伝説はやはり強かった　サイボーグ・小林剛との打ち合いを制した精密機械・荒正義　麻雀最強戦2021「男子プロ歴代王者決戦」観戦記【決勝卓】担当記者：東川亮

こうなると切りが惜しく感じられるが、かといってこれを即リーチとするような打ち手ではない。

ドラ引きで打点アップと共に役もついた。

テンパイ自体は荒が一番乗りだったが、小林も4巡目で追いつく。

だが、ペンチャンを外して好形を求める選択。

さすがにまだ組み替える時間はある、という判断だろう。

7巡目、たろうが単騎テンパイとなるが、を切ってテンパイ取らず。

こちらも目先のテンパイではなくいい待ち、高打点を狙う。

各者が思惑を持って手を進める中、荒がを引き戻して待ちでリーチ。

こうなると、捨て牌の最初に置かれたが異彩を放つ。

同巡、小林もテンパイ。

ロン牌を使い切っての待ちでリーチをかけた。

 

このリーチ対決を制したのは小林。

とはいえリーチのみ1300と安い手だったが・・・。

裏が3つ持って8000。

一発勝負で、この僥倖は大きい。

東場は4局中3局を小林がアガって、戦いは南場へと進んでいく。

南1局、荒の選択が興味深かった。

一気通貫と三色、どちらも見える牌姿から、を引いてテンパイ。

この時点で三色は完成、出アガリ5200の手で、19字牌を引けばチャンタやジュンチャンによる急激な打点上昇もある。

いったん単騎のダマテンにして変化を待ちつつ、出たらアガるという打ち手が多そうだ。

しかし荒の選択は、待ちでリーチ。

安目出アガリ2600だが、

が自身から3枚見え、

にある程度アガリの感触があったのではないだろうか。

高目は、山からすぐに消えた。

そして、リーチ後に上家たろうのロン牌にもなった。

だが、荒はをツモり、裏ドラを乗せてこの手を2000-4000に仕上げた。

高打点への期待よりも、アガれる手をしっかりものにする。

これぞ「精密機械」だ。

南2局は荒が小林に、この日4回目となる放銃。

だが、南2局1本場ではリーチを力強くツモアガり、リーチツモピンフドラドラ裏の3000-6000（+1本場）。

これで、ついに荒がトップ目に立った。

南3局。

荒は配牌からがカンツ、さらにドラも暗刻にする。

こうなると一気にアガリへと向かいたくなるところだが、たろうが切ったはチーせず、ゆったりと構える。

を鳴いてもネックは残り、その状態で押し返されるリスクを考えた、ということだろう。

特に親のたろうは絶対にオリない場面だからだ。

だが、ネックが解消されるはさすがに仕掛ける。

そして打ち出されたをたろうがポン。

一気に場が動く。

荒が絶好のを重ねてテンパイ。

待ちは自身でを4枚使っているだけに、

特にの景色はかなりよく見えていそうだ。