麻雀というままならないゲームのなかで
文・東川亮【金曜担当ライター】2024年2月16日
第1試合
東家:二階堂亜樹(EX風林火山)
南家:醍醐大(セガサミーフェニックス)
西家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
北家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
大和証券Mリーグ、2月16日の第1試合は、開局から
・流局
・松本 500-1000は600-1100
・岡田 500-1000
・流局
・流局
と小場で進む展開だったが、
東3局2本場、亜樹のアガリを契機として、試合は大きく動き出す。
リーチツモタンヤオピンフ裏裏の3000-6000は3200-6200。
裏ドラが乗らなければ1300-2600の手が、一気に倍以上の打点に化けた。
次局は松本がリーチツモピンフ赤赤の2000-4000。
南場に入り、南1局には醍醐が2巡目で赤ドラ内蔵の3メンチャンリーチをかけ、安目ながら亜樹から出アガリすると、裏ドラが1枚乗って8000に。序盤の重苦しさから一転、高打点が飛び交う激しい展開となった。
配給原点の25000点に戻って迎えた南2局。亜樹は1巡目にしてチートイツの1シャンテンという手牌をもらう。
しかし先にテンパイを入れたのは松本、のポンからソーズを続々と引き入れてホンイツの単騎待ち。
ただ、亜樹の手も一気に伸びていた。4枚目のに加えても立て続けに引き入れる。のトイツを払えばチンイツで仕掛けてもハネ満という手になるが・・・
亜樹の決断は暗槓。マンズの下目でテンパイすればアガリの期待度も高くなる一方で、ソーズのホンイツ模様である松本に対応した形でもある。そして何より・・・。
究極はこれだ。リンシャン牌で引いてきたのは、門前で三暗刻を完成させてリーチをかける。ツモれば今シーズンのMリーグで初となる、役満・四暗刻成就。は、この段階で全て山に残っていた。
亜樹のリーチに迫力は感じていただろうが、松本は待ちがソーズの3メンチャンに変化したなら、ここは勝負の一手、1枚切れの新ドラを躊躇なく切っていく。
さらに岡田がテンパイ。ただ、待ちでは暗槓されている。
それでも岡田は強気に攻めた。リーチ宣言牌は2スジにかかるではなく、1スジ勝負の。
だが、その牌はすでに松本のロン牌となっていた。ならば放銃回避だったが、さすがにに優先して切れる牌ではない。ホンイツ、5200。
松本のアガリによって、亜樹のツモり四暗刻は露と消えた。出アガリでもリーチトイトイ三暗刻赤のハネ満、裏ドラが乗れば倍満という大物手であり、本人的には待ちにもかなり感触があったそうだ。表情にも悔しさがにじむ。
このとき、現最強位の日本プロ麻雀連盟・桑田憲汰と共に解説を務めたTEAM雷電・瀬戸熊直樹には、役満を見たい気持ちがあった反面、「亜樹の、風林火山の役満」は見たくない気持ちもあったようだ。現状、雷電と風林火山はセミファイナルボーダーを挟んで6位と7位に位置しているチーム。ここで亜樹が役満をツモってトップになれば、雷電は敗退圏内に落ちることになる。
各チームの残り試合数が20試合に迫ってきており、1試合の勝敗、ポイントがチーム状況を大きく左右する時期に入ってきた。視聴者のみなさんは、亜樹の四暗刻テンパイをどのような心境で見ていたのだろうか。
アガれなかった役満など、局が終われば加点できなかった過去でしかない。勝つためには、何よりもアガリ。南3局、亜樹は絶好の3メンチャンリーチを岡田から高目で仕留め、現実的な逆転条件を残してオーラスを迎える。
南4局、亜樹の手は配牌の段階では打点が見えない。
しかし、思いの他ピンズが伸びた。重なりも多く、トイツ手を狙う進行もあるが、
ここは一色手に向かう進行。逆転に必要な手は満貫、鳴いても条件をクリアできるチンイツ、あるいはダブホンイツに仕上がればOKだ。