麻雀の稼ぎは
勝率×レート×回数
私の新宿の店は、今はソフトピンですが、開店当初は点5の東南戦でした。
その当時新宿には、2ピンの東風戦のフリー雀荘が何軒かあり、雀ゴロや麻雀プロの仕事場になっていました。
古くからの知り合いのプロは、東風戦の裏メンをやっており、抜け番の時には私の店で、点5で遊んでくれました。
裏メンという言葉の通り、当時は裏のメンバーとして、仕事場の店ではお客さんのフリをして打っていたんです。
今では裏メンという言葉はあまり使われなくなり、打ち子と呼ぶことが多いです。
私の店にもいますが、身分を隠すことはなく、抜け番の時は店内で漫画を読んだり、スマホを見たりして待機してます。
かつて私が本誌で「麻雀で食え!」という戦術記事を連載していたのは東風戦全盛の頃で、当時のレートとゲーム代なら食える時代でした。
そのプロが裏メンをやってる店は、サシウマもOKで、いい稼ぎになっていたようです。
私の店で遊んでいる時に出動要請が入ると、代走を頼んで本職に移動します。
新人女子に頼むこともあり、マイナスも多かったと思うんですが、2ピンの東風戦チップ千両に比べると気にならないんでしょう。
腕はあるんだから、喫茶店で待機するよりは安上がりだと思います。
当時は半チャンいくらの出来高契約がメインでした。
勝ち負けとゲーム代は自腹ですが、東風戦は回数がこなせるので、時間効率がいいんです。
ただし、私はたくさんの雀ゴロや裏メンを見てきてますが、長く続けるのはかなり難しいです。
何か月もコンスタンに勝っていたのが、急に赤字になることもあります。
新人女子メンバーや年配客相手に勝っていても、状況は変わります。
新人女子はリーチが少ない、年配客は仕掛けが少ない。
負けている人はこれらのバランスが悪いので、それだけで裏メンや勝ち組のお客さんには有利です。
それが、自分と似たような打ち方をする若いお客さんに囲まれると、自分の有利性が埋もれてしまいます。
同業と同卓したり、ベテランの男性メンバーが入ると、さらに厳しくなります。東風戦の店で長く働いている従業員には、とてつもなく強い人がいます。
それに不ヅキがたまたま連続すると、たちまちパンクしてしまうんです。
1ゲームで勝てる平均金額は、せいぜいチップ1枚か2枚分くらいです。
逆にチップ1枚ずつ負け続けることは簡単に起こってしまうんです。
もちろん長く勝ち続けている打ち子もいます。
腕の良さはもちろんですが、普通のレートだとお金の管理がしっかりしてないと無理です。
腕があることを前提にした理想は、高レートで早いヤツ(東風)さえ打てれば、細かいお金のことなど考える必要がないくらい、勝
てるんですけどね。
高レートのセットが
理想だが、現実は厳しい
「親方、ネット麻雀を打ってくれませんか?」
麻雀で食え! の単行本を出す時に編集者に頼まれました。
私が打ったのはハンゲーム。
詳しい仕組みは忘れましたが、デカピンなどの高レート卓がありました。
私は白シャツと呼ばれる、一切課金無しのままランクを上げて行き、最終的には、たぶん上から2つ目の地位の大臣になりました。
ハンゲームは同卓拒否ができたので、私のような白シャツの貧乏人は、課金アイテムをたくさん持っている、貴族部屋などでは卓に入れて貰えなかったりしました。
ガツガツと勝ち上がったヤツは貴族卓での話題にふさわしくないし、平均収支が大きいヤツにカモられて、課金が増えるのが嫌だ
ったのかもしれません。
貯金が三億円くらいになってたので、仮に五千回打ったとすると、ニニンガシで1回あたり六万円のプラス。
あれ? 思ってたよりヒトケタ多いです。
レートを勘違いしてたのかもしれませんが、要は高レートなら腕はそれほどでもなくても、勝ちやすいということです。
でも、現実社会で誰がこんなレートで打ってくれます?
ギャンブルの宿命のようなものです。
宝くじを含む公営ギャンブルなど、レートを上げられるものは基本的に勝てません。
資本も腕もモノを言いません。
パチンコや麻雀のような、民間の法的にグレーがギャンブルは、職人としてコツコツと勝つことはできますが、レートアップが難しい。もし一時的にできても続きません。
ごく例外的に続いている麻雀のグループは、麻雀で勝つ必要が無いお金持ちです。
その中に、白シャツが潜り込むのは至難です。
むかし高レートに連れてってくれた人は、私のことを「木場の材木屋の若旦那」って紹介してました。
私は四国から出て来たばかりで、標準語さえ怪しいのに、そんな下町言葉なんか話せません。
確か潮干狩りのことを、ひよし狩りって言うし。
しおひ狩りと、ひよし狩りですよ。
ま、他のメンツの素性もほんどが嘘だろうし、お互い様ですが。