熱論!Mリーグ【Mon】
絶妙な押し引きと
「般若と仏様」の二面性…
魚谷侑未に魅了される理由
文・山﨑和也【月曜担当ライター】2019年11月4日
遠山「勝又教授、どの選手を応援したらいいかわからないんですよ」
勝又「そんなの自分が決めることだよ。なにかひとつでも好きなところがあるはずさ。欠点だって好きになれば個性に変わる。ちなみに僕は風林火山だね。勝又プロの解説はわかりやすいし、滝沢プロの押し引きのバランスが好きだし、亜樹プロはかわいい」
遠山「へえーそれぞれ理由が違うんですね」
勝又「うん。でも他のチームも好きだよ。実は応援する最後の決め手というものがあって………」
困ったことがあった。観戦記者は基本的に特定の選手に肩入れしないようにするべきなのだが、どうしても注目してしまう人物がいたのである。フェニックス・魚谷侑未プロだ。
岡田紗佳プロ、サクラナイツファンの方にとっては蒸し返すことになって申し訳ない。10月31日に放送された第2試合、魚谷は4着となった。それも魚谷にとっては想定外の結末だっただろう。画像の魚谷は般若のように見えた。だが、その後の魚谷の対応は素晴らしいものだった。詳細は11月1日掲載の、東川亮さんの記事をご覧いただきたい。
その魚谷、東1局から気合がみなぎっていた。配牌でドラがふたつ。も重なっているのでいち早くテンパイを目指す方針もあるところ。
をポンし、を切る。ホンイツにまっすぐ向かっていった。
続いてを黒沢からポン。迫力十分の仕掛けだ。手がまとまっていた黒沢はを引いてブレーキ。その後、勢いそのままにを加カンする。
も引いて待ちのテンパイを入れた魚谷、さらにを持ってきた。ここで魚谷はノータイムでカン。強気も強気、とことん攻める。
よくぞ攻めたな、ご褒美じゃ、と麻雀の神様がドラ2枚をプレゼント。魚谷の手はホンイツドラ6!の倍満になった。
親の沢崎にもテンパイが入っていたが、を引いたため形を崩した。魚谷がアガれるかどうかの勝負になったが、をツモって見事4000―8000のアガりとなった。
昨年の魚谷と比べると、積極性と打点の意識が上がったと解説の鈴木たろうプロ。プロの目から見てもパワーアップしているようだ。「やばいっすよね」とたろうプロはこぼす。お世辞ではないだろう。
東2局もぐいぐいツモがくる。を引き入れ、三色や役牌重なりを意識した手組みが実った格好となった。を切ってリーチ。
41000点ではセーフティーリードとはいえない。凛々しく加点を狙う。
黒沢もをチーして、次巡にのバックにしたテンパイをとる。黒沢にしては珍しい仕掛けだ。ただ、ドラのを引いてしまい、やむなくを落とすことになった。
イーシャンテンから虎視眈々とテンパイを狙っていた親の勝又も、が重なって最高形のリーチを放った。魚谷の独走を許さんと迫る。
待ちは河にそれほど切られておらず、は魚谷の現物。手応えがあったのではないか。技ありの追っかけリーチに見えたが
制したのはまたも魚谷だった。力が入っていたのだろう、珍しく手牌を倒すときにグシャッと崩してしまった。
「すみません」と苦笑い。
今度は裏が3枚乗った!なんと3000―6000のアガりに。これで点棒に余裕ができた。倍満の直後に跳満とは恐ろしい。たったの2局で魚谷は54000点持ちに。
続く東3局。親の魚谷はチートイツのイーシャンテンに。ここでを切った。周りのピンズの切り出しを見ての判断だろうか。このあと、仮にかをツモってどちらかを切るとチートイツに見えてしまうのだが、チートイツがバレても構わないという見方もできる。他家は単騎の地雷に怯えることになるからだ。
このあと魚谷はなかなかテンパイせず、黒沢が先に三色確定、単騎のリーチ。しかし場に1枚切られている上に魚谷が2枚握っている。山にはない。
個人スコア1位の沢崎も狙っていた。すでにとをポンしてこの手格好。ホンイツだけでなく、何やら大三元もちらつく。
を求め、闇をさまよう黒沢。の筋になっているのでオリに打ってしまう人だっているはずだ。しかし魚谷にスキはない。
そしていよいよ沢崎の手が完全に育った。打で待ちのテンパイ。ちなみにを落とすと字一色とのダブル役満もあるのだが、さすがにこの終盤では厳しい。今後現れることを期待しよう。
なお、たろうプロは「沢崎さんなら」と落としもあるのではないかと危惧?していた。
も2枚押さえていた魚谷も、無理に連荘を求めず、堅実にオリていった。