刺激【文・佐々木寿人】

11月の初頭、都内のスポーツバーへプロボクシングの観戦に行った。

目的はもちろん井上尚弥選手の応援である。

元々は4月に行われる予定だったが、コロナの影響で延期となり、しかも対戦相手も変更となったこの試合。

私は井上選手の圧倒的なKO勝ちを期待する一方で、その緻密なゲームプランをしっかりと目に焼き付けておきたかった。と言うのも、昔から麻雀とボクシングには、相通ずるものがあると考えていたからだ。

トビ終了のない競技麻雀にはKO勝ちというものはないが、開局のハネマン和了はさながら初回にダウンを奪ったようなもの。そこからどうやって勝利を掴み取るか。詰めの部分も含めて、井上選手のファイトから様々な要素を学び取りたかったのである。

結果としては井上選手の7回KO勝ちで終わったのだが、何より目を引いたのは試合終了後に井上選手がアップした練習動画だ。

ミット打ちのその動画は、まさに相手選手をキャンバスに葬ったストレートそのものだったからである。

それを見た瞬間、私は感動すら覚えていた。試合前はおそらくかなりの重圧があったことは想像に難くない。しかし、それに打ち勝つためにはとにかく様々なケースに備えての練習あるのみという、井上選手の覚悟が伝わってくるような動画だった。

同じ勝負事に生きる人間として、大切なものは何なのかということを再確認させてもらえるような出来事だった。

さて、我々の世界でも様々な練習方法があるが、私はとにかく打ち込み中心の手段を取っている。しかもそれは四人麻雀ではなく、三人麻雀での稽古がメインである。

冗談で友達がいないから、と答えることもあるが、実際のところは短時間に多くの局面と対峙できるというのがその理由である。

私の麻雀で最も欠かせないのが反射神経で、そこを磨けることも大きい。三人麻雀では当然のことながら敵は二人。

 

文・佐々木寿人

【続きは近代麻雀12月1日発売号「攻める」にて】

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