「このままでは終われない」
岡田が投げた5本のリーチ棒
文・ZERO【火曜担当ライター】2021年11月30日
東1局がこの日の4人を象徴するような1局だった。
東家から順に紹介していこう。
近藤は耐えていた
親番の近藤がここからを切った。↓
安全牌を抱えてのオリ。もう戦う気のない選択である。
想像してみて欲しい。
ファンの期待を背負い、チームの復権をかけ、仲間とハイタッチをして控室を出て、よーいどんの東1局である。
いくら配牌が良くないからといって、親番をあっさりと諦められるだろうか?
ぐらい切って、遠い456の三色やピンズのイッツーあたりは残したくなる。
長い選手生活を経て、近藤の左手は知っているのだ。
ドラなし愚形まみれのこの手牌で前に出てもろくなことがない。
耐えるところはたとえ親番だろうとしっかり耐える。
それが長いスパンで考えた時の最善だと。
このように東場の近藤はひたすら耐えていた。
東2局↓
ここから打。
前巡のの時点でまともにやり合う気がない。
字牌を抱えながらホンイツやチートイを意識した選択。
東3局にいたっては… ↓
なんとここからを切った。
瞬間をツモったら789の三色でやり直すということだろうか。
それにしてもこの手牌から完成メンツに手をかける発想すら浮かばない。
東1局に話を戻そう。
近藤がベタオリしたのは、南家・小林が仕掛けたことも一因だった。
をポンして切り。
守備力は心もとないが、しっかりと1000点の手牌を前に進める。
チームも自分も劣勢だろうと、普段とやることは何も変わらない。
「平常心で『よりよい選択』を繰り返したものだけが勝つのだ。」
と語ったとおり、淡々と無表情で航路を切り開いていく。
滝沢は理想を追い求めた
滝沢はここからを切った。↓
そもそも対面から切られたをスルーしている。
安いイーシャンテンに取らず、高打点を狙った選択である。
さらに驚いたのが直後。
とツモ切り。
残った1枚のを抱え、ドラのを絶対使い切るという意思を感じる。
アガリのルートを狭め過ぎでは?と感じる人もいるかとは思うが、Mリーグというフィールドにおいては「安いルートを絶ち、高打点に育ったときだけ攻め返す」という戦法は合っているのかもしれない。
他のフィールドと比較して、軽い仕掛けがあまりに不利だからだ。
例えば滝沢の手でを仕掛けても、次を鳴かせてもらえない。テンパイしてもアガリ牌が出てきづらい。
そうこうしているうちに手を育てた人だけが襲いかかってくる。
仕掛けに頼れない以上、こちらも高打点で押し返せるように育てたほうが良いのではないか… と、滝沢の取ったルートにツモが呼応する。
ドラのを重ねて、盤石のイーシャンテンに。
そして
を引き入れてテンパイ!