【ありがとう小林剛】岩瀬航の麻雀最強戦2020自戦記

文・岩瀬航

麻雀最強戦2020 次世代プロ集結 麻雀代理戦争

優勝の栄光を掴み取ったのは三浦智博プロ。

三浦はスポットライトを浴び、さらにファイナルでも優勝ともなれば一躍日本中の麻雀ファンから脚光を浴びることになる。

一方で、光あるところには影もまたある。

今回皆様にお読み頂くのは、そんなスポットライトを浴びた三浦の対となる影。

決勝戦で三浦に敗れた私、岩瀬航(いわせわたる)の敗戦の記録の1ページである。

私の名は岩瀬航(いわせわたる)。
麻将連合所属のトーナメントツアー選手である。

私が所属する麻将連合は団体が定める一定の要件を満たしたものを「認定プロ」と呼称し、まだその段階に至らぬものを「選手」と呼称する。

つまり、私はまだ団体から一人前として認められていない修行中の身である。

そんな半人前を推薦し、この対局に送り出してくださったのが他でもない私の所属する麻将連合の「認定プロ」にして、先日M.LEAGUE2019でU-NEXT piratesを優勝に導いた立役者、小林剛プロである。

小林は私にとって特別なマージャンプロだ。
世間では所属チームのU-NEXT piratesのキャプテンとして「船長」の愛称を持つ小林だが、マージャンプロ岩瀬航にとっての小林剛という存在は「灯台」だ。

麻雀の強さはもちろん、対局中の所作は丁寧で美しく、圧倒的な専門知識の量を活かして幅の広い普及活動を行う小林は私の理想の「マージャンプロ像」を体現し、私が麻将連合の門を叩く以前から最高の手本であり、今なお「道標」として存在している。
それだけに今回の対局で勝ち上がり、結果で小林に恩返しをできなかったことは痛恨であり、無念でならない。

今回はそんな私が選んだ1局の選択を皆様にご一読頂きたい。

 

南2局1本場 東家 ドラ

トップにしか価値がない決勝戦で微差ながらトップ目に立っている南2局の親番。
なんとしてもリードを広げたいところでご覧の配牌。
先制聴牌ができる自信はないので守備を念頭におきつつもチャンタや三色といった最高形は逃すまいとこの局のプランを決める。

10巡目 ツモで678の三色同順の一向聴まで手牌が育つ。

11巡目 前巡少考し、手出しでを捨てた上家の2着目三浦が

この表情で再び少考の後、ドラのをツモ切る。

さて、この状況下で再び私の手牌をご覧いただきたい。

画像の手牌から南を捨てた一向聴。

出る ドラ

皆さんは鳴きますか?

少考したとはいえ、ドラのをツモ切れるほど三浦の手牌が整っていることは分かる。

もしも三浦の手牌にドラが内蔵されているならば、このを鳴かないと私がこの手牌をあがるのは困難なのではなかろうか?
ドラのをツモ切れる程手牌がまとまっている三浦からいつ立直の宣言があってもおかしくない。チーするとでアガれる片アガリとなるが、三浦の河にがあり、三浦から立直がかかれば河野や大庭からが捨てられることがないとも限らない。
そう考えた私は普段のようにポンがないことを確認するために、明確に1テンポ間をとってチーを宣言した。

だがその後の展開は私が描いていた展開とは違った。

 

河野がドラ2の手牌をまとめ、先にを捨て選んで作った狙い通りのカン待ちで立直。それを受けて大庭は筒子の清一色へ。

こうなってはもはや三浦の河を見てを捨てる者などどこにもいない。

そしてやはり、高め三色で追い付いた三浦が立直を宣言した。

河野、三浦の立直を受け、大庭の筒子の一色手もケアせねばならない。
私のツモは

対面の大庭は筒子の一色手、上家三浦はを捨てているのでにはロンの声をかけられない。
問題は下家の河野だ。
対面大庭はおそらく筒子の一色手でありは持っていなさそう。

上家三浦の捨てたはツモ切りだが、その前巡の手出しがなので1枚は手牌で使っているかもしれないが、1枚もない可能性も十分ある。
そうなると残りのドラの所在は河野の手牌かもしくは山ということになる。

河野はこの局を手出ししての立直と明らかに手なりの進行ではなくターツを選んで手牌を作って立直をかけている。残るドラのを持っていて、得点上昇のためにそれを使い切るターツを選んで立直をかけてきた可能性は大いにある。

視聴者の方々には申し訳なかったがこの日1番の長考で時間をかけた。
で放銃であれば最低でも立直ドラからのスタートの失点に加え、親番が失われる。

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