やっほーい! 儂じゃよー! 今日も元気に3000・6000! 麻雀歴1000年の鴉天狗、千羽黒乃が今週もキンマwebに参上じゃ!
前回のコラムでは「安牌がないときのしのぎ方」についてお話したのじゃ。
早いリーチに対して現物もスジもないときは、字牌や端牌を切ることで放銃率を低く抑えることができる! また、複数枚持っている牌を切れば、1度の勝負で次巡以降の安全を買うことができるため、一層おトクとお伝えしたのじゃ。
VTuber千羽黒乃の麻雀講座【第59回】 安牌がないときの緊急手段! 「字牌・端っこ作戦」じゃ!
さてさて、当コラムもおかげさまで連載第60回! ここまで続けられたのも、いつも読んでくれる皆様のおかげじゃ。節目を迎えた今回は番外編!
いつもの戦術コラムとはちょっと違った切り口で、麻雀についてお話するのじゃ!
戦術革命!? 誰でも使える麻雀AI!
今週はインターネット麻雀の世界で、歴史に残る大事件があったのじゃ。
ドワンゴ社が開発した麻雀AI「NAGA(ナーガ)」が牌譜検討サービスを開始したのじゃ!
天鳳の牌譜解析サービスをはじめました!
悩んだ局面があった半荘を解析して段位戦の振り返りに使ったり、解析レポートを知人と共有して議論したり、新しい麻雀の楽しみ方に繋がれば幸いです。https://t.co/APl1AXXanO #NAGA解析 pic.twitter.com/gLjhW8Py9D— 麻雀AI NAGA(ナーガ) 特南十段 (@NAGA025) August 19, 2021
「NAGA」はインターネット麻雀「天鳳」において、人間のトッププレイヤーでも到達困難とされる十段に到達し大きな話題となった麻雀AIじゃ。600万超のIDが登録されている天鳳においてわずか28人しかいない十段の1人(1AI?)ということからも、その強さがうかがえるじゃろう。
実は4月のコラムでも一度、麻雀AIについて取り上げたことがあったのじゃ。
VTuber千羽黒乃の麻雀講座【第40回】 新時代の麻雀?!麻雀AI登場じゃ!
しかし、当時の麻雀AIはその性能のごく一部しか明らかにされておらず、「ネット上で戦うことができる強い対戦相手」に過ぎなかったのじゃ。
今回公開されたNAGAの画期的な点は、任意の牌譜をNAGAに解析させることができるという点じゃ。これによって麻雀AIの活用の幅が飛躍的に広がったのじゃ!
この大ニュースには、プロ雀士の方も注目している様子じゃ!
https://twitter.com/Go_Saito3110/status/1428752654339956737
すみません、有識者の方にお聞きしたいのですが麻雀A IのNAGAを開発した方のお話だとナッシュ均衡から大きく外れたプレイヤーがいるとゲームの性質が大きく変わってそのプレイヤーから搾取する方が最適戦略を取るより得になるのでナッシュ均衡通りにやるというのが(続く
— 白鳥 翔 (@s_Shochan0827) August 21, 2021
AIにできること・できないこと
具体的に、AIによってできるようになったのは以下のことじゃ。
・牌譜を解析し、AIの提示する「最善手」(鳴きやリーチ判断も含む)を知る
・巡目ごとの期待順位・和了率・放銃率・横移動率・流局率を数値として見る
・他家の聴牌確率と、手の中の牌の危険度を知る
実際に儂も早速NAGAを使った検討配信を行い、その機能を確かめてみたのじゃ!
疎かになりがちな序盤の端牌・字牌の切り巡から始まり、細かな押し引きや儂のニガテな鳴きの判断にいたるまで、様々な角度から自分の打牌を客観的に評価することができ、とても有意義な検討をすることができたのじゃ!
一昔前のAI観といえば、「受け入れ枚数を最大にする」・「先制聴牌したら愚形でもリーチをする」・「リーチを受けたらベタオリする」といったイメージが強くあったのじゃが、NAGAの打牌は非常に柔軟じゃ。
愚形や安手のリーチにならないような丁寧な手組みをし、ときに鋭く鳴いてアガりをもぎ取る姿には強い意志を感じる場面もあるほどじゃ!
(実戦で儂が鳴くことができなかった、下家のポンを推奨するNAGA。
「ラス目の親番を流したい」、「ペンのリーチは打ちたくない」といった意図が感じられるのじゃ!)
逆に、AIにできないのは以下のことじゃ。
・「なぜその打牌が最善手なのか説明する」
・対局しながら、リアルタイムにAIによる対局解析データを見る
そう! AIは最適と思われる打牌を教えてくれるけど、なぜそれが正しいかは教えてくれないのじゃ! そこで重要になるのがAIを用いた牌譜検討となるのじゃ。つまり自分とAIの打牌に食い違いがあった場合、そこに至る過程をうーんうーんと牌譜とにらめっこしながらいっぱい考える! このプロセスが非常に面白く、麻雀に対する理解もより一層深められると儂は考えているのじゃ。
なかにはAIの推奨打牌を見たうえで、「それでも私はこっちの方がいいと思う!」という場面もきっとあることじゃろう。じゃが、AIの打牌を取り入れずとも、そこに至った思考過程をなぞることで、自分の中に新たな回路が生まれるのじゃ。
これがAIを用いた学習で得られるもっとも大きなメリットだと儂は感じたのじゃ!
AIを利用し、成長していく!
AIの打牌はありきたりでつまらない、AIの模倣をするだけなら皆が似たような打ち手になるのではないか、個性が失われるのではないか、そう感じる方ももちろんいるじゃろう。
確率や期待値を重視した、いわゆるデジタル麻雀が大きく話題になった2000年代にも、同じような意見を聞いた覚えがあるのじゃ。じゃが、それから20年経って麻雀はつまらなくなったじゃろうか? 儂はまったくそうは思わないのじゃ!
むしろ基礎となる打ち方が確立されたことにより、「これから麻雀を覚えたい!」という初心者の方が体系的に麻雀を学び、成長してゆくための土壌が培われ、大きく発展したと感じているのじゃ! そして上級者の間でも戦術トレンドが年単位で変わっていき、これからもどんどん進歩してゆくことじゃろう。
新しいことを学ぶということは常に人生を豊かにし、学び続ける限り若者のままでいられると儂は考えておる。これからもどんどん新しいことを学んでいつまでのピチピチの鴉天狗であり続け、雀士としても成長していきたいのじゃ!
新しい歴史の1ページを間近で見られる喜びを感じながら、AIと共に発展してゆくこれからの麻雀に注目していきたいのじゃ~!
鴉天狗の姿をしたVtuber。キンマwebで『VTuber千羽黒乃の麻雀講座』を連載中。趣味は歌と麻雀。麻雀歴1000年、天鳳は最高九段。
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