俺たちは”全てを託されて”ここに来た……チームすべてを背負った男たちの奏でる抒情詩【Mリーグ2021-22セミファイナル 観戦記4/8】担当記者:渡邉浩史郎

小林は一瞬【3マン】が出そうな形になるが、何とか使い切れるチーテンで追いつく。

終盤に勝又も今通った【5ソウ】単騎の七対子ドラドラで追いつき。

ツモ番がないところで確実に一枚残っていそうな【9ピン】単騎で追っかけ。

全員のアガリ牌が残っている中、小林の引いた海底には……

【4ソウ】!!

ダブ【東】・海底・赤の4000オールで大きく一矢報いた!!!!

【東4局1本場】ピンフドラの先制リーチで全員を降ろして連荘。

このまま無限に親番を続けたかった小林だが、相対するは小憎らしいほど麻雀が強いやつら。

【東4局2本場】は多井が数々のノベタン・亜両面選択をさばき、300・500は500・700のツモアガリ。

いよいよ残り一周。南場に突入する。

【南1局】

南場も勝又の独擅場なのか。【2マン】アンカンから淀みなく、4巡で両面のドラ1リーチにたどり着く。

しかしここで立ちはだかったのはあの魔王:寿人。

前巡しれっと【1ソウ】を押し、勝又がツモ切った【7マン】でマンガンのチーテン。現物の【3マン】【6マン】待ちで待ち構える。赤を見せないことで高打点を隠し、多井からの出アガリ率を少しでも上げているのがひそかに繊細な選択だ。

決着はわずか一巡。寿人が引いて、これで勝又の親が落ちた。

これで勝又は残り最短3局。12000を3回アガっても届かない。事実上一回は役満を挟むのが現実的な条件という、厳しい状況まで追い込まれた。

【南2局】

今後勝又の加点がなさそうな以上、実質58000点の加点が目標になったパイレーツ。

メンタン赤の当然のリーチ。しかしこれさえも……

前巡のマンガンアガリで、ボーダーの封印から解き放たれた魔王が襲い掛かる。リーチの現物、七対子の【北】単騎で即リーチに踏み切った。

余りにも無情な魔王の宣告。

何を思うのかは小林のみぞ知るところだろう。

【南2局1本場】

解き放たれた魔王は当然この程度では止まらない。赤赤の手牌からすっとドラを手放す。

これを勝又がポン。オーラスに役満条件を満たすため。ここはマンガンの加点を目指した。

しかしそこにとびかかるは魔王のリーチ、高め三色。打ち込んだらいよいよゲームセットの鐘が鳴る。

勝又も【3ピン】【6ピン】の聴牌。

ここに最後方から追いついたのが小林。カン【4マン】の聴牌。現物とはいえ、ここはあらゆる放銃リスクに目をつぶってリーチに行くかと思われたが……

ダマテン!!

残り親番は一回残っている。ここでの8000放銃や12000放銃は親番での必要局数を増やすことになる以上、この形からは勝負に行けないという判断か。この負けている状況でこの判断を下す人間がどれだけいるだろうか。

「すでに起きてしまった結果を否定しちゃいけない」

「責任を取る道は身投げのような行為の中にはない」

そんなセリフが聞こえてきそうな小林の希望をつなぐツモアガリ。

【南3局】でも静かにマンガンのアガリを宣言。

最後の親にすべてを託したが……

最後、二チームに手を下したのも、また魔王のアガリであった。

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