シンプルに手なりが怖い!卓上を支配する瀬戸熊直樹「クマクマタイム」の正体【熱論!Mリーグ】担当記者:渡邉浩史郎

熱論!Mリーグ【Tue】

シンプルに手なりが怖い!

卓上を支配する瀬戸熊直樹

「クマクマタイム」の正体

文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2019年11月26日

とにかく最近のMリーグは大荒れだ。

 

11/19には沢崎誠選手がMリーグレコードとなる+112.1ptを稼いだかと思えば

 

11/21には白鳥翔選手が、

 

そして本日11/26の第一試合では前原雄大選手がそれぞれ大きなポイントを稼いでいる。

その荒れ具合は試合時間の長さにも表れている。最近では二戦目が終わって23時を回っていることもざらだ。

こうした長試合は一視聴者としては大変楽しいものなのだが、観戦記ライターとしては書き出しが遅くなってしまい、なかなか辛い側面もある。

また、取り上げたい場面が多いことも、うれしい反面、場面の切り取りや文章の全体量が増えることで作業時間が増えてしまう。悩ましいが、ライターとしてはぜいたくな悩みでもあると言えよう。

さて話が脱線してしまったが、こうした大トップ・長試合の裏には親番での猛連荘が付き物である。

そんな流れを感じ取ったか、二戦目にやってきたのは元祖猛連荘。

卓上の暴君、瀬戸熊直樹選手その人である。

先に書いてしまうとこの半荘、瀬戸熊選手はまさに卓上の暴君の名そのままに、82100点の大トップを獲得した。

クマクマタイムと言われる、瀬戸熊選手がゾーンに入る時間。クマクマタイムへの入り方と、入ってからの打ちまわしを見ていくことで、その本質の一端を分析していこう。

【東1局】

開局から勝負手が入った瀬戸熊。

12巡目でこの形。瀬戸熊はここから……

とした。フリテンで2度受けのを残した形だ。

対面の石橋伸洋でチーしており、は6枚見え。

中張牌が安い和久津晶から仕掛けてフリテン解消の満貫を視野に入れた選択だろう。副露を考えつつ、打点を落とす選択はしない。瀬戸熊らしい一打だ。

ドラのを暗刻にしてテンパイ!ここは当然のリーチといった!

そしてこれを一発ツモ!リーチ・一発・ツモ・タンヤオ・赤・ドラ3・裏1の倍満だ!

開局のこの大物手の一発ツモ、そして武者震いを始める瀬戸熊の手。なかにはこれで瀬戸熊はゾーンに入ったと思う人もいるかもしれない。当の瀬戸熊はどう思っているのだろうか?次局を見ていこう。

【東2局】

配牌からするすると手が進み、あっさりとドラを引いてのテンパイ。リーチをかければ出アガリ3200以上、ツモって1300/2600以上だ。ここはゾーンに入っていれば当然立直か……?

ダマだ!まだまだ良形変化もあり、さらなる高打点も見込める。ここで手に蓋をするべきではないという判断だろう。

これならどうだろうか。高めのなら出アガリもしやすく、打点も伴ってくる。瀬戸熊の選択は……

待ちを変えずにダマ続行!

でこそアガリやすいかもしれないが、シャンポンの片割れであるは一枚打たれており、全く信頼できない。

かといってここでを打って、シャンポンでダマでの出アガリも見込める形にすると、今度は最終形ともいえるのシャンポンが取れないし、良形への変化も見込めない。

だがそういった理由以上に、瀬戸熊の中ではまだゾーンに入っていない、曖昧なリーチは打たないという信条があったのだろうと思われる。

前局で倍満こそアガれたものの、ここで逸る気持ちで大局を見失ってはいけないという瀬戸熊の強い意志を感じた。

だから当然親の石橋から来たこのリーチに対しても……

静かに息をついて、回ることを選択した。

当たり前と言えば当たり前ともいえる選択だ。だが瀬戸熊という打ち手を知っていると、こうしたダマテンを押し切ってアガる姿を期待してしまう。

この満貫のくっつきイーシャンテンになっても、現物ので静かに手を進める。

しかし自然に形となったこのテンパイは……

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