猛将を貫く暴君の一撃
文・東川亮【バックアップライター】2026年1月16日
大和証券Mリーグ2025-26、1月16日、麻雀2チャンネルの第1試合。
この日の組み合わせは試合開始時点での上位4チームの直接対決ということに加え、顔ぶれにも注目が集まったに違いない。今シーズンで旋風を巻き起こしているニューカマー、EX風林火山の永井孝典とBEAST Xの下石戟が出場。前回対戦した10月30日から2ヵ月半が経過し、今では個人ポイントランキングの1位と2位につける両雄が、今シーズン2度目の激突となったのだ。
さらに、Mリーグで多大なるインパクトを残し続け、強いかどうかの次元を飛び越え「麻雀そのもの」とすら形容される、KONAMI麻雀格闘倶楽部・伊達朱里紗もここに名を連ねた。1月16日試合前の時点で、この3人で稼いだポイントは驚異の1100オーバー。まさに、頂上決戦である。
第1試合
東家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:下石戟(BEAST X)
西家:瀬戸熊直樹(TEAM雷電)
北家:永井孝典(EX風林火山)
さぞや強烈な打ち合いが繰り広げられるのかと思いきや、試合は地味な立ち上がりだった。開局から2局続けて流局し、最初のアガリは東3局2本場、下石の2000は2600。
迎えた東4局は、各者に期待感のある手が入る。
親番、永井は4巡目にしてチートイツの1シャンテン。この時点で、ドラを生かしての6000オール、8000オールの一撃を思い描くファンも、かなり多くなっているのではないか。
最初にテンパイしたのは下石。中張牌のシャンポン待ちは良形変化のパターンが多く、ここはダマテン。こういう形からしっかりアガりきる下石の麻雀も、もはやおなじみだろう。
伊達は1シャンテンの形から、ピンズターツを伸ばしながらマンズをスリムにする
切り。自身の目から![]()
が3枚ずつ見えており、カン
は山にありそう。ここから伊達が巧みにテンパイを入れ、重い一撃で相手を打ち砕くところも、幾度となく見てきている。
そして、ファンが期待していたであろう、永井と下石の勝負が実現する。永井がチートイツの
単騎待ちで先制リーチをかけると、
下石もピンフに高目イーペーコーという理想的な変化を得て、追っかけリーチを敢行。今後、MVP争いの主役を演じるであろう2人の対決は、
下石が高目の
をツモ、リーチツモピンフイーペーコー赤裏の3000-6000。このアガリで、下石が1人4万点台に乗せて、試合は南場へと突入する。
さて、ここまでの観戦記で文中に卓内のもう一人、瀬戸熊直樹の名が出て来ていないことにお気づきだろうか。意図的にそのように構成したところもあるが、実際に瀬戸熊は、全9局の試合において、アガリ1・放銃0という控えめなスタッツだった。そして、瀬戸熊の唯一のアガリこそが、3度のアガリを重ねた下石を上回る、大きな一撃となった。
そのアガリが生まれたのは、南3局2本場。この局、瀬戸熊は配牌で2メンツ完成という恵まれた手をもらった。
こうなると1枚だけ手の内にあるドラの
をいかに扱うかがポイントとなるのだが、瀬戸熊は4巡目でリリース。手の内が充実してきており、受け入れだけを考えれば
切りが妥当、ドラとは言えシビアに見切っていく。
そして、瀬戸熊らしいと感じたのが次巡の打
、2シャンテンに戻す選択だ。
や
を切れば形の上では1シャンテンなのだが、いずれにしてもシャンポンやペンチャン、カンチャンなど不自由なターツが残る。それよりもソーズの伸びやピンズのメンツ完成に有効な
を残すのは、良形テンパイを目指すための柔軟な一打だ。
残しが生き、
を捉えて1シャンテン。
直後に永井から三色確定のカン
待ちリーチが飛んで来るが、
引きでの![]()
待ちリーチは文句なし。追っかけリーチを放つと、
永井が一発で
をキャッチ、まさか今の永井がつかむとは!
猛将を貫く暴君の一撃。
それはラフな鬼攻めではなく、意図を持った丁寧な手組みによって生まれた、会心のアガリだった。瀬戸熊としてもここまで永井にはやられていたイメージが強く、アガリの瞬間は心の中でガッツポーズをしたそうだ。
ただ、それでも今の永井はしぶとい。南3局3本場では下石、伊達との3軒リーチのぶつかり合いを制して下石から12000は12900を直撃、ラス抜けに成功。
そして、この試合でなかなか見せ場がなかった伊達も、このままでは終わらなかった。
南4局、3巡目のチートイツ1シャンテンから・・・
局が中盤に差し掛かったところからあれよあれよと暗刻ができ、何とツモり四暗刻リーチに!
先制リーチの下石の待ちである
は暗刻にしていて暗槓が可能、伊達の放銃はない。出アガリでも2着確保のリーチだが、やはりファンが期待するのは役満成就。鋭い眼光がなんとも力強い。
ただ、ここは下石がラス
をツモ、2着で逃げ切った。この役なしリーチを打つというのも一つのポイントで、もし待ちの悪さなどを理由にダマテンとしていたら、伊達のリーチに対抗できずオリに回らされていた可能性が高い。そうなった先にはおそらく、役満での大逆転トップという未来があっただろう。そう思いたくなるのが、Mリーグでの伊達朱里紗という打ち手だ。















