魚谷侑未vs小林剛 エース同士の息詰まる首位攻防戦の行方【熱論!Mリーグ/FS4日目】担当記者:masasio

ドラのがトイツの好配牌だった魚谷。

3巡目にダブまで重ねてかなりアガリが見込める手になっている。

どこからでも仕掛けが効く形だったが、よく見ると今切られたをスルーしている。

をポンしてを払っていけばマンガンのイーシャンテンになるが、魚谷は仕掛けを見送った。

はじめに断っておくが、この記事をご覧になっている方でMリーグの選手以外の方はこのは鳴いたほうが良いだろう。いや、鳴かなければならないと言ってもいい。

形だけ見れば絶対的にポンするべき形だ。

ではなぜ魚谷は鳴かなかったのか?

「オタ風のを1鳴きすれば警戒されてやドラのが出なくなるから」

もちろんそうなのだが、これだけでは部分点だ。

現在首位のチームで、さらに東1局にハネマンをツモってトップ目の選手の仕掛けにやドラのが切られる可能性は、普段我々が打っている麻雀に比べてはるかに低いだろう。

ましてやあとわずか数戦で優勝チームが決まるという状況。

他の3選手もこれ以上魚谷に加点されるということがどういうことか分かっているからだ。

この辺りの事情も踏まえて魚谷はポンせずの判断を下したのではないだろうか。

誤解のないように書いておくが、をポンしないのが正解だと言いたいわけではない。

いくら何でもポンだろうとは思う。

しかし、限られた半荘数の中、優勝しか意味を持たない闘いで勝ち切るために知恵を絞ってひねり出した答えがこのスルーなのだ。

「対局者の打牌の意図を探る」

役満をアガったとか、リーチ合戦でどちらが勝ったとか負けたなどの華々しい展開ももちろん面白いのだが、「なぜこういう選択をしたのか?」を考えるのが麻雀観戦の醍醐味だと思う。この観戦記がその一助になっていれば幸いです。

話が逸れてしまったが、ともかく魚谷はをポンしないことを選択した。

しかしMリーグに限ればポンしない選手も多いだろう。我々アマチュアの目には意外に映るがそこまで珍しい選択ではない。

今局の魚谷はここからが圧巻だった。

赤赤の小林からが出てポン。

当然を切るものと思われたが、河に置かれた牌を見て目を疑った。

 

だ。

見間違いではない。魚谷はを切っている。

のポンに備えてペンチャンを落とすのが自然だが、恐らく理由は二つある。

の感触が良い

魚谷の目からが4枚見えており、678や789などの順子で使う形が消去されている。

また全員がまたはを早くに切っておりを持っていない可能性が上がっている。

・自分の河が後押ししている

のトイツ落としを見せることで、他家から見ればドラのは持っていないように見える。

と持っていれば1枚目からでもを鳴くのが自然だからだ。

あえてを切ることによって相手をミスリードさせ自分への警戒度を下げているのだ。

そして何より河にがあるため待ちが完全に盲点になっている。

アガリ易いをトイツ落とししてまでペンチャンを残すなんて同卓者は夢にも思わないだろう。

魚谷はことごとく相手の裏をかこうとしているのが良く分かる。

無駄ツモであるはずのをツモってきた時点で狙っていたのではないだろうか。

一見奇抜に見えるこの選択もMリーグの対戦相手に合わせた面白い選択だと言えるのではないだろうか。

※Mリーグの仕掛けについてはこちらの記事https://kinmaweb.jp/archives/97544でも書かれているので合わせてご覧ください

狙いは良かったのだが、麻雀は無常。

 魚谷の欲しいは上家の松本の手の中にあった。

このままではアガリ目がないが・・・

なんと切られたのはだ!!

松本の手は形こそリャンシャンテンだが、打点も無く形もイマイチ。

カンをするには物足りない手牌だ。

そこで一応形はキープしながら、親の魚谷に鳴かれにくいを切ったというわけだ。

「チー」

(えっ・・・?!)

予想していなかったのだろう。

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