俺たちにできることは過程を積み上げることだけ ドリブンズに襲いかかる闇を吹き飛ばした園田賢の一撃【Mリーグ2020セミファイナル観戦記4/20】担当記者:ZERO

1枚の【北】が日向や滝沢に流れていたら、もう出に期待できない。

こうして園田は【1ピン】をツモり…

2着目の滝沢から8000の直撃。

セーフティリードを築くことができた。

おそらく、どの順番で切っていてもアガれていたとは思うが、園田の繊細な守備意識が垣間見えた1局だった。

南1局 麻雀の正解とは

いや、全員の親番が残っている南1局で、セーフティリードなんて存在しない。

実際に園田はこのMリーグの舞台で散々まくられ続けてきた。

近藤誠一による伝説のオーラス倍ツモでトップをまくられたのは園田。

寿人にも倍ツモでまくられ、黒沢のオーラスフリテン満ツモや裏条件でまくられ…と、ここ4戦、園田はその夜の主人公の影に隠れ、まくられ続けてきたのだ。

このときも

(今日は誰にどんなふうにまくられるんだろうな)

などと考えていたという。

メンヘラか。

だから…か、であろうか

園田はこの絶好の【3マン】【6マン】【9マン】をヤミテンに構えた。

赤をツモっても入れ替えてヤミテン続行。

南1局で守りに入るには早すぎる…と考える人もいるだろう。

しかし、やはり園田は捨て牌のバランスを見ていた。

親の日向(対面)が【南】【東】と役牌連打の切り出しで、手をまっすぐ進めている。

そして日向は【9マン】を切っていて現物。

さらに瀬戸熊が国士模様で、今なら【3マン】【6マン】が無条件に拾えそう。

直後だった。

実際に日向から

リーチが入る。

【1マン】【4マン】【7マン】の三面張だ。

園田は一回もツモることなく…

滝沢から【9マン】がこぼれた。

まさに園田の注文通りの展開になったわけだ。

こうやってみると園田の選択が冴え渡ったかのように見えるが、そうとも限らないのが麻雀の難しいところ。

日向がテンパイしないこともあるし、実はリーチを打てば一発ツモと裏でハネマンになっていたかもしれない。

かといって、山をめくってハネマンになっていたからといってリーチが正解というわけではない。

無数に存在する結果の中で、長期的に見て得となる選択をとり続けるのが強者だ。

ただ、実際の戦いで起こる現象は1つだけ。

その1つの結果によってその日のヒーローが決まることだってあるし、当然裏目を引き続けることだってある。

親の日向からリーチが入り、現物がこぼれる。

1つの結果に過ぎないが、その1つの重要性を噛み締めている園田は、安堵したのではないだろうか。

南2局 繊細か弱気か

日向の親を落とし、実質の敵は滝沢・瀬戸熊の2人となった。

そんな園田はこの配牌から【5ピン】を切った。↓

次にここから打【8マン】。↓

かなりスリムに構えている。

役牌を重ねてリーチすることなくアガれるルートを確保するとなると他に切る牌がない。

こんな門前でテンパイしにくい形で…

と考えていたのだろう。

しかしうまくいくときは何をやってもうまくいくものである。

苦しい2度受け部分(【6ピン】【9ピン】)を引いて、あっさりピンフテンパイ。

するとわざわざ丁寧に【9ピン】を切っている親の滝沢から

リーチが入る。(上家)

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