森川ジョージ
日本ボクシング漫画の金字塔「はじめの一歩」の作者。麻雀愛好家としても知られ、作品内に渋谷の「麻雀オクタゴン」をモチーフにした店や、Mリーガーを登場させるほどだ。この日は何と、竹書房Tシャツでの参戦。
「はじめの一歩」の主人公・幕之内一歩は、幾度となく試合で劣勢になりながらも、持ち前のガッツと一撃必殺のパンチでKOの山を築いてきた。作中には、今の森川に匹敵するようなピンチだってあったはずだ。
まさか、この男も一歩のように逆転KOを見せるのか。役満・国士無双1シャンテン。この時点で、は山に1枚、中は山に3枚。
3番手の親番・福本は片山・本郷を逆転しなければいけない。森川の気配を感じた上での、待ちリーチ。この時点で、森川はまだテンパイしていなかった。
だが、
森川がテンパイした。しかも、ラス牌のから引き、待ちは福本の現物であるが残り3枚。リーチの福本はツモ切らざるを得ない。
「麻雀最強戦は思い出作り」
森川は対局前にそう語っていた。その言葉は謙虚さから出た本心だろうが、一方では勝利にだって執着しているはず。勝ちたい思いが生む奇跡を、彼は30年以上にわたって描いてきたのだから。
片山、本郷は退いた。あとは2人の勝負。片山がを1枚吸収し、待ち枚数は2枚対2枚。五分の差し合い、最後の打ち合い。
森川の、文字通り必殺の一撃は、空を切った。
裏ドラが乗って12000。
森川が散り、福本は生き残った。
なんとしても開けたかった手を伏せ、同卓者に見せることなく、少しだけ名残惜しそうに、森川は牌を落とした。
南4局1本場:HELL EDGE ROAD
福本は前局のアガリによって、片山・本郷と競りの状況へと持ち込んだ。ドラ1の手牌、ここでアガれば本郷を逆転し、勝ち筋を切り開ける。1枚目のから積極的にポン。
直後、本郷が欲しかった自風を自力で引き入れ、1シャンテン。
瞬間、本郷は対面の福本をチラリと見た。俳優・本郷奏多ではなく、勝負師・アカギの目。色気がヤバイ。
先制テンパイは本郷、のシャンポン待ち。福本はもちろん、5200は5500は片山が打っても敗退となる破壊力がある。
続いて片山がテンパイ。待ちピンフテンパイは、もし本郷がを打ってしまえばタンヤオピンフの2000は2300、福本を下回る。もちろん、福本が打ってもアウトだ。
お互いがお互いを葬り去る刃を、静かに携えている。
地獄の淵「HELL EDGE ROAD」。
さらに本郷に選択。シャンポン待ち続行か、カン待ちか。
少考し、本郷が選んだのはカン待ち。は親に通っていないが、既に切っているの筋で釣り出そうという、攻めの選択。は森川に暗刻だったが・・・
最後の1枚は、福本のところへ。ツモ切られたそれにかけられた言葉が、激闘に終止符を打った。
勝ち上がり:本郷奏多・片山まさゆき
B卓:4者4様の打ち方が示した、異なる麻雀愛の形
B卓で出場するのは、将棋棋士、お笑い芸人、野球選手、歌手。いずれも、さまざまな勝負を自身の才と努力で勝ち抜いてきた人たちだ。一発勝負の舞台で、各々に磨かれた勝負勘が光る。
東2局1本場:マジ、ハンパねぇ手順
東2局、大村の打牌が興味深い。引きで2メンツ目が完成したところで、孤立の字牌ではなく、の2度受けを嫌う切り。
次巡に残したを重ねたが、を切っての1シャンテンにはとらない。はすでに2枚飛んでいるとはいえ、なかなかに思い切った選択を見せる。1000点の仕掛けなどはせず、少しでも高くなる可能性を追うということか。
生牌の東もキープ。打点を作ろうという意思が見える。