初代Mリーガー白鳥翔プロが
2018年10月1日、麻雀界にとって歴史的一日になる開幕戦当日の朝、
その高鳴る胸中をキンマwebに綴ってくれた。
【白鳥翔プロ独占手記】
2018年8月7日、僕はMリーグのドラフト会場にいた。
柄にもなく前日くらいから妙に現実感が湧いてきて、ドキドキして寝つきが悪かった。
「Mリーグ」
日本国内における麻雀の競技化・健全化を図り、その普及と発展を目的として発足したプロ麻雀リーグ。
初年度は計7企業による7チームが参加し、5つのプロ団体いずれかに所属している選手がそれぞれの企業からドラフト会議にて指名される。
各チームの人数は3名。合計21名の選手達が鎬を削るリーグ戦。
幸運にも僕は株式会社サイバーエージェントのチーム「渋谷ABEMAS」に2巡目指名して頂き、所属することになった。
指名された瞬間のことは、パッと光が当たったこと、ドキドキする気持ちを抑えながら席から立ちお辞儀したこと、それくらいであまりよく覚えていない。
あ、選ばれたんだと現実感が増したのはチームメイトの多井隆晴pが「よろしく!」と握手してきてくれた時だったと思う。
ドラフト会議の日を迎えるまではなんとなく「成績発表会」に近い感覚だった。これまでやってきた自分のプロ活動が他人から評価されているか。
魅力的な人材か。強いか。それらを総合的に企業の方達が判断して、麻雀プロ二千人の中から自分が上位21人に入っていればドラフトされる。
こう思っていたから、選ばれたことを実感した瞬間は嬉しさが込みあげてきた。しかしすぐに、何かモヤっとしたものも襲ってきた。
正体はすぐに分かった。責任感だ。今まで自由に生きてきた自分にとって、責任は無縁のものだった。というより、「責任がつきまとう何か」からはそれとなく逃げてきた、という方が正しいか。
麻雀プロになった理由も「強い人と打ちたいから」という単純なものだったし、自分の為にしか麻雀を打ったことがなかった。しかし、それが近年、様々な対局に出させていただくことによって気持ちが大きく変わっていった。
応援してくれている人達の為に勝ちたい、とか。番組を盛り上げたい、とか。今までにない感情が自然と湧いてくる様になってきた。
麻雀ファンの方達に素晴らしいものを見せなくてはという責任、それだけではなく少しでも観てくれた人の心を引き止める様なものを作ろうという意識をつくらなければいけないという責任、
選んでくださった企業様に対する責任、そして選ばれなかった多くの麻雀プロにこの道を照らしていかなければという責任。
数え上がればキリがないが、そういう気持ちを忘れずに、とすぐに気持ちを締め直した。
先日行われたMリーグ懇親会でスタジオ見学などもあったが、まるでテレビ局の様な規模の大きさを見たこと、そして川淵三郎Mリーグ最高顧問の「この舞台が少年少女の夢になることでしょう」とお話しされていたのを
聞いたことで更に気持ちも高まった。
今日、2018年10月1日。いよいよMリーグが開幕する。
麻雀界にとってこの日が歴史的な革命の日になるのは間違いないだろう。
もちろんこの舞台を創ってくださった藤田晋チェアマンや企業の方々、関係者の方々には感謝の気持ちでいっぱいだが、
この麻雀界をここまで引っ張ってきてくださった先人達への敬意、感謝は絶対に忘れてはならないと思う。
Mリーグに選ばれた選手の中にも今までこの業界を支えてきた選手はたくさんいる。そういう全ての人達に感謝して、この舞台に立とうと思う。
直前の大きな麻雀番組で岡田紗佳pが生放送で滅多に出ることのない珍しい役満「九連宝灯」をアガった。奇しくもYouTubeで500万回以上再生されている、小島武夫pがテレビ対局でアガった形と全く同じだった。
小島先生も天国からガハハとこのビッグイベントが始まることを応援してくれているのだろうか。
「責任」は「覚悟」に変わった。
今、新たな第一歩を踏み出す。
白鳥翔(しらとりしょう 1986年8月27日生)
2006年に日本プロ麻雀連盟でプロデビュー。2015年に第24期麻雀マスターズを初制覇。2018年に第18回モンド杯優勝。麻雀界で注目の若手ナンバー1プロ雀士。Mリーグでは渋谷ABEMASに所属。チームメイトに多井隆晴、松本吉弘がいる。
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