無骨な男たちによる叩き合い!
牌で語る瀬戸熊直樹の麻雀流儀
【決勝卓】担当記者:ZERO/沖中祐也 2022年12月11日(日)
──我思う。
麻雀における「強さ」とはなんなのか。
屈強な男たち
紅白歌合戦とグラコロと並ぶ年末の風物詩「最強戦ファイナル」の時期がやってきた。
今年のファイナルは華やかな女性6名を含む、フレッシュな顔ぶれが揃った印象だ。
ところが激戦を制し、決勝卓に残った4人はフレッシュさとは程遠い、無骨で男臭い屈強なおじさんたちだったのである。
卓が小さく見える。
半荘1回勝負はあまりにも運ゲーと言われがちだが、この男たちの勝ち上がり方を見ると、運命を捻じ曲げてきたような印象だ。
特にこの男。
プロ棋士、鈴木大介。
B卓では
この倍プッシュフリテンリーチを高目のドラでツモリ返し、決勝卓へ名乗りを上げた。
「マンズは良さそうでしたから」
と、こともなげに語る大介だったが、をダマテンにする発想、そしてその決断スピードは麻雀プロ側も学ぶ部分があるのではないだろうか。
小場が動いたのは大介から
小さいやり取りで始まった決勝卓。
東2局1本場、そんな大介が魅せる。
まずは友添がこの手牌からを2枚スルーした。
両面()×両面()のドラ1は勝負手。
トップ取りの麻雀なら… いや、そうでなくても
リーチ・ツモ・ドラ・裏を狙うべきなのだ!
このリーチに対し、大介が一発で
(ほぼ)安全牌のを切ったのだが、その速さと迫力に解説の滝沢も
「安全牌なのにこの迫力…」
と苦笑する。
さらに前原も
この手牌で無筋のを切り飛ばしていく。
「だっていらないじゃない」
とその後も押し続けていくのだが、もはや麻雀ではなく相撲のぶつかり稽古を見ているようだ。
すぐに追いついたのが大介。
どっちに受ける?
ドラを使ったカン待ちか、ドラを切り飛ばしたシャンポン待ち()か。
大きな体躯を曲げ、唸り声を上げる大介が選んだのは…
打。そのどちらでもなかった。
大介は独特の感性で打っているから何を考えているのかはわからないが、あまりに危険なドラ周りを切ってドラ周りの愚形待ちでは割に合わないと判断したのだろう。
(実際にカンはすでに4枚持たれていてカラ。)
それにしても剛腕の印象が強い大介だけに、この柔らかい対応は意外だった。
すぐにをツモってテンパイ復帰し
最高の形となってアガリをものにした。・三暗刻・ドラ2の8000は8300。
これに飛び込んだのは現・最強位の瀬戸熊。
はリーチの現物、大介が気配を殺していたとあらば仕方のない放銃に見えるが、オリ打ちを嫌う瀬戸熊は「ゲームを壊してはいけない」とここで気合いを入れ直したという。
言葉のないぶつかり合い