リーチを武器に敵を蹴散らす 海賊女帝・瑞原明奈はMリーグの女帝となるか【Mリーグ2021観戦記1/31】担当記者:東川亮

リーチを武器に敵を蹴散らす
海賊女帝・瑞原明奈
Mリーグの女帝となるか

文・東川亮【月曜・木曜担当ライター】2022年1月31日

大和証券Mリーグ、1月31日の放送からは、各チームのポイント推移がグラフで紹介されるようになった。ここから先は1戦1戦の意味が重くなるということで、リーグ側で用意したものだろう。これを見ると分かるように、大苦戦しているTEAM雷電を除けば、各チームが僅差となっている。出場する選手にかかる期待と責任は、ますます大きくなっていくだろう。

この日の初戦には、現在個人ランキング首位の瑞原明奈が登場した。今シーズンの瑞原はリーチ率がリーグ1位、アガリ率2位と、攻撃面が特に冴え渡っている。この日も、巧みな選択と強烈なアタックが卓上を席巻した。

第1試合
東家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:佐々木寿人KONAMI麻雀格闘倶楽部
西家:白鳥翔渋谷ABEMAS
北家:瑞原明奈U-NEXT Pirates

東1局1本場。もしかしたらこの選択が、後の展開を決めたと言ってもいいかもしれない。ソーズで2メンツ完成している1シャンテンで、ソーズの連続形が生まれる【5ソウ】引き。テンパイの受け入れ枚数だけを考えるならツモ切りが一番広く、【2ソウ】【5マン】をポンしてのテンパイもある。

瑞原は【5マン】を切った。この手は鳴いて2000点を視野に入れるのではなく、リーチを打って満貫クラスに仕上げたい、それならもっといい形を作れるところを残そう、ということだろう。【5マン】の先切りは、後の【3マン】【6マン】待ちを強くする効果も期待できる。

【5ソウ】残しがズバリとハマった【4ソウ】引き。

【3マン】【6マン】待ちが残ってのリーチは感触十分。リーチに少し時間を使ったのは、鳴かれにくさや後の暗槓の可能性も考えてのことだ。

これが1シャンテンの内川から一発で出て、8000は8300。

これが、瑞原劇場の始まりだった。

東2局では先制リーチをすぐにツモって2000-4000。

東3局タンヤオピンフドラ赤をダマテンに構えて内川から8000を出アガリ。手が入ったからと言って何でもリーチをするわけではなく、効果的にアガリを捉えていく。

そして、瑞原自身が「自分らしいアガリ」と振り返ったのが、東4局の親番。この局、瑞原の手には配牌で【中】のトイツが入っていた。

すぐに内川から出た1枚目はスルー、そして2巡目に自力で重ねる。

9巡目に門前でテンパイしてリーチ。ここも直前に白鳥から打たれた【3ソウ】をチーすればテンパイを取れたが、それをしないことでリーチによる打点アップにたどりついた。

一発でツモって4000オール。それにしても、瑞原は4局連続で先制テンパイをアガリに結びつけ、しかも全てが満貫と打点も十分。他3者としてはたまったものではないだろう。

連荘した東4局1本場も最初のツモでドラ赤赤、打点の種は十分で、形的にもかなりまとまりそう。

しかしそこに待ったをかけようとしたのが、瑞原に2度の満貫放銃をしてしまっている内川。

ドラを暗刻にしてのリーチは手応え十分。ツモってハネ満にでも仕上がれば、2番手に浮上して親番を迎えられる。

しかし、直後に瑞原が追い付く、【9マン】を切ればタンヤオピンフドラ赤赤、リーチをすれば18000からという超大物手。【9マン】は内川の切った【6マン】のスジで1枚切れ、かなり通りそうではある。

しかし、瑞原は少し手を止めて考える。なんかもう、貫禄がスゴい。

選択は、内川の現物である【6マン】切りリーチ。タンヤオの1翻を消すが、それでも打点は十分、ゆえに万が一の【9マン】放銃を嫌った。

リーチ後のめくりあいでどちらのアガリ牌も山に残っているなら、あとは運の勝負。となるとやはり・・・とは一概には言えないが、ここも勝ったのは瑞原だった。消したタンヤオは裏ドラでフォロー、リーチピンフドラ赤赤裏で18000。

いいリーチが打てるからダマテンも効く。選択とツモもかみ合った瑞原には、追い風が吹きまくっていた。

試合はこのまま瑞原がトップを獲得するのだが、試合直後には

「瑞原選手が超強かったです」

で観戦記を終わらせてもいいかなーとか、ほんのちょっとだけ考えてしまったくらいである。

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