【熱論!21人のMリーガー】佐々木寿人・KONAMI麻雀格闘倶楽部〜逆襲の準備は整った“大攻めダルマ警報”発令!〜

熱論!21人のMリーガー

佐々木寿人・麻雀格闘倶楽部

〜逆襲の準備は整った

“大攻めダルマ警報”発令!

文・ZERO【KONAMI麻雀格闘倶楽部担当ライター】

 

2018年最後の週末、カーテンを開けたら雪が降っていた。

どうりで朝から冷え込むはずである。

下を見たら、土の部分には雪が積もってきているが、アスファルト部分はまだ黒々としたままだった。眺めていると、雪は道路に打ち付けられた瞬間は白く広がり、存在を残すが、すぐにとけて水分となり道路の黒に染まっていく。しばらく見ていたが、上空から次々と雪は降り注ぎ続けるも、なかなか積もるまでには至らなかった。

ふと、KONAMI麻雀格闘倶楽部のこれまでの戦いを思い出した。

打てども打てども勝ち星は積もることなく、たまに白星を飾ったと思ったら、今朝の雪のように解けていく…とてもしんどい戦い。

そんな格闘倶楽部、年明け逆襲のキーマンだと私が勝手に思っているのは

佐々木寿人だ。

寿人はアマチュア時代の「フリー雀荘で1000万貯めた男」で一躍有名になった。

こう書くとダークなイメージを持つかもしれないが、実は逆で、寿人はとてもストイック。酒もタバコもやらず、ゆえにキャバクラ等にも行かない。無駄遣いをせずギャンブルもやらない。麻雀が強いのは当然として、コツコツと節制した結果1000万貯まったというのが実際のところだ。(もちろんMリーガーとなった今はオンレートを一切断ち切っている)

 

こうして寿人は雀荘勤務が続いた頃、前原雄大プロと出会い、その麻雀に感銘を受けてプロの世界に足を踏み入れた。寿人の著書「ヒサトノート」に師として前原の名前を挙げている。

十数年後、その師匠と同じチームでMリーグという晴れ舞台にて戦っているとは、面白い運命だと思う。

そんな寿人は、2018/10/2、格闘倶楽部の開幕のメンバーに抜擢された。

オーラス、トップ目でこの手牌。

対面の村上からリーチが入っており、下家の滝沢もを押している。そして上家の親・松本も仕掛けを入れてテンパイしているだろう。

寿人はツモってきたをそのまま切り、村上にマンガン放銃。トップから2着に転落してしまった。

このように寿人は超攻撃型麻雀だ。

他のチームの選手のように、見えない部分を推測して手を曲げたりしない分、アガリ番は絶対逃さず、爆発力は高い。前原も高宮も同様だ。

一方で格闘倶楽部は、その分オーラスの着落ちも多く、とても勿体なく感じる。

例えばさきほどの場面、たしかに共通安牌はなく、1人ノーテン濃厚。は中筋であり、仕方ないようにも見える。

しかしそれにしてもハイテイ前の手番だ。非常に難しい判断だが、同じ筋なら幾分マシなを切って1人ノーテンを受け入れる…という選択肢もあったように思う。

こうして格闘倶楽部はスタートにつまずいた。

その後も寿人は悪い流れを断ち切れず、余る牌が放銃になり、めくりあいにもとことん負け、点棒を吐き出し続けたのだ。

それでも一貫して攻めの姿勢を保ってきた寿人にさらに試練が訪れる。

この日も不幸な放銃が続き、箱割れ寸前のラス目だった。

国士のイーシャンテンまできたところで2軒リーチを受けた。

上家・亜樹のリーチは整っている可能性が高いし、その亜樹のリーチに追っかけた、対面・松本のリーチも本手の可能性が高い。

普通に考えれば、まぁオリる場面だ。寿人は

2人に通ってないを切った。

これが松本に放銃。

おや?と私は思った。

押すのはいい。しかしどうせ押すなら絶対切らないといけないからではないだろうか?は亜樹に通っているし、は後からでもより通りやすい方を選べる。

攻めの姿勢を保っているようで、ほんの少しの揺れを私は感じた。

その揺れを決定的に露呈させてしまったのは次の対局だ。

瀬戸熊の早い親リーチを受けた場面。

捨て牌は

←リーチ

となっており、ほぼノーヒントで安牌はZEROだ。

寿人はこの手牌から吸い込まれるようにを打った。

裏裏で18000の放銃。

たしかにはワンチャンスではある。

しかしこの1巡を凌いでも次が続かず、その上で押し返せるルートを遮断してしまっている。

 

何を切っても放銃する可能性はある。

それなら寿人にはまっすぐを切るか、もしくはを切ってほしかった。

オリるならを切って3巡凌ぐ…という手もある。この捨て牌なら何を切っても放銃率に大差はない。

は押しにもオリにもなっていない、中途半端な選択だと感じた。

おそらく寿人も後悔しているハズだ。

しかし、逆に言うと、悪い部分が最初のうちに出てよかった…とも考えられる。

なぜなら、その後の寿人はこの放銃のおかげで吹っ切れたようにアガリ出したからだ。

この時はラスを引いてしまったが、また次の対局だった。

オーラスの最終打牌。

このを切るかどうか。

魚谷がソウズを2つ晒してこの手牌だ。

が余ってテンパイ模様。実際にテンパイしている。

あの初日の放銃が寿人の脳裏をかすめる。

いや、寿人にはもう迷いはなかった。

スクショをとるのに難儀するくらい、あっという間には場に放たれていた。

ここで弱気をみせたら、微差でトップ目の魚谷は伏せるかもしれない。

どうせ倒れるなら、前向きに倒れよう。

あの村上に放銃したは攻めた結果だが、あの瀬戸熊に放銃したのような後悔はしたくない。

その後の寿人の活躍は凄かった。

Mリーグ初の役満を和了。

寿人は団体対抗戦でも地和をアガっており、あまりこういう表現はしたくないのだが、「持っている」としか思えない。

さらに

終盤・片割れが2枚見えている、というシャボ待ちでリーチ一発ツモ。

攻めに攻めた結果、前半の借金を返済して、なんと個人成績プラスに躍り出た。

格闘倶楽部も、一時期400pt前後あったマイナスが今や-141.8ptだ。

降っては消えていく雪を眺めながら、私は幼少のころから疑問に感じていることを思い出した。

雪が積もるためには消えずに残る、「最初の一粒」が必要だ。

その「最初の一粒」はどれだけ強く、尊いのだろう。

とけることなく踏ん張り、上から降り注ぐ雪を支え続ける、一番下の一粒。

2018年の年の瀬、5連闘で6位に浮上した前原の奮闘が、最初の一粒だったように感じる。あとは寿人が、高宮が、その上に白星を積み重ねていくだけだ。

 

ZERO(ゼロ)

麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で『傀に学ぶ!麻雀強者の0秒思考』を連載中。

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