狙うはクビのかかる
4位脱出か優勝奪取か!?
勝又健志が紡いだ
EX風林火山、大逆転の道筋
文・危険な鬼太郎【月曜担当ライター】2021年5月17日
麻雀のタイトル戦の多くは優勝以外意味がないタイトル戦が多い。意味が無いという言い方よりも価値が無いと言った方がより正確なのかも知れないが。
このMリーグの決勝戦は各麻雀団体で行われているタイトル戦とは違い、4着だけにしか価値が無いタイトル戦だ。1位にはMリーグ王者の称号と賞金五千万円が与えられ、2位には賞金二千万円、3位には賞金一千万円が与えられる。4着のチームは1年を通して激戦を繰り広げて決勝に残ったのにも関わらず一銭も与えられない。
よく麻雀のタイトル戦で問題になるのが目無し問題。最終半荘でどうあがいても優勝できないと悟った選手がそれ以降一切局に参加しなくなり、親番の人が大連荘しているシーンを私はよく見て来た。麻雀のタイトル戦で大逆転をしてタイトルを獲得してきたプロも数多いる。
そういうシーンが続くと麻雀の内容自体はもちろん面白いのだが…如何せん対局時間がかなり伸びる。Mリーグはそういう問題を改善する為にこのシステムにしているのだと思う。
各チームとももちろん最後まで優勝を目指したい所ではあるが、今日の結果次第では明日の戦いを2位、3位争いの麻雀に切り替えざるを得ないチームも出てくるかもしれない。
最終日のポジションを確保するための負けられない前哨戦が始まった。
【5月17日 1回戦】
北家 沢崎誠(KADOKAWAサクラナイツ)
東3局 親・勝又 ドラ
東1局は沢崎の一人聴牌、東2局は村上が5200をアガリ迎えた東3局。沢崎がを1枚スルーした後にドラ表示牌をポン!
打とする。中々厳しい形から鳴いた沢崎。を1枚目から鳴かずにメンゼンで進行させようと思っていたもののこの手はメンゼンでは無理と見たか。
無論鳴いたからと言っても厳しい手ではあるが…。親の現物のの対子があるからこその冒険。
沢崎がここで面白い打牌を見せてくれる。2枚切れのを引いて
打として対子をほぐす。この選択はなかなかできない。解説の渋川は「これはよりもの方が安全度が高いからです」と言ってはいたが。確かに渋川の言う通りこのは親の勝又だけでなく、若干捨て牌が変則な村上にも通っている。
この沢崎の選択は形式聴牌を拒否しているのと同じ。場も中盤から終盤に差し掛かっているのでタンヤオのアガリと形式聴牌の両方を睨んでの対子を残したいところではあるが、この男はアガリきる気満々だ。
手の内からの対子落としを堂々と見せ、自分の捨て牌をアピールする沢崎。オタ風の安全牌を手の内から2枚落としてきたので他家から見れば、沢崎がもう聴牌していてもおかしくはない。
沢崎は序盤でもよく捨て牌を作っているが今回は中盤でも捨て牌を作る。実際はほぼ安全牌のを手の内に抱えたイーシャンテンなのにも関わらず。
そこから場は一気に動く。親番の勝又がドラのを打つと多井がこれをポンし、
タンヤオドラ3赤のイーシャンテンとなり、沢崎も
フリテンながらで追いつき、
これに呼応するかのように親番の勝又がリーチ宣言!
リーチ赤のシャンポン!
このシャンポン待ちは1枚しか残っていなかったものの、勝又はなんとこれを一発ツモ。
裏ドラが乗らないことに定評がある勝又。一発ツモなら文句も無いか。リーチ一発ツモ赤の4000オール!トータルポイント三番手から猛追。
東3局1本場 親・勝又 ドラ
沢崎が若干イーシャンテンを狭くする打ち。
ドラが1つでもあれば喜んでペン受けも残したい所だが現状はリーチのみのつまらないイーシャンテン。ペンの受け入れを拒否し、やにリャンメンを求める。希望は赤牌引きか。
次順、沢崎はを引いて即リーチ!
リーチのみの愚形は麻雀では最も避けたい待ちではあるが、この手牌はリャンメンに待ちが変わる事はあっても打点変化が少ない手だ。赤牌とぐらいしかない。ならば巡目が早い事も手伝ってリーチの方がマシだとみたか。
仮に裏目のを今後沢崎が引いてきたとしてもそれも捨て牌で利用できる。がリーチ宣言牌ではない分だけ、他家からのの出も期待できる。
沢崎としては他家が回って欲しいが故に掛けた先制リーチではあったものの、親番の勝又は手を一切曲げずに押し続けて聴牌を入れる。
待ちで追っかけリーチをするかと思いきやここはヤミテン。
序盤で1枚切れているノベ単騎の待ちには自信が無かったか。ヤミテンにしておき牌のスライドやリーチに行ける牌を待つ。
を引いての三面張リーチが理想か。
勝又はすぐにこれをツモ。