最後に笑うのは瑞原明奈か? 沢崎誠か? MVPの座をかけたレギュラーシーズン最終試合【Mリーグ2021観戦記3/11】担当記者:渡邉浩史郎

沢崎が止まらない。赤赤ドラの形から自風を重ねて自在の形。これをアガれば瑞原に逆に条件を突きつける形となるが……

立ちはだかるは魔王:寿人。

沢崎だってもう止まらない。【東】をポンしてカン【4ピン】のマンガン聴牌。全てを左右する大捲り合い、制したのは……

寿人だ! マンガンのツモで、これで瑞原と沢崎の点差は8600点に開く。

【南3局】も寿人が軽くツモアガリ、8100点の点差を抱えていよいよ運命のオーラスに突入する。

【南4局】

状況を整理しよう。

・寿人は瑞原と伏せてもトップ逆転しないため、流局の場合はほぼ伏せる。
・ただ12000級をアガると捲られにくい王様タイムに突入するため、手作りはしてくる。
・瑞原と沢崎の点差は8100点。瑞原は萩原にマンガンまでなら打てる。沢崎はマンガン自摸以上。

沢崎はほぼ一局勝負を見越してこの局でのマンガンツモを狙う。
瑞原はとにかく状況を見て臨機応変に対応する。

そして注目の、沢崎の配牌が……

こちらだ。条件を満たす聴牌は色々あるが、いずれにせよ形ははっきり見えている。あとは一直線に進むだけだ。

瑞原もそこそこ整っているタンヤオ形。仕掛けてもいけるがその場合寿人と沢崎にスピードで勝てるか、安牌が足りるかが焦点となろう。

最初に動いたのは……

寿人だ! ホンイツ役ドラまででマンガン以上は既に見えている。沢崎が出アガリ8000をあがれない以上、沢崎のリーチに対しても強く押していけるため、聴牌まで目一杯持てるのも強みだろう。

それを受けて瑞原、自身から四枚目の【2ソウ】【5ソウ】から発進した。

受けていても勝ちがある局面の上、ソウズは沢崎にも寿人にも通りそう。だがその安全なソウズを二枚消費してでも、自身の手でアガリを決めに行った。強気の女海賊らしい力の選択だ。

この強気の選択が……

鳴かなければ沢崎に入っていた、最後の【赤5マン】を食い流した。
まさに勝負の綾。瑞原でなければ起こり得なかった展開といってもいいだろう。

この【中】も切り飛ばしていくと……

寿人がポン。これでピンズが余り、これで瑞原はもうピンズは切れなくなった。

しかし追う沢崎は関係なし。ドラ【3ピン】を引いて【2ピン】をぶつける。

【發】【中】ポンの寿人に【白】も叩き切る! 瑞原の【白】をスルーしてツモ切りからの【中】ポンのため、大三元こそほぼないものの、放銃したら18000からでこの半荘ラスまで見えてくる。

しかしここで行かずしていつ行くか、まさに最終決戦だ。

最後の瞬間は……

寿人の静かに伏せる音で、締めくくられた。

沢崎の「おめでとう」の言葉と握手で、この半荘真剣な表情で戦い続けた瑞原に

この日一番の、笑みがこぼれた。

これにてレギュラーシーズンは終了。チーム順位はご覧の通り。

去っていくチームに最大級のねぎらいと感謝を。
セミファイナルを戦うチームには過酷な日々と、その先の栄華を。

個人表彰は瑞原・伊達・多井となった。

一週間の休憩を経て、再び始まるMリーグ。

セミファイナルには遂にパブリックビューイングも復活。あの熱狂の夜が返ってくる。

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