白鳥翔が悩んだ95秒 崖際のABEMAS トップを獲るための、最善は【Mリーグ2024-25セミファイナル観戦記 4/14 第1試合】担当記者 #後藤哲冶

しかし白鳥の受難は続く。

戦える手牌と状況が整わないまま、南3局。最後の親番を迎えていた。
しかしまだ幸いなのは、トップ目浅見との点差がそんなに離れていないことか。
これであれば親の満貫1回でひっくり返る点差だ。
しかし、配牌はそう良くはない。

2着目醍醐が仕掛けてくる。発をポンして手の内には役牌【北】が暗刻。
1枚あるドラが使えれば十分な高打点と判断し、染めには行かず今持っている手材料で勝負しにきた。白鳥には時間が無い。

8巡目、この形で、醍醐から切られる【5マン】をカンチャンの形でチー。
【7ソウ】がドラで、【4ソウ】【7ソウ】の両面ターツになっていることから、もちろんスルーもあるが、残るカン【5マン】という待ちがネックになる。
であれば、【5マン】をチーして、【9マン】をポンさえできればどのマンズをひいても12000テンパイになる方が偉いという判断。
何より残る形が良い。連続形が残ることでマンズの受け入れが整っている。

【7マン】引きは絶好。
これで全てのマンズなにを引いてもテンパイ。
【9マン】を自力で引ければ一気通貫も残る上に4面張になる形も残っている。

しかし先にテンパイを入れたのは醍醐だった。
2枚切れのペン【3ソウ】待ちテンパイ。
出ていく牌が【1マン】というのがなんとも皮肉。【3マン】の方が出ていくテンパイであれば白鳥がチーしてテンパイを取れていた。

残り2枚だった【3ソウ】を、醍醐があっさりとツモ。
1300、2600の加点だ。

白鳥にとってはあまりに重い一撃。
トップには、オーラス跳満、倍満クラスが必要になる。

白鳥は難しい進行を強いられていた。
トップの醍醐との点差は15300。
もちろんトップは欲しい。しかし現時点ではリーチ棒が出ないと跳満ツモでトップにならず、何よりも避けたいラスは目の前にある状態。
そんな状況の中、白鳥は役牌の【中】を残して、跳満ツモには必要なさそうな【9マン】【8マン】切りを選択。

現状白鳥にとって最悪なのは、醍醐や滝沢に【中】をポンと言われること。
もっと言うと、浅見がそう大きくない打点で一度連荘してくれると、1本場になり跳満ツモが無条件でトップになる。
つまりは、醍醐と滝沢がアガらず、浅見が1500~2900程度の打点でアガってくれることこそが、白鳥にとってのベスト。
だからこそ、自分の手がすぐに跳満が見える手ではないことから、役牌を抑える進行を取ったのだ。

しかし手が進み、このツモ【4ソウ】で対子の【東】に手をかける。
これで跳満が見えた。リーチタンヤオピンフツモ赤裏、またはイーペーコーや、ドラの【3ピン】を使うルート。
いずれにせよ、こうなったのであれば跳満を目指す。

【6ソウ】【3マン】と引いて更に選択。
マンズの場況は全く良くはない。イーペーコーに必要な【4マン】は自分の目線から2枚見えている上、醍醐の手出し【7マン】からの手出し【4マン】
浅見の手出し【1マン】等、全員が【4マン】を持っていてなんらおかしくない。
白鳥はこの時、【4マン】には全く感触が無かったと語っている。

それでも、万が一【4マン】を引いた時はその時点で跳満ツモの条件を満たす。
それを逃すことだけは、今の状況において一番やってはいけない。そう考えた白鳥は、【7ピン】に手をかけた。

親番浅見からリーチを受ける。
が、リーチ棒が出たということは白鳥は跳満ツモでトップになったともいえる。
ドラの【3ピン】を引き入れて、スジの【3マン】切りを選択。
【4ピン】さえ引くことができれば、条件を満たす。
山に、【4ピン】は1枚残っている。

次巡。

「引いてんじゃないの?! 引いてんじゃないの?!」

実況日吉プロの絶叫がこだまする。
残り1枚の【4ピン】を引き込んだか……!

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