牌のドラを8巡目に切った。それほど自分の手の価値が高いと感じたのだろうか。今でならもう少し早く切っていたようにも思えるが、この時瀬戸熊の手に【中】が1枚あるだけで、残り2枚は山だった。日向と堀に【中】を持っていないヒントがあったのだろうか。

その後、カン【7ピン】タンヤオ赤テンパイを即リーチ。
場に【7ピン】まわりの牌が切られておらず、山にいなさそうだが、実際は3枚残り。何が見えているのか。

結果、攻めた堀から出アガリで5200点の加点に。

 

南1局 元太親で追いかけリーチも先制していた瀬戸熊につかまる

瀬戸熊の先制リーチに対して、親の元太がリーチドラ1のリャンメンテンパイ。
ただ結果は瀬戸熊への3900点の放銃、【5ピン】なら8000点だったのが不幸中の幸いか。
元太が4着になるパターンはリーチのめくり合いでうちとるか、ほか3者がアガリ続けるしかない気がする。

 

南3局 瀬戸熊、山にない安いリーチで全員をおろす

10巡目に親の瀬戸熊が、2枚切られている【8マン】のリーチを打つ。点数もリーチのみで、非常に安い。

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