「ロン」
開かれた手は、まさかのホンイツ。親のホンイツ赤、12300が前原から日向へ。トップが入れ替わる。
南3局2本場は黒沢がリーチツモ赤ドラの2200-4200をツモアガリ。
日向がトップでオーラスを迎える。
なんとしてもトップを持ち帰りたい前原。表情にも気迫が漂う。
配牌だ。いい。アガれば再び日向に並びかけることが出来る。
牌を持ってくる指にも熱が宿る。
だ!これでリャンメンが二つのイーシャンテン。
この熱気を受けて、
トップ目の日向、
ドラがトイツのこの手格好から、
を切っていく。
打とした場合には、手牌全体を使ってチートイツとメンツ手の両天秤にかけるので、安全牌が持てなくなってしまう。チートイツに決め打つことで、の部分の自由度を上げて安全牌と持ち替えることを可能にし、速度感がある前原の攻撃に備えた守備的な選択だ。
次巡、
前原がリーチだ!
残しておいたを切り、その後も受ける日向。
7巡目に、
を引いてテンパイ!を勝負して、待ちは単騎だ!
日向と前原のめくり合い。
決着がついたのは11巡目だった。
だ!!
前原のリーチを見事に受け切ったチートイツで日向が、チートイツドラドラ6400のアガリ。
これで日向は、2019レギュラーシーズン、セミファイナル、ファイナル、2020レギュラーシーズン、セミファイナルの、全てのタームでの成績がプラスとなる快挙を成し遂げた。
チームとしてもABEMASは2位のサクラナイツに100ポイント以上の差をつけ、再び離れた首位となった。
一方、「とりこぼした」と語っていた前原。トップが欲しかったが、2着という最低限の役目を果たし、最終戦を戦う寿人にバトンをつないだ。
4位風林火山と5位格闘俱楽部との差は僅か28.8ポイント。ドリブンズも、格闘倶楽部の最終戦次第にはなるが、連敗だけは避けたい。
ファイナルへと進むことが出来るのは、いったいどのチームか。
数々の一瞬を最後まで見届けよう。
京大法学部卒の元塾講師。オンライン麻雀「天鳳」では全国ランキング1位。「雀魂」では4人打ち最高位の魂天に到達。最近は、YouTubeでの麻雀講義や実況プレイ、戦術note執筆、そして牌譜添削指導に力を入れている、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著者であり、元Mリーガー朝倉康心プロの実兄。x:@getawonarashite