俺たちにできることは過程を積み上げることだけ ドリブンズに襲いかかる闇を吹き飛ばした園田賢の一撃【Mリーグ2020セミファイナル観戦記4/20】担当記者:ZERO

【3ピン】がこぼれてくるケースより、押さえつけて相手を降ろした方が幾分マシ…そういう判断である。

園田は-377.6に終わった2019シーズンほどではないが、2020のレギュラーシーズンも-28.7と本調子とは言えない成績で終わった。

良い手を作るも一歩届かなくて2着、もしくは全く手が入らなくてラス。

そんな展開が多い印象だ。

打ち手にやれることは良い抽選を受け続けることしかないのだが、園田のもとにはなかなか当選の知らせがこない。

闇の中でもがき続けているのだ。

そんな闇を吹き飛ばすような瞬間がきた。

全員に圧をかけながら、園田の手元に【3ピン】が舞い込んだのだ。

リーチ・ツモ・【中】・ドラ3の3000-6000!

こんな苦しい待ちをツモる園田の姿はあまり記憶にない。

ラッキーに見えるかもしれないが、配牌からの暗槓、リンシャンから引き寄せた【1ピン】、リーチ判断がなくてはこの未来にはたどり着けていない。

 

東4局 不可解な選択を紐解く

混戦の渦中にいる雷電・瀬戸熊の親番。
その瀬戸熊が真っ直ぐ攻める。

まずはここからドラ【北】を放った。↓

自身が赤赤でこれ以上のドラは足かせになりかねない。

その2巡後、園田の手に…

ドラの【北】が重なる…!

園田としては、役牌ドラを直前に切られ「してやられた感」を覚えているハズだ。

さらに瀬戸熊はここから打【5ソウ】。↓

次の巡目には、ここから打【5ピン】。↓

好形を重視する瀬戸熊は、どちらもペン【3ピン】を払っていくイメージだが、瞬間の受け入れを重視した。

こうして…

垂涎の【3ピン】をキャッチ。

赤3枚のイーシャンテンにたどり着く。

園田が重ねる前にドラを処理し、最速でたどり着いたイーシャンテン。

瀬戸熊の牙が今にも卓上を襲わんとしていた。

これに園田が応戦する。

この【9ソウ】チーから発進。

【8マン】とし、ドラ【北】のポンとチャンタ三色のマルチルートな仕掛けだ。

しばらく瀬戸熊も園田もイーシャンテンのままジリジリ局は進行した。

すると園田が…

ここから【2ピン】を切った。
なんだこれは!?不可解オブ不可解である。

【4ピン】を切っていて【1ピン】【4ピン】部分がフリテンだし、【2ピン】を切ってしまうと【北】のポンテンがきかないのが痛すぎる。

また、【4ピン】【2ピン】と切ったことにより、滝沢から出るはずだった【1ピン】が出づらくなってしまうというデメリットもある。

ではなぜ園田が【2ピン】を先に切ったのか。牌譜を開いて考えてみよう。

瀬戸熊から今にもリーチがくると感じていたことは間違いない。

瀬戸熊という男は、伊達や酔狂でドラを切るような打ち手ではない。

それにしても【2ピン】は瀬戸熊の切っている【5ピン】の筋である。

園田は瀬戸熊の手の内を推測した。

ドラを切っても十分な手…おそらく123や234の三色があるのではないかと。

瀬戸熊の捨て牌を見ると4から下を一切切っておらず、こういうときは123の三色に寄っている可能性が結構高い。

三色が崩れるにせよ、数字の下の部分が危険牌になるのだ。

それを考えると、下の部分しか持っていない園田の手牌はデンジャラス極まりない。

【北】をポンすると瀬戸熊に対する安全牌が皆無になってしまう。

たとえ筋の【2ピン】であろうと安全とは言い切れない…いやむしろ危険牌の1つである、沿う感じたのだ。

それでも【北】が出たときはポンしたほうがマシだと思うが、その瞬間のために【2ピン】を抱えておくほどではない、と判断したのだと推測する。

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