問題はこのを残すかだが…
先ほどと違ってはと比較して
・安全度が高く
・赤を使い切ることができ
・枚数も1枚大きい
という小さいながらも3本のメリットがある。
ただし、→→(字牌)→とリーチしたときにちょっとが警戒されやすくなってしまうというデメリットもある。
それらのメリットデメリットを加味した上で、村上はを先に切った。
残したも次に字牌をツモったら切るつもり… それくらいの牌だったのかもしれない。
しかし、その一瞬を神様は許してくれなかった。
を残した直後に朝倉からリーチが入り…
ハネマンの放銃となってしまう。
アガった朝倉は、ダマでマンガンある手牌、しかも場況の良いマンズ待ちをリーチに踏み切った。いや、場況がいいからこそリーチに踏み切ったのか。
いずれにせよトップ目でありながら、さらなる高打点を狙った朝倉は牌に乗っているといえ、放銃した村上との明暗がくっきりと分かれた。
この1巡でが放銃になるってどんな確率よ… と村上は天を仰ぐ。
結局村上も、ひょっこりツモった1300オール以外、この半荘アガることはなかった。
インタビューで村上は、ひたすら麻雀の細かい思考を語り続けた。
まつかよの入る隙間もなく、悲壮感を漂わせ、ただひたすら喋り続けたのだ。
中途半端に見えるかもしれないけど、1つ1つの場面であらゆる要素を鑑みて俺は選択している… でも麻雀はこういうゲームなんだ! という魂の叫びのように聞こえた。
わかっている。矢継ぎ早に麻雀の話をしなくても、チームメイトもファンもみんなわかっているよ。
村上淳という男が、1つの選択にどれだけ多くのことを考えているかを。
これまでドリブンズに、どれだけポイントと勇気を与えたかを。
4着 村上淳 -47.5
なんか死んだ人を紹介するみたいになってきたが、最後は黒沢だ。
意思を示した黒沢咲
この半荘、黒沢はほとんど出番がなかった。手が入らなかったのだ。
裏インタビューの中で、唯一悔いが残ると語るのは東3局
ここからで朝倉に3900の放銃となった場面。
あの黒沢がドラ受けを嫌ったから見ている人は驚いた。
役牌をポンしている下家の朝倉の捨て牌に注目して欲しい。
黒沢は、の2種類を通すよりかは、ここでを勝負しておいて、あとで安全なを切ろうと考えたに違いない。
「調子が良ければドラ受けを残して→と払うんだけど…」
と黒沢は言葉少なに語る。
朝倉が突き抜け、敗戦処理となったオーラス。
黒沢、4巡目の手牌がこちら。
普通は1000点アガって2着確保といったところだが…
朝倉の切ったこのを黒沢は…
どこか憂いのある表情でスルー。
いやいやいや黒沢さん。この状況で逆転が見えないわけだし、ポンテンとりましょうよ! …というのは一般論。
ポンテンとはいえ、1段目に仕掛けて愚形待ちでは返り討ちに合う可能性もある。
動いてうまくいかない場合もあれば、動かずにうまくいかない場合もある。
その中で、私のこれまでの経験から動かないことを選択しただけ。
同じ負けるにしても、私は私のまま負けたい。
結局、黒沢はメンゼンでテンパイを入れ…
5001000のアガリで終局となった。
同じ2着にせよ、黒沢の戦い方を貫き通した美しい5001000だったように感じる。