徹底検証!“傷だらけのヴィーナス”黒沢咲は テンパイを外すべきだったのか? 【Mリーグ2021観戦記12/9】担当記者:ゆうせー

徹底検証!

“傷だらけのヴィーナス”

黒沢咲は テンパイを

外すべきだったのか?

文・ゆうせー【木曜担当ライター】2021年12月9日

1戦目

解説 藤崎智  実況 日吉辰哉

黒沢咲は、めったに鳴かない。

今季の副露率は7.75%(12/9 試合終了時点 Mリーグ成績速報(非公式)様より引用)。だからこそ、「あの黒沢が鳴いた!?」という脅威が生まれる。

黒沢咲のリーチは、最終形であることが多い。

手替わりがあるときは貪欲に追い求めるので、打点も好形もないリーチは、まずない。愚形であるときは一通や三色など手役が絡むことが大半だ。だからこそ、「黒沢のリーチは怖い」というブランドが出来上がる。

それは筆者もよく分かっている。

が、その黒沢の打ち筋を踏まえてなお、検証してみたい局がこの試合2つあった。順に見ていこう。

まずは東3局2本場。

ドラが【白】のチャンス手。234の三色も見える手牌だったが、7巡目にツモってきたのは【赤5ピン】

みなさんならどう打つだろうか?

黒沢の選択は、

【2マン】だった。

愚形リーチで手に蓋をすることはしない。ピンズは場に【3ピン】が2枚切れているが、「薄い」と同時に「安い」ともとれる。ツモ【2ピン】やツモ【3ピン】といった絶好のツモを見据えながら、ツモ【5マン】の伸びも残した一打だ。ツモ【3マン】はフリテンリーチの構えだろう。

我々が打つ場合は、即リーチがオススメだ。現状でも打点は十分ある。また、テンパイを取っての嬉しい手替わりは【2マン】 【4マン】 【5マン】 【4ピン】 【7ピン】 【白】のツモと、【白】のポンがあるが、そのうち待ちの枚数が一手で増えるのはツモ【5マン】くらいだ。ならば今カン【3マン】でリーチをして、「他家の打牌からアガる権利」を得た方がいいだろう。

だが、ここに座っているのは黒沢だ。打点上昇の手替わりがあるこの手で、愚形待ちの即リーチをしている黒沢の姿を私は想像出来ない。

ただ、それでも私は、「黒沢は打【2ピン】でテンパイをとる」と思っていた。

【2マン】【4マン】の形で残しておけばツモ【3マン】でアガれて、しかも満貫だ。また、【2ピン】を残しても【3ピン】が2枚しか残っていないのがいかにも厳しい。

確かに【2マン】を切って【3マン】を引いた場合にはフリテンリーチでカバーが効く。とはいえ、【2ピン】を残して好形が出来るツモ【3ピン】の目を残すより、【2マン】を残してアガることの出来るツモ【3マン】の方がいい、という考え方も出来よう。

そして、【2ピン】縦ツモもいいが、3枚残っている【2マン】縦ツモも【1マン】の切れ具合から悪くない。

また、テンパイを取っておけば、ツモ【4ピン】【7ピン】イーペーコーが出来たときに出アガリが効くというメリットもある。

リーチをしないルートなら、打【2ピン】がいいのではないだろうか。

黒沢が次に持ってきたのは、

なんと【3マン】だった。

フリテンでリーチ敢行だ。このリーチも織り込み済みだっただろうが、

親の内川に追っかけられるのは、想定通りではなかっただろう。

勝負の行方は、

「ツモ」

黒沢のツモアガリだ! 裏も乗って、リーチツモドラドラ赤裏で3200-6200!

結果的には、内川が出したリーチ棒を含めて最も点数を得た格好となったが、黒沢は肝を冷したのではないだろうか。

このアガリのあとも、

内川がアンコで持っていたドラの【8ソウ】を、

力強くツモり上げて、更なる加点に成功。

全選手がマイナスのTEAM雷電。今までのシーズンで素晴らしい成績を残してチームを引っ張って来た黒沢。彼女もまた例外ではなく傷ついていた。

苦しい試合が続く中、黒沢はチームに、そしてファンに、特効薬である「勝利」を持って帰ることが出来るのだろうか。

そして、検証したいもう1つの局が、この南1局だ。

黒沢は1巡目にイーシャンテンになっていた。

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