徹底検証!“傷だらけのヴィーナス”黒沢咲は テンパイを外すべきだったのか? 【Mリーグ2021観戦記12/9】担当記者:ゆうせー

というよりも、上家の内川が切った【白】をスルーしているのにも注目だ。

そして、

ほどなくして、日向から2枚目の【白】が出た。

なんと、黒沢はこの【白】も鳴かなかった。

黒沢は次のツモで、

【8マン】を引いて【白】をトイツから切り、

次巡、瞬く間に門前テンパイを入れる。

が、ここからが長かった。

出アガリが効かない愚形テンパイなだけに組み換えを狙いながら進めるが、牌と意図がなかなか噛み合ってくれない。

終盤に【5ソウ】【8ソウ】待ちのリーチを打つも、

親の日向との2件テンパイで流局となった。

もう一度局の始めに戻ってみよう。

我々が打つときは、上家から出た1枚目の【白】を鳴いてくっつきのイーシャンテンにとった方がいいだろう。

南場のトップ目。自分がアガって局を進めることが出来たら最高だ。

くっつき候補として持っている牌も、【赤5マン】【6マン】【7マン】【9マン】【9マン】【4ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【8ソウ】【4ソウ】なら、仕掛けも効いて申し分ない。

だが、先に述べたように黒沢はめったに鳴かないし、鳴くときはポンテンが多い。ここで【白】をスルーしても【白】はまだもう1枚ある。イーシャンテンになるタイミングでの1枚目の【白】スルーは分かる。

ただ、2枚目の【白】は鳴いてテンパイをとるのがいいのではないだろうか。

のちに黒沢が言っていたように、確かに「攻め返されたときには不十分な形」ではある。待ちの【3ソウ】も鳴いていきなり出るような牌ではないだろう。

ただ、2巡目に役アリテンパイが入るのなら、あまり攻め返しを恐れなくてもいいのではなかろうか。自分がアガってしまえば他家のアガリを封じ込めることが出来る。

また、ソウズの形は【1ソウ】【1ソウ】【2ソウ】【4ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【8ソウ】だ。【5ソウ】ツモや【5ソウ】チーで好形変化も残る。ツモ【1ソウ】【1ソウ】【1ソウ】【1ソウ】【2ソウ】待ちになり、またツモ【2ソウ】【4ソウ】でのシャンポン変化もある。

そして、2枚目の【白】をスルーすると、役アリテンパイに組み換えるまでに巡目がかかってしまう。黒沢は驚異的な速度で3巡目にテンパイしたが、それは稀だろう。

ここはサッとかわし手を入れておくのがいいのではないだろうか。

現にこのあとの局では、

4枚目の【7ソウ】をポンして、打【東】でテンパイを入れて、

ホンイツをアガって親落としをしていたではないか。

ホンイツには打点がある、という違いこそあれ、南1局0本場も2枚目の【白】は鳴いて、アガることで局を進めにいくのが良かったように思う。

この南1局2本場のアガリでダメ押しを決めた黒沢がこの半荘1位に。TEAM雷電と雷電ユニバースに待望のトップをもたらした。

この日は、

「窮地の雷電を救いたい」

という想いからか、黒沢の表情がいつもより険しかったように感じる。

こちらの方がいいか? と感じる選択もあったが、

「これ以上負けるわけにはいかない」

というプレッシャーの中で戦って勝ち切ったことを褒め称えたい。

反撃の狼煙を上げたTEAM雷電

この黒沢の勝利がチームの起爆剤になることを雷電ファンは願っている。

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