元KADOKAWAサクラナイツ「マムシの沢崎」こと沢崎誠。
Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン12/19
JETSvs麻雀格闘倶楽部vsABEMASvsPirates
今回は12月19日、麻雀LIVEチャンネルで配信された2試合を通して、「ツキ」について語ってくれた。
黒卓第1試合
⬛︎ 一馬が「ツキ」を手放した瞬間
東発、石井さんが親番で3本場積んだんだよね。石井さんは麻雀が上手、上手なんだけど、トップじゃない可能性がだいぶあるなと思ったのよ。
東1局3本場、リーチが入る前は234が見える一向聴だったんだよね。だけど2軒リーチになって、手を壊してる。それ見てて、寂しい麻雀するなと思ったね。
麻雀上手だから連(連対)は外れないけど、連チャンして、自分しかアガってないんだから、みんなが点数ないわけじゃない。持ち点が2万点以上離れてんのよ。そういうときにリーチに向かっていかないのかな、と僕は思う。ましてや一向聴だよ、二向聴とか三向聴ならわかるけど。別に打ってもいいじゃない。打ってもいいから親番維持するか、その手をアガリに行ったほうがいいと思う。石井さんはそこで降りて、連(連対)を取りにいく麻雀なわけ。僕だったらたぶん、トップ取れてたと思うよ。なぜなら、瑞原さんがあんなに吹かないもん。
僕だったら、あの試合は東1局で終わらせるよ、それくらいの気持ちでやんないと。親番で子どものリーチになんかオリる必要ないじゃない。ましてや一番態勢がいいんだから。持ってくる牌持ってくる牌で一発放銃とかしてるんじゃあオリた方がいいけど。点数持ってるんだよ?自分1人だけがアガってるんだよ?そこでオリてる親って信じられないもん。戦う姿勢じゃないじゃない。石井さんはその後、1回しか上がってないでしょ?止まっちゃったよね、勢いが。要はツキを(瑞原さんに)あげちゃったってことだよね。
⬛︎ 瑞原が「ツキ」を掴んだ瞬間
東3局1本場で、松本さんがリーチして、最後の巡目で瑞原さんの上家の石井さんが
を切ったのよ。その時に、瑞原さんはチーをすれば松本さんのハイテイをずらすことができたけど、瑞原さんはチーをしなかった。ずらさなかったから、松本さんにハイテイで2000-4000をアガられちゃうんだけど、それを見ててやっぱり、瑞原さんは格が上だよなと思うわけよ。
Mリーグで「喰わせる」とか「鳴く」とかいうけど。要はさ、鳴くやつって「パシリ」なんだよ、「使いっ走り」。
使われてるだけ。大将じゃないのよ、下っ端なの。
だから、僕はこれでいいと思うのよね。自分自体の態勢は悪くない。東1局から東3局まで、態勢が悪くないから動かないわけ。動いてないから落ちていかないんだなって僕は思うよ。解説が動かないどうのこうの言ってたけど、それはちょっと違うんだよね。他家を動かせるほうがいいわけよ、動かせる人だったら勝てるわけ。動いてる人は使いっ走りだから負けるわけ。
今日は、女王様と家来って感じに見えたかな。瑞原さんはさすがだなと思ったね。全体的に、自分のスタイルを貫いているというのがいいってことだよね。この試合は、石井さんと瑞原さんの2人のレースだった。
寿人は我慢しすぎだったね。上手に打つのはこいつには向かないのよ、無茶だよね。まっすぐ行って放銃してたから、僕はこれでいいと思う。スタイルが戻ってきて、これから後半戦に向けてもっと上げていけるんじゃないかな。寿人に関してはそう思う。松本さんは厳しかった、配牌みても厳しいし、遅い手だしね。
■1年目の人には特に厳しく言うよ
一番ついてたのは断トツで石井さんだったけど、ツキを落としちゃった。親番いらない、東3局で4万点超えてお腹いっぱいなりましたって、それは違うんじゃないのって、僕は思うな。
石井さんは今年が初めてだから本来の力を発揮できているかはわからないけど、今日の麻雀を見てるとちょっと寂しいな。勝って当たり前、それくらいのスキル持ってるんだし、そもそもMリーグに入れただけでもすごいツキなのに、そのツキをこんなふうに止めちゃうのはもったいないなって思った。もっと表現の仕方があるよなって思うわけ。
