白鳥翔が悩んだ95秒
崖際のABEMAS
トップを獲るための、最善は
文・後藤哲冶【月曜担当ライター】2025年4月14日
セミファイナルシリーズは全20試合という短い試合の中で決着する。

先週始まったばかりに思えても、もうこのシリーズは中盤戦を迎えていると言って良い。
特に、ビハインドを背負っている下位2チームは試合数が少なくなればなるほど、取れる選択肢が少なくなっていく。
南3局に1000点持ちのラス目にいると選択肢が狭くなってしまうのと同じだ。

真綿で首を締められるかのように苦しくなってくる短期決戦。
中でも苦しい渋谷ABEMASの先発は、今期のチームにとっての救世主、白鳥翔に任された。

4月14日 第1試合
東家 滝沢和典 (KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家 醍醐大 (セガサミーフェニックス)
西家 白鳥翔 (渋谷ABEMAS)
北家 浅見真紀 (赤坂ドリブンズ)
東場をリードしたのは好調ドリブンズの浅見だった。

東1局、ピンフ高目イーペーコーのリーチを、見事高目をツモアガって1300、2600。

親番滝沢がドラ3内臓の12000テンパイだったことを考えても、このアガリは非常に大きい。

更にたたみかけるように東2局。
ツモれば三暗刻、リーチタンヤオピンフイーペーコーにもとることができる少し珍しい形で浅見がテンパイ。
を切ってリーチへ。

これに捕まったのが、ホンイツのテンパイが入ったところの滝沢だった。
通っている牌をそう持っているわけでもなく、自身もホンイツのテンパイであればこのは止まらない。

これがなんと裏ドラ2枚で12000。
浅見がトップに向けて大きなリードを奪う。
東4局

なかなか参加する手牌がこない白鳥。
この局はドラが2枚でようやく戦えそうな手牌だ。

白鳥はここから1枚切れている切りを選択。
巡目が早いことから西に手をかけてタンヤオルートもあるにはあるが、それでは受け入れ枚数が少なくなってしまう。
すぐに引くや
の時に
の雀頭候補があったほうが安定すると判断。
さらにこうしておいても、タンヤオには移行できる。

途中からチートイツに決め打って進行した親番の浅見が、狙い通りテンパイ。
ここは2枚切れになってしまったを切って、生牌の
待ちでリーチへ。
赤を2枚使っていることもあり、これをツモって6000オールにすることができれば相当トップが近づくリーチだ。

これに白鳥が応戦。
リーチが入ってからのトイツ落としで迂回。
そして醍醐から切られたをチーして前に出る。

更にも出て、これもチー。
出ていくのはドラのでチートイツに危ない+自身の打点も下がってしまう牌だが、ここは勝負。

なにより、今宵の白鳥に課された使命はトップを取る事。
今ここでトップ目に立っている浅見にこれ以上の加点を許すことは、トップを取るのであれば許されないと判断した。
決死の2000点プッシュ。

浅見の待ちは山に無く、白鳥の待ち、
は山に3枚残っていたが……ここは流局。
しかし白鳥のこの半荘必ずトップで変えるという意気込みが見えた、そんな1局だった。