立場も名声も関係ない 愛する麻雀を心の底から楽しんだ 著名人たちの宴 #麻雀最強戦2022 【 #著名人最強決戦 】観戦記【A卓B卓】担当記者 #東川亮

森川ジョージ
日本ボクシング漫画の金字塔「はじめの一歩」の作者。麻雀愛好家としても知られ、作品内に渋谷の「麻雀オクタゴン」をモチーフにした店や、Mリーガーを登場させるほどだ。この日は何と、竹書房Tシャツでの参戦。

「はじめの一歩」の主人公・幕之内一歩は、幾度となく試合で劣勢になりながらも、持ち前のガッツと一撃必殺のパンチでKOの山を築いてきた。作中には、今の森川に匹敵するようなピンチだってあったはずだ。

まさか、この男も一歩のように逆転KOを見せるのか。役満・国士無双1シャンテン。この時点で、【西】は山に1枚、中は山に3枚。

3番手の親番・福本は片山・本郷を逆転しなければいけない。森川の気配を感じた上での、【2マン】【5マン】待ちリーチ。この時点で、森川はまだテンパイしていなかった。

だが、

森川がテンパイした。しかも、ラス牌の【西】から引き、待ちは福本の現物である【中】が残り3枚。リーチの福本はツモ切らざるを得ない。

「麻雀最強戦は思い出作り」
森川は対局前にそう語っていた。その言葉は謙虚さから出た本心だろうが、一方では勝利にだって執着しているはず。勝ちたい思いが生む奇跡を、彼は30年以上にわたって描いてきたのだから。

片山、本郷は退いた。あとは2人の勝負。片山が【中】を1枚吸収し、待ち枚数は2枚対2枚。五分の差し合い、最後の打ち合い。

森川の、文字通り必殺の一撃は、空を切った。

裏ドラが乗って12000。

森川が散り、福本は生き残った。
なんとしても開けたかった手を伏せ、同卓者に見せることなく、少しだけ名残惜しそうに、森川は牌を落とした。

南4局1本場:HELL EDGE ROAD

福本は前局のアガリによって、片山・本郷と競りの状況へと持ち込んだ。ドラ1の手牌、ここでアガれば本郷を逆転し、勝ち筋を切り開ける。1枚目の【白】から積極的にポン。

直後、本郷が欲しかった自風【西】を自力で引き入れ、1シャンテン。

瞬間、本郷は対面の福本をチラリと見た。俳優・本郷奏多ではなく、勝負師・アカギの目。色気がヤバイ。

先制テンパイは本郷、【2ソウ】【8マン】のシャンポン待ち。福本はもちろん、5200は5500は片山が打っても敗退となる破壊力がある。

続いて片山がテンパイ。【6ピン】【9ピン】待ちピンフテンパイは、もし本郷が【6ピン】を打ってしまえばタンヤオピンフの2000は2300、福本を下回る。もちろん、福本が打ってもアウトだ。

お互いがお互いを葬り去る刃を、静かに携えている。
地獄の淵「HELL EDGE ROAD」。

さらに本郷に選択。シャンポン待ち続行か、カン【7マン】待ちか。

少考し、本郷が選んだのはカン【7マン】待ち。【8マン】は親に通っていないが、既に切っている【4マン】の筋で釣り出そうという、攻めの選択。【7マン】は森川に暗刻だったが・・・

最後の1枚は、福本のところへ。ツモ切られたそれにかけられた言葉が、激闘に終止符を打った。

勝ち上がり:本郷奏多・片山まさゆき

B卓:4者4様の打ち方が示した、異なる麻雀愛の形

B卓で出場するのは、将棋棋士、お笑い芸人、野球選手、歌手。いずれも、さまざまな勝負を自身の才と努力で勝ち抜いてきた人たちだ。一発勝負の舞台で、各々に磨かれた勝負勘が光る。

東2局1本場:マジ、ハンパねぇ手順

東2局、大村の打牌が興味深い。【7マン】引きで2メンツ目が完成したところで、孤立の字牌ではなく、【3ソウ】の2度受けを嫌う【2ソウ】切り。

次巡に残した【發】を重ねたが、【北】を切っての1シャンテンにはとらない。【2ピン】はすでに2枚飛んでいるとはいえ、なかなかに思い切った選択を見せる。1000点の仕掛けなどはせず、少しでも高くなる可能性を追うということか。

生牌の東もキープ。打点を作ろうという意思が見える。

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