直後、退けない矢島が一発で
を掴む。
快心の12000で逆転に成功。
注目される舞台でこのアガリを決められたことは、麻雀プロ冥利に尽きる。
しかし敗れてしまっては画竜点睛を欠くというもの。
勝ち切ってこそ、このアガリが完成品となるのだ。
南4局 1本場 ドラ![]()
親・古橋とは僅か700点差。
ほぼ一騎打ちである。
4巡目
早くもイーシャンテン。
マンズは非常に安く、
から引けばかなりアガれそうだ。
しかし6巡目、古橋「リーチ」
しかし私も簡単には退けない。
4000オールでもアガられようものなら、
次局はハネツモ条件になってしまう。
直後私も
を引き、完全イーシャンテンとなる。
この状況の親リーチだ。
どんな形もあるうえに、ターツ選択も入っていない。
しかも自分は勝負形。
希望的観測で古橋の手リーチのみの悪形と決めつけた。
しばらく押すと腹を括り、一発で
勝負!
さらに![]()
共に押す。
特に
は中筋の
切りにだいぶ傾きかけた。
しかしこの局面、アガリ逃しこそ最大の罪。
羽生先生が言っていたじゃないか、「運命は勇者に微笑む」と。
安易に背中を見せてはならぬ。
12巡目、ついに追いつく。
「アガらせてくれ…」
そんな『願い』は無意味どころかマイナスだ。
予選で痛いほど身に染みている。
それでも込み上げてくる感情を抑え、
最終盤に危険牌を引いたときのことだけを必死に考えていた。
幸い危険牌は引かず流局。
矢島もしぶとく粘り3人テンパイ。
古橋と私の待ち牌は1枚づつ王牌に寝ていた。
そして2本場
ご褒美のような簡単な喰いタンをアガり、決着。
代打出場で優勝を果たした。
凄まじい緊張感から一気に解放されたからか、表彰式までの間、味わったことのない渇感に襲われたことを覚えている。
インタビューは皆が清々しい表情で語っていた。全員が力を出し切った、素晴らしい戦いであったことの証左であろう。
12月のファイナルでもまた、極限の戦いをお見せしたい。
さて、本放送をご覧になった方はどんな感想をお持ちになっただろうか?
各団体の最上位リーグで戦うプロの強さ・覚悟が存分に伝わったのではないかと思う。
Mリーグに選ばれていなくても、麻雀に人生を捧げる凄い奴らがゴロゴロいるのだ。














