先ほどの局と比較していただきたいのはこの【東3局】
勝又は第一打に役牌のを選択。
ラス目の瑞原が第一打
⇒ラス目の親はリーチに行きたいはず。第一打字牌処理でないということは既に字牌が一枚もないor字牌を重ねたい手牌。
⇒ならばこれくらいの手牌でもを先切り。どうせ切るのに残して親に重ねられて鳴かれる ケースが損。
次巡も同様にをツモ切り。この思考は……
完璧に瑞原の手牌を捉えていた。
重ねたいケースの方であったのは偶然ではあるが、なかなか凡人にはその偶然が捉えられない。
3巡目、しれっと自風のを残して切り。役牌がいらないわけではなく、他3者、特に親の風になる役を先に切りたかったのだという意思が伝わってくる。
さらに次巡は打。マンズで2面子、ソウズとピンズでそれぞれ1面子+どちらかでアタマの三色or赤ドラがこの手牌の目的地。
現時点で明確にスピード負けしている確証はないが、恐らくは後手になるだろうことを踏まえての安全そうな字牌二頭立てだ。
しかしここは後手で押し返しとはいけず、日向によるマンガンのツモアガリ。
さてここまでは子の時の勝又の手組をご覧いただいた。
勝又は手組について「相対的な手牌比較」の話をよくする。
どういうことかというと「自身の手牌評価が80点でも90点の手の人がいれば攻めにくい」が「自身の手牌評価が50点でも他3者が20点以下の手牌であれば攻めることが可能」という考え方だ。
麻雀というゲームは先制が非常に有利なため、多くの場合、手牌評価はスピードに依存する。
特にアガリ点が1.5倍の親は、このドラが多いルールにおいてスピードがそのまま手牌評価に直結しているといえよう。
ここまでの受けを見た選択も、対親を特に意識していたのが理解できたはずだ。
では自身が親番、しかもドラ1の先制リーチが打てそうな局面ではどうか。
【東4局】、勝又の親番の手組を見ればそれが顕著。
を引いて、ここで完全一向聴に取る打。
前巡に安全牌であるを切って残した。これはを引いた時にピンズをの三面張で使用するための牌であった。
打しかしを引いたことにより、単純に聴牌できる受け入れがとの四枚分増加。
良形を確定させ、愚形を良形に変化させる可能性を見たツモ切りよりも、今あるドラ1を生かして子供の足止めができる先制リーチを打ちやすい形を選んだ。
この選択が明確に結果に出たわけではなかったが、勝又の親番での手牌評価をスピードにおいている一面がよく現れたシーン。
ツモに裏ドラ3枚のっけて6000オールの大きな加点に成功する。
【東4局1本場】
大きな加点に成功して連荘。配牌も悪くない。
一気通貫・チャンタ・ホンイツ・三色といろいろな役が見えるところだが……
勝又は打。
勝又の選択の説明をする前に、麻雀における〇枚役という概念に触れておこう。
丸の部分には数字が入り、「ある役は、それを形成するのに〇枚牌が必要である」ということを表す。部分役それぞれの枚数を表しているイメージだ。
例えばイーペーコーは手牌の中で役を形成するのに6枚必要なため、6枚役である。
など
今回手牌で狙える役で書いていくと
一気通貫 9枚役 7枚持ち
チャンタ 全体役
ホンイツ 全体役 9枚持ち
123三色 9枚役 5枚持ち
こうして見るとまず一気通貫が本線(残り二枚で完成)である。仕掛けてマンガンが見込めるホンイツや面前リーチは打点的に外せないとなると、横伸びしづらいは不要という結論になることがわかるだろう。
ここでのツモ切りも同様。この形から見込むはチャンタ・一気通貫・W。どれにもかからない上に愚形ターツのはいらないだろう。
次巡のは残し。マンズのイーペーコーも打点+面子手としてみた場合単純に頭として使うケースも出てきそう+マンズの上が程よく切られているの三重奏。
ドラポンに合わせてチャンタの仕掛けを入れるも、ここは日向のツモアガリ。