「打数なら誰にも負けない」風林火山のエース・勝又健志を支えるのは 圧倒的な経験と研究量【Mリーグ2022-23観戦記11/8】担当記者:ZERO / 沖中祐也

勝又もこのリーチに対し、チートイ臭さを感じつつも

【北】【白】【發】【東】と通っていない字牌を4連打する。
「絞り切れないリーチに対してはふんわりとプッシュしていく」
との言葉通り、手牌を前に進めていく。

その勝又の手が珍しく止まった。

【7ピン】をツモり、【6ソウ】を切ればメンツ手とチートイツのイーシャンテンに取れる。

頭に手をやり、考える。
チートイツのイーシャンテンを維持する価値よりも、ここは…

現物の【8ピン】を切り、テンパイなら【6ソウ】勝負、【6ソウ】の周りを引いたらこれまた現物の【9マン】を落としていくというプランがいいだろう。

押し引きの狭間で、誰よりも実戦を重ねてきたという勝又がバランスを取っていく。
次の瞬間、その勝又が力強く発声した。

「リーチ!」
ドラの【4マン】を暗刻にしての【6ソウ】勝負!これなら見合う!

「チームの優勝に貢献できれば…」

「自分の成績なんてどうでもいいんです」

リーチ・一発・ツモ・イーペーコー・ドラ3の6000オール!
怪しげなリーチを受け、字牌を全部切り飛ばし、縦横難しい手牌をしっかりと捉えた。

勝又は一気に抜けた。

南1局2本場に再びキャットファイトを魚谷が制して

高宮から8000は8600。
バースデー登板だった高宮は
「誕生日とは」
との言葉を残して散っていった。
それでも打点を作ってまっすぐ攻めていく様は凄まじかった。
今日は高宮の日じゃなかった、それだけのことだ。

南2局に勝又が

ここから【7マン】を切る。
受け入れ枚数だけで言ったら【5ピン】を切ってリャンメン(【4ソウ】【赤5ソウ】)リャンカン(【3マン】【5マン】【7マン】)のイーシャンテンに取る手牌。【7マン】を切って【6マン】の受け入れを犠牲にすることによって、【3マン】【5マン】【4ピン】【6ピン】といったツモでより良い形に変化する。
トップ目で愚形リーチを打ちたくないからこその選択ではないだろうか。

この【5ピン】残し選択がズバリで

【4ピン】がくっついて…

【3ピン】をツモってリーチ!

ダメ押しのアガリとなった。
リーチ・ツモ・ピンフ・赤・ドラの2000・4000!

南3局も1300で蹴り、ウイニングラン。

こうして勝又は逃げ切り、トップを堅守。

青年はただの麻雀オタクだった。
自分が勝つことだけにすべてを捧げてきた。

その青年は今、最高峰の舞台で、チームの大黒柱として輝き続けている。

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