僕は1年目の人にはきつく言うよ。もっと伸びてほしいもん。もっと強くなってもっと上手くなってくれたら見てる人が楽しいもん。そういう意味できつく言うよ、僕はね。
黒卓第2試合
■『僕の麻雀はこうです』というものを見せてほしい
多井君はやっぱりしっかりしているね。Mリーガーではピカイチ、とは言わないけど上位の力はある。見ていて麻雀の内容がしっかりしているから、ゲームが変なふうに乱れない。
乱れないということでは、乱そうとして乱す人もいるわけよ、小林さんみたいにポンチーしてね。それはそれでいいし、それもひとつの芸で、僕はもともと小林さんと同じような麻雀を打っていたのよ。僕より鳴く人はいなかった。僕が鳴いたときは、いつも役がなかったし(笑)。僕はいろんな技を覚えようと思ってやってきたんだけど。
今回の試合を見ていて、三浦さんが東1局2局とはじめから仕掛けていったけど、苦しんでいるよね。チームに迷惑がかかっているし、数字を戻したいというのはあるだろうけど、あそこまでいったらなかなか戻らないからね。
でも、内容も悪くなっていた。1000点2000点はアガるけど、最後に大きい勝負になったときに、踏み込めないとか、踏み込む手前でやられちゃう。大きい、小さい関係なく、半荘に対してアガリ数はそんなにあるわけじゃない。まあ、2回くらいだよね、基本的には。Mリーグだと試合が終わった後に数字が出るけど、平均すれば2回ちょっとよ。それを2000点くらいアガって、「これで1回使っていいの?」って僕なんかは思うわけ。2回アガって30000点持っていていい位置にいると言ったって「その人はツキを使い終わったんじゃないの?2回もアガってそれしかないの?」って。じゃあやっつけてやろうかとなるわけよ。
そういう麻雀を見せられたんじゃ、視聴者としてはちょっとさびしいかなって思う。負けても勝ってもいいから、「僕の麻雀はこうです」っていうのを見せてほしいね。それはやってほしい。
■寿人は次は3着か4着
高宮さんは最後、見事だったね。寿人がなんか言ったんだって?「危ない牌はいかなくていい」とか何とか。寿人がそんなこと言っちゃダメだよ(笑)。『いらない牌切ってロンって言われてラス食ったら、俺がトップ取ってやる』くらい言わないと。
そうそう、寿人が今回ラスだったでしょ。次回は絶対連に絡まないから。3着か4着です。これはよくあるんだけど、2着が続いているときに、上がるか下がるかなのよ。上がるとトップが取りやすいけど、下がるとこれが悪いほうになるんだよね。だから寿人は出さないで、高宮を出したほうがいいね。2着が5回、6回続いたら、その後は本当に気を付けなくちゃいかない。もう、2着は渡さない、というくらいにしないと。2着からトップを目指す。それしか考えない。そうしないと勢いは来ないんだよ。そして下に下がると、次に急にトップっていうのはない。これは僕の経験上の予想だけどね。
⬛︎ 「普通の麻雀」とは
僕の言葉で「普通の麻雀ですよ」っていうことがあるのよ。それ聞いたアマチュアの人なんかは「え、あの麻雀が普通なの?」とか言われちゃうことがあるんだけど、僕が言う普通と、みんなが言う普通は違うから。普段はリーグで対戦してるメンバーたちと話しているし、みんな強くて上手くて当たり前だから。そう言う意味の普通ってことね。みんな一般の人から見たら相当強くて相当上手いよ。
でも、僕なんかは、それが普通って思わないと勉強しないから。ツキも力の内、それは確かにそうなんだけど、そういうことを含めていろんなこと勉強していかないと。そうじゃないと麻雀の世界終わっちゃうもん。

日本プロ麻雀連盟所属。
2019年、Mリーグに新規参入するKADOKAWAサクラナイツより指名を受けてMリーガーとなり、円熟味のある独創的な打牌の数々でファンを沸かせた。
2022年に大病を患い契約満了となったが、現在も精力的にプロ活動を行っている。














