徐(しず)かなること林の如く リーチを使わず勝利をもぎ取った松ヶ瀬隆弥【Mリーグ2021観戦記2/7】担当記者:東川亮

執念のアタックは、果たして成就するのか。

だが、そこに松ヶ瀬が追い付く。【2マン】【7ピン】のシャンポン待ちはタンヤオで出アガリが可能。打点も出て7700、ツモれば4000オールと強烈だ。また、流局したときは伏せればいい。

【北】は既に松ヶ瀬が切っており、朝倉も1枚保持。最後の【北】は一つズレて松ヶ瀬の元に訪れ、それを間を空けずに切った。松ヶ瀬は萩原になら12000を放銃してもトップである。自身が赤を2枚持っていることから、倍満・16000の放銃になるケースはあまりないと踏んでの押しだったか。実際、【北】がトイツに当たったとしてリーチ【北】ドラ3の8000から。赤を1枚持っていてもそこに三色や一気通貫などの2翻手役か裏裏が必要になる。単騎待ちならなおさら倍満にはなりにくいということで、ギリギリまでは押す腹だったのだろう。

出たのであれば、アガらざるを得ない。順位の動かない8000で、試合は終わった。

リーグ最多タイとなる8勝目を挙げた松ヶ瀬。リーチゼロで制した一戦については「自分にとって珍しい展開」と語った。一番好きな役だというリーチで豪快に相手をねじ伏せるのも魅力だが、そういう展開にならないときも、巧みな判断でしっかりとアガリを取り、勝利を持ち帰る。今シーズンの風林火山の新戦力は、これで個人成績2位に浮上。もはや、チームになくてはならない存在となっている。

徐(しず)かなること林の如く。
この日、男の左手のリストバンドには、「林」の文字が刻まれていた。

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