熱狂の幕が上がる 新Mリーガー鈴木優 苦難を乗り越え初勝利を掴むことはできるか?【Mリーグ2022-23観戦記10/3】担当記者:江嵜晋之介

幾つもの選択肢を、1つもミスすることなく成就させた跳満。頭ひとつ抜けて魚谷がトップとなる。

その後点数が大きく動いたのは南1局、またしても魚谷が優からの直撃に成功する。
魚谷のリーチに対して優が切った【1マン】が、一盃口の高目となり跳満の出アガリ。2着の寿人との点差を広げ断トツとなる。

対局後のインタビューにて、優はこの局を振り返って「場の空気に飲まれていたかもしれない」とコメントしていた。

場面を振り返ってみよう。

リーチに対して現物がなく、仮にリーチが入っていなければ【1マン】を切る人が多いかもしれない。点数状況も加味し、自身の手を最優先した一打だ。

ただこの手から【1マン】を切ってアガりきる場合、魚谷のリーチに対して【1マン】【2マン】【5マン】(または【6マン】【6ソウ】)の3種類の無筋を通さなければならない。

魚谷は序盤、【6ピン】【8ピン】と手出しで切っているため、待ちはカン【7ピン】よりも良く、かつ【6ピン】を引っ張る必要もない好形であることがわかる。

もちろん【1マン】切りも選択肢としてはある。ただ優は東1局で、先制リーチに対して2種類の無筋を切らないで攻める選択を取っていた。


もし東1局のバランスが本来のスタイルであれば、無筋3種類を勝負するこの選択は本来のスタイルではなかったのかもしれない。

南3局ではここまで我慢の展開が続いていた萩原にチャンスが到来する。

好形ではあるものの打点の安い手牌。萩原は打点にこだわった打【4ソウ】を選択。

細かな点数なんていらない。4対子を活かしたチートイツ、さらには四暗刻までを見据えている。最高形は決して逃さない萩原らしい一打だ。

そして数巡後、なんと狙い通りに四暗刻テンパイまでたどり着く!


残りの待ちは【7ピン】1枚のみ。1枚のみだが確かに生きている。
実況席・パブリックビューイングの興奮は最高潮に達していた。

しかしその興奮に待ったをかけたのは寿人。
親番でカン【5ピン】待ちの役なしテンパイを入れる。

【5ピン】は場に2枚切れて残り2枚。お世辞にも満足な手とは言えないが…

寿人は手変わりを待つことなくカンチャンのままリーチ!


そしてまさかの【赤5ピン】一発ツモ!
6,000オールを成就させ断トツだった魚谷をまくりトップとなる。

与えられた手を最高形まで仕上げて勝負する萩原と、見ている人の想像を超えたアガりを決める寿人。

また今年もMリーグが始まったんだな、
そう改めて思わせてくれるような見事なせめぎ合いだった。

南4局、最後の親番を迎えた優の持ち点は-3,500点。
リーチまではかけられるものの、最後の1牌が遠く未だにアガりはない。

リーチは競り負け、他家には高打点をツモられる。自身の選択とツモも噛み合わない…。

逆風が吹き乱れる中でも優の表情に変化はない。
あくまで冷静に、与えられた手牌の中で最善手を探していく。
デビュー戦、最後の親番がスタートした。


5巡目、優の手牌。
345の三色まで伸びれば6,000オールまで狙える勝負手だ。
テンパイまでの受け入れ枚数を重視し、打【5ソウ】を選択する。


しかしその直後、寿人・魚谷の2人がテンパイを入れる。
寿人は【6マン】【9マン】待ちの1,000点。

魚谷はドラの発をポンしての【4ソウ】【7ソウ】待ち! アガれば文句なくトップだ。


2人に先を越されているものの、ラス目で親番の優がリーチといえば2人は向かってきにくいため状況は一変する。
優が引いてきたのは【6ソウ】


単騎待ち、しかも【5マン】が2枚切れているため使うことができない。

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