1枚のドラの有無が、天国と地獄を分かつ。脱サラリーチマン・小平崇弘が肝を冷やした一瞬! 麻雀最強戦2020「全日本プロ選手権」観戦記【B卓】

1枚のドラの有無が、

天国と地獄を分かつ。

脱サラリーチマン・小平崇弘が

肝を冷やした一瞬!

【B卓】担当記者:山﨑和也 2020年11月1日(日)

麻雀最強戦全日本プロ選手権予選B卓の模様をお送りする。私事で恐縮だが、全日本プロ選手権は筆者にとって縁があるのだ。1年前の全日本プロ選手権が筆者の観戦記デビューだった。そこで勝ち上がった仲林圭プロは後にキンマwebでコラムを書くなど、徐々に目立っていった印象がある。それから仲林プロを影ながら応援している。

それではB卓の選手を紹介する。

井上絵美子(配牌シンデレラ)

配牌シンデレラの二つ名がついたが本人の雀風は「豪腕」。美しい容姿に似合わず?A卓の面子に劣らない攻めのタイプのようだ。2014年では最強戦ガールズだった彼女が選手として最強戦の舞台に舞い戻ってきた。本日の紅一点で応援の声も多いだろう。

小平崇弘(脱サラリーチマン)

二つ名を見てグッときた方も多いはず。サラリーマンを辞めて麻雀プロ一本で戦うに留まらず、リーチ一本で戦うと決めたとか決めていないとか。若々しくもアウトレイジ感のある風貌はなんだか役者のよう。最強位を獲得しスターとなれるか。

下石戟(第六天魔王)

2019年の最強戦男子プレミアトーナメントで大和プロとの打撃戦を繰り広げたのは記憶に新しい。自団体の第17期雀王戦(2018年)ではあと一歩で雀王のタイトルに手がかかったことのある実力者だ。名前の通り「ゲキ」熱な戦いに期待。

須藤泰久(粘りのヤス)

麻雀最強戦では2015年の全日本プロ代表決定戦で記憶にある方も多いだろう。そのときは惜しくもファイナル進出を逃した。1995年に麻雀プロデビュー。今年で25年を迎えるベテランが忘れ物を取り返すべく奮闘を誓う。

今回は東3局から。

親の井上は配牌で字牌なしのまとまった手を入れた。まとまりすぎていて何を切るか悩ましい。配牌シンデレラの選択は。

……を端に寄せた。なるほど断么九七対子を見つつ、面子手も崩していない。

しかし迷った様子で、ではなくを切った。平和系を見るなら代えて切りもあったところで悩ましかった。もちろんそれぞれに裏目があるので比較は何ともいえない。

アグレッシブに動いていったのは小平。をポンし、もポン。リーチマンがどんどん手牌を短くしていく。上図からを切ってカンのテンパイに取った。

井上もを暗刻にしてのイーシャンテン。こうなると初手にを切っていれば受けがより広かったが、それでも十分形である。

下石もイーシャンテンだった。ドラのが対子なので打点十分。暗刻にして待ちのリーチが理想だ。

3者がアガりを狙う中、井上がを引いて待ちのリーチをかける。小平に追いついた。

小平が持ってきたのは無筋の。井上の河に筒子は1枚も切られていないため、非常に打ちづらい。

ここは打としてテンパイを崩す。井上の初手がであること、萬子が多く切られていることから比較的当たらない。にくっつけての押し返しも狙えそうだ。

さあ下石も追いついた。打の追っかけリーチ。

枚数上は井上のほうが有利(6枚対3枚)だ。待ちの数は2倍。しかしは安牌に困った際に出やすい牌でわからない。

結果は下石が井上の掴んだを捕らえて5200のアガりとなった。

東4局1本場でも下石がリーチ平和一発ツモで加点。東場は下石と小平のリードで終える。

南1局

チャンス手だったのは須藤。打とすれば456の三色が見込めそうだ。しかし須藤は切りを選択。ちょっと違和感を覚える一打だ。とりあえずを切りそうなものだが。

後のインタビューで須藤は「途中、ちょっと変な打牌をしてしまって……」とコメントした。ここが該当の場面だったかはわからないが、この日は須藤の実力があまり発揮できていなかったかもしれない。

中盤に入り、井上にドラが暗刻となった。配牌シンデレラならぬ「ドラシンデレラ(実況の日吉辰哉プロ)」である。

須藤が待ちの先制リーチを放つも

この手格好ならば追っかける気満々だろう。打で目いっぱいのイーシャンテンに。須藤の2打目にを打たれているので、は当たりにくいのも好要因。

そして須藤の当たり牌を吸収してのテンパイ。打一で待ちの追っかけリーチだ。

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