麻雀IQ220への道。「勝又何切る」入門編【Mリーグ2022-23観戦記10/28】担当記者:渡邉浩史郎

麻雀IQ220への道。
「勝又何切る」入門編

文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2022年 10月 28日


第1試合
東家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
西家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
北家:勝又健志(EX風林火山)

麻雀を知っている者同士で会話をすれば一度は話題に上がる。

それが「何切る問題」。

古くは新聞・雑誌・書籍といった紙媒体での解説形式から始まり、勉強会後に居酒屋の箸袋の裏に牌姿を書いて仲間内で徹底討論。インターネット麻雀の普及からは掲示板・ブログによりさらに議論は活発化。

現在ではTwitterやnote、何切る専用のアプリまで登場しており、多くの人の意見が集まる中で日々喧々諤々議論が交わされている。

何切るの内容自体も歴史を重ねるにつれ変わってきている。

古くはメンチンや牌効率など、単純に形に対する理解を促す問題だったり

東1局 南家 3巡目 ドラ【5ピン】

【2ソウ】【3ソウ】【4ソウ】【4ソウ】【5ソウ】【4ピン】【5ピン】【5ピン】【6ピン】【7ピン】【7ピン】【4マン】【4マン】【赤5マン】

といったセレブリティあふれる一向聴~二向聴の問題が多かったように思える。

しかし麻雀界全体のレベルが向上するにつれ、「点棒状況・場況を含めた押し引き何切る」といった、牌姿以外の情報を含めた何切るへと移行。

いわゆる「平面何切る」よりも「立体何切る」を目にする機会が多くなってきた。

そして最近注目を浴びているのが三向聴~五向聴位の牌姿をテーマにした「配牌何切る」・「序盤何切る」である。

どこまで守備駒を残すか、どこまで打点を見るか、そのためにどこまで形を犠牲にできるか。この辺は打ち手によって千差万別十人十色。また序盤という他家の少ない情報の中からどこまで必要なものを拾えるか、どこまで無視するかというのも大事なポイントだ。

そして全Mリーガーの中で、序盤の打ち方にもっともその人の個性が出ていると思えるのは……

やはりこの男。麻雀IQ220、「軍師」勝又健志その人だろう。

”結構狭く構える”のに”気が付いたら聴牌している”。そんなシーンをこのシーズンの少ない登板だけでも何度も見てきた。

彼の目からは何が見えているのか、何を考えているのか。この対局の「勝又何切る」を紐解くことで少しでも彼の世界を紐解いていきたい。

なお、その拾っている情報量・思考過程に麻雀IQ70にも満たないだろう私の理解が追いつけているとは到底思えないが、ご容赦いただきたい。

【東1局】

早速だが北家の勝又の配牌。赤が一つで面子が二つ。横伸びもしやすい好配牌。

勝又の選択は……

【9ピン】

この手をもらってもストレートに字牌処理と行かないのが勝又流。

【9ピン】を残すメリットは

・ドラ【7ピン】引きでのカン【8ピン】受け(【4ピン】【5ピン】【5ピン】【6ピン】【7ピン】【9ピン】)
【8ピン】引きでのペン【7ピン】受け

大きいところでこの二つ。

一方で残した【東】【白】は重ねると嬉しいし、後の安牌候補。

【東】【白】にせよ【9ピン】にせよ、今後3~4巡で結局いずれも切ることになりそうな牌ではある。

選択の理由だが、一つには日向の第一打【發】切りが要因としてあっただろう。

【發】を切っている
=日向の手には役牌の【發】以下の利用価値の牌は現状存在しない・【發】を重ねる手でもない
⇒比較的整っている・他の役牌の対子以上所持率が相対的にダウン。
⇒対日向への攻守兼用の牌として【東】【白】が使える可能性。

二つ目の要因としては親の黒沢に対しての人読みだろうか。

黒沢はとにかく鳴かない
⇒対黒沢において、【東】【白】が放銃牌になるケース以外では「切り遅れてしまった(=重ねられてしまった)」という敗着が起こりにくい

東1局第一打の時点で既に「勝又を牌効率通りに打たせない」情報がそろっていたというわけだ。常人ならパンク寸前である。

この局は先制リーチにたどり着くも、一人聴牌で流局。

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