またこの席に座るために…　セガサミーフェニックスを窮地から救い出した　魚谷侑未の覚悟 【Mリーグ2021観戦記2／1】担当記者：江嵜晋之介

その2巡後、瀬戸熊がテンパイを入れる。

を切れば一通ドラ赤のカン待ち。
2着を狙う場合は当然のテンパイ取りとなるが、
瀬戸熊はなんとここから打のテンパイ外しを選択する！

トップ目魚谷とは41,800点差。役満をツモっても届かず、条件は三倍満直撃となっている。
現地点でほぼ見えている役が門前清一色一通ドラ赤の10飜で、さらに平和・一盃口などができればダマテンでの三倍満も十分に狙える。

是が非でもプラスポイントを持ち帰りたい状況。瀬戸熊は大勝負に出る。
しかしその後→赤と引き待ちのテンパイとなる。

を序盤に切っているためフリテン。
テンパイを外したくなるが、下家には競っている園田がソーズの染め仕掛けを入れている。赤2つともは切れないと判断しテンパイを取る。
そして2巡後、ツモ切りリーチを敢行。

点数的にリーチは必要ないが、仕掛けている園田がソーズを余らせており、リーチをかけることで園田をおろしツモ回数を増やすことが目的かと考えられる。

フリテンで心許ない待ちだが、なんとこのがリーチ時山に6枚眠っていた。

しかし…

直後、園田が1枚

勝又が1枚

魚谷が1枚

瀬戸熊を飛ばして…

園田がもう１枚。
が瀬戸熊を避けるかのように吸収され、瞬く間に山2枚となってしまう。
あと1枚が本当に遠い、瀬戸熊に試練が続く。

そんな瀬戸熊に対して、親番の園田は

中筋のも切らずの対子落としを選択。
先述の通りノーテン流局が許される局面のため安全策を取る。

しかし園田にとって予想外の出来事がおきる。
それまで現物だけ切っていた魚谷が15巡目に通っていないを切り、次巡には完全無筋のを切り飛ばす。

明らかに瀬戸熊への差し込みを狙っているが、
親番の園田は役牌の対子落としを見せており、オリている可能性が高い。
試合後のYouTubeチャンネルにて「魚谷に差し込まれると困るから、オリていることが伝わりやすいようの対子落としを選んだ」と園田は語っていた。

流局終了の可能性が高いため、魚谷はわざわざ素点を払ってまで終わらせに行く必要はないのだが、これはチームポイントランキングを意識した打牌かと思われる。

ドリブンズは目下ボーダー争いをしているライバルチーム。
多少素点を削ってでもドリブンズの着順を落とす選択をした方が、セミファイナル進出を目標とした場合得になるという判断だろう。

瀬戸熊はフリテンリーチなので魚谷が差し込むことはできなかったのだが、この打で展開が大きく変わることになる。

魚谷が打とした巡目に、ダンラスで役無しカンでテンパイしていた勝又がツモ切りリーチを敢行！

自身のツモはあと１回。もちろんツモアガる可能性は低いが、その分相手の当たり牌を掴む可能性も低い。
なによりが通った後手出しを行っておらず、周りを早い段階で切っているため愚形含め待ちはかなり盲点になる。

このリーチ直後、タイミングの悪いことに園田はが余る形でテンパイを入れ一発で放銃となってしまう。

リーチ一発ドラの5,200は5,500点。
着順は2着から3着に落ち、2着を狙っていた瀬戸熊はアガれなかったものの、2着でゲームを終了することに成功する。

魚谷はポイントの大きいトップを取りつつライバルの着順を落とすという、これ以上ない結果をチームに持ち帰ることに成功した。

残り約20試合となったレギュラーシーズンだが、
今回のような終盤ならではの攻防がより増えていくことが予想される。