朝倉の栄光に隠れた不器用な敗者たち 【Mリーグ2021観戦記1/4】担当記者:ZERO

問題はこの【5マン】を残すかだが…

先ほどと違って【5マン】【4マン】と比較して

・安全度が高く
・赤を使い切ることができ
・枚数も1枚大きい

という小さいながらも3本のメリットがある。

ただし、【4マン】【2マン】→(字牌)→【5マン】とリーチしたときにちょっと【3マン】【6マン】が警戒されやすくなってしまうというデメリットもある。

それらのメリットデメリットを加味した上で、村上は【2マン】を先に切った。

残した【5マン】も次に字牌をツモったら切るつもり… それくらいの牌だったのかもしれない。

しかし、その一瞬を神様は許してくれなかった。

【5マン】を残した直後に朝倉からリーチが入り…

ハネマンの放銃となってしまう。

アガった朝倉は、ダマでマンガンある手牌、しかも場況の良いマンズ待ちをリーチに踏み切った。いや、場況がいいからこそリーチに踏み切ったのか。

いずれにせよトップ目でありながら、さらなる高打点を狙った朝倉は牌に乗っているといえ、放銃した村上との明暗がくっきりと分かれた。

この1巡で【5マン】が放銃になるってどんな確率よ… と村上は天を仰ぐ。

結局村上も、ひょっこりツモった1300オール以外、この半荘アガることはなかった。

インタビューで村上は、ひたすら麻雀の細かい思考を語り続けた。

まつかよの入る隙間もなく、悲壮感を漂わせ、ただひたすら喋り続けたのだ。

中途半端に見えるかもしれないけど、1つ1つの場面であらゆる要素を鑑みて俺は選択している… でも麻雀はこういうゲームなんだ! という魂の叫びのように聞こえた。

わかっている。矢継ぎ早に麻雀の話をしなくても、チームメイトもファンもみんなわかっているよ。

村上淳という男が、1つの選択にどれだけ多くのことを考えているかを。

これまでドリブンズに、どれだけポイントと勇気を与えたかを。

4着 村上淳 -47.5

なんか死んだ人を紹介するみたいになってきたが、最後は黒沢だ。

意思を示した黒沢咲

この半荘、黒沢はほとんど出番がなかった。手が入らなかったのだ。

裏インタビューの中で、唯一悔いが残ると語るのは東3局

ここから【6マン】で朝倉に3900の放銃となった場面。

あの黒沢がドラ【7マン】受けを嫌ったから見ている人は驚いた。

役牌をポンしている下家の朝倉の捨て牌に注目して欲しい。

黒沢は、【7ピン】【8マン】の2種類を通すよりかは、ここで【6マン】を勝負しておいて、あとで安全な【9ピン】を切ろうと考えたに違いない。

「調子が良ければドラ受けを残して【7ピン】【8マン】と払うんだけど…」

と黒沢は言葉少なに語る。

朝倉が突き抜け、敗戦処理となったオーラス。

黒沢、4巡目の手牌がこちら。

普通は1000点アガって2着確保といったところだが…

朝倉の切ったこの【4ソウ】を黒沢は…

どこか憂いのある表情でスルー。

いやいやいや黒沢さん。この状況で逆転が見えないわけだし、ポンテンとりましょうよ! …というのは一般論。

ポンテンとはいえ、1段目に仕掛けて愚形待ちでは返り討ちに合う可能性もある。

動いてうまくいかない場合もあれば、動かずにうまくいかない場合もある。

その中で、私のこれまでの経験から動かないことを選択しただけ。

同じ負けるにしても、私は私のまま負けたい。

結局、黒沢はメンゼンでテンパイを入れ…

5001000のアガリで終局となった。

同じ2着にせよ、黒沢の戦い方を貫き通した美しい5001000だったように感じる。

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