7年目の平気
文・ゆうせー【木曜担当ライター】2024年9月19日
今年はどこか違う。
「開幕から数戦は、自己紹介の時間」
が通例だった。
誤解を恐れずに言うと、各選手が「私ってこんな麻雀をするんですよ」と、のびのび麻雀を打つのが、いつものMリーグ序盤だったように思う。
今年はどこか違う。
まるで、セミファイナルが始まったかのような緊張感。
記憶に新しい、
熱戦を締めくくる、渡辺太、オーラス渾身のアガリと、その姿。
また、例年と比べて、心なしか、
序盤から字牌を捨てて、ブクブクに構えている選手が増えたようにも思う。
まだほんの数戦ではあるし、新加入の選手がまだ登場していないのもあるのだろうが、「ピストルが鳴った瞬間から全力疾走」している選手が多い、というのが私の感想だ。
開幕からMリーグに対する熱量はやはり凄いものがある。決して麻雀が崩れているというわけではないが、年々大きくなるMリーグという舞台の重みや注目度を、選手たちが肌で感じているのかもしれない。
そんな中で、
東家:小林剛(U-NEXT Pirates)
南家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
北家:勝又健志(EX風林火山)
今年が7年目になる歴戦の4選手は、この日も「自分の麻雀」を見せてくれた。
まずは、東1局。
ここから、
勝又怒りの…
カンチャン払い!(怒ってはいない)
立体図で見てみよう。
自風のは、早くも売り切れ。
タンヤオにもピンフにもなりにくいこの手は、高くするならソウズの一通、ということで、図のように5ブロックを決め打ちした格好だ。
さらに、孤立のマンズを切るのではなく「カンチャンターツ払いを見せつける」ことによって、他家に読ませることが狙いだろう。
「勝又の手、早いのでは?」と思ってくれたら、早仕掛けなど相手のミスを誘うこともできる。
「麻雀IQ220」勝又健志らしい、先を見据えた選択。
そして、この局にもう一人、早々にカンチャンを払っている選手がいた。
「最速最強」多井隆晴だ。
多井はこのイーシャンテンから、
打!
さらに、
次巡に打と、こちらも「カンチャン払いを見せる」手順を取った。
同様に、立体図を見ると、
打とする前のは、手役も何もない「価値に乏しい」イーシャンテンだ。
ならば、789三色やチャンタのタネであるを温存して、カンチャンを内側から切ることによって速度感を演出しつつ、他家の出方を伺った、という選択だろう。
孤立のでなく、カンチャンに手をかけるのは見え方の問題であろう。また、すぐにを引いたときのためにも、迷彩効果のあるは出来るだけ早く河に並べておいた方がいい。
多角的な視点を持つ、まさに「多井の一打」。
この2つのカンチャン落としを見ても、勝又や多井が泰然自若として、自分の麻雀を打っているのが分かる。
この局は、