渋谷ABEMAS・松本吉弘はツモり四暗刻イーシャンテンでオリるべきだったのか⁉︎【Mリーグ2020観戦記10/15】担当記者:ゆうせー

さらに、を瀬戸熊が切っていることを考えると、は他のスジより危険度が下がる。通っているスジは約9本くらいとみなせるだろうか。

(※場にが多く見えていることから、リーチ前4巡目の打で固定するとは考えにくいは0.9本分。逆にやや先切りで決め打ちしやすいは0.1本分としました。概算であることをお許しください。ここで出しているのは、「リャンメンリーチに対するおおよその放銃率」であって、実際には「愚形リーチの可能性」もあるので、算出した数字より放銃率は低くなります。)

スジは全部で18本なので、18引く9で、瀬戸熊のリーチに残っているスジはあと9本くらいと考えるのが妥当であろう。

ここから、約9回に1回≒11%当たると、を通したあとにはそれ以上の可能性で当たることになるの2スジを押していくのは、正直ギリギリといったところだ。

だが、松本の手をよく見て欲しい。

現物が1枚もないのだ。

また、を切って迂回したとしてものどちらかは切らないと、どのみちテンパイしないだろう。

さらに、自分は今4着目。高打点の手をアガれば、アガリによる点数のみならず、着順上昇による順位点も期待できる。

松本は、四暗刻まである大物手の可能性に賭けて、危険を承知で瀬戸熊にぶつかっていったのだった。

このに声がかかることはなかった。

次に松本が持ってきたのは、

だ。これもまた無筋。

このも8回に1回≒12.5%程度放銃してしまう。だが、繰り返すように現物がない。そして、起死回生のチャンスだ。このを止めてしまっては、アガリのチャンスがほとんど消えてしまう。

松本は、

迷いなくを打ち抜いていった。

次のツモは、

南。今度はション牌の字牌。

これも打って出ていく。いい表情だ。

なかなかツモれない瀬戸熊。そして、ある牌が河に並ぶ。

同じく、なかなかテンパイしない松本のもとにやってきたのは、

 

だ。これもまたション牌。

押し切るか。それとも他の選択があるのか。

松本の出した答えは、

を切ってオリた!

なにより大きいのは、が通って現物が3枚できたことだ。

今までにも述べたように、イーシャンテンの状態から無筋を2枚押す想定で攻めるのは、そもそも危険が伴う選択だ。自分が2枚勝負して、通したあとに自分がめくり合いに勝たなければいけない。もちろんテンパイするまでにほかの危険牌を持ってくることだってある。

それでも切り飛ばしてきたのは、チャンス手だったこと、そして現物がなかったことが大きい。

残り巡目も少なくなった今、オリ切れる可能性が激増し、それと同時に自分がアガれる可能性も下がってしまった。このあたりで折り合いをつけるのが妥当だと言えよう。

また、河に並んだ牌が多くなって、情報が増えたことも挙げられる。

この巡目になってドラのが2枚しか姿を見せないということは、瀬戸熊がを持っている可能性が高まるだろう。は、勝負しにくくなってしまった。

も切られていない。ここまで出ないということは、瀬戸熊の待ちになっている可能性もある。鳴くことや、瀬戸熊から出アガリできるのはなかなか難しいと思える。ション牌のもそう容易くは打たれまい。

切りたいもまたション牌だ。他家が持っている可能性もあるが、親に打ちあげてしまうと手痛い放銃になってしまう。

現物が3枚できたこと、巡目が深くなって松本のアガれる可能性が低くなったこと、2枚押す牌の危険度が上がったこと、これら複合的要因から、ここはを切ってオリを選択した松本の判断がよかったように私は思う。

次巡、

「なんで、よりによってここにがいるんだ…」

松本の、そしてABEMASファンの叫びが聞こえてくる。

瀬戸熊の待ちは、

カンだった。ドラまわりが安くなることを狙ったドラ切りリーチ。

この局は結局、瀬戸熊の一人テンパイで流局することとなる。

全員の手牌が見えている私たちには、松本が瀬戸熊のアガリ牌をおさえきっていたことがわかる。

だからこそ、

最後のツモ番で瀬戸熊が切ったこのを、とらえていたんじゃないか…と思った方も多いのではないだろうか。

だが私は、手に溺れず中盤から終盤にかけて判断をキチンと切り替えた松本を、辛抱強いと感じた。

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