そう信じる者しか救わない
せこい神様 拝むよりは
文・ZERO/沖中祐也【火曜担当ライター】2022年 12月 13日
イクラ大戦争
シーズン序盤、誰がイクラを食べただの食べてないだのの話題で持ち切りになった。
しかし、私はイクラのイの字も書かなかったしツイートもしなかった。
ほとんど買っている黒点棒さんの記事も、これだけは買っていない。
いや、わかる。ファンが喜んでくれるなら… と、Mリーガー側もサービスの一環でイクラの話題を提供したり拡散しているのだろう。
イクラを食べれば強くなるなんて、誰も本気で思っていない… はず。
これはイクラで盛り上がる人への誹謗ではない。むしろ無邪気で微笑ましいとも思える。
お隣の将棋界だって、藤井くんが昼に何を食べたかが話題になっているではないか。
私の信条なのだ。麻雀は何を考えて何を切ったかに集約される。
そこに思考や感情が関われど、決してイクラは入ってこない。
戦争だった。
ピンズがイクラに見えるという解説があっても、私はかたくなにサッカーボールと言い続けた。もはや、自分でも何を守りたいのかわからなくなってきたが、おそらく小林剛や園田あたりは私の気持ちを理解してくれるはずだ。
ぐっ園田までもそっち側の軍門に下ってしまったか。
…ただ、神様に祈りたくなる気持ちもわかる。
ドリブンズはセミファイナル進出のボーダーまで約270pt。ちょっと浮上しそうになったらすぐ連続のラスで沈む、という悪循環を繰り返している。
ドリブンズの呪い。
勝てるはずのチームがずっと泥土を這いつくばってきた。
まだ折り返してもいないが、この展開のまま終盤に突入すると他チームによって抑え込まれてしまうし、過去に似たような経験もしてきた。
信じる者しか救わない、せこい神様拝むよりは…
第1試合
東家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
南家:二階堂亜樹(EX風林火山)
西家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
ゼウスと呼ばれる男に運命を託そうじゃないか。
この4人を見た時に、私がまず思ったことは
「早く終わりそうだな」
だった。
その予感は的中した。
高速の打牌・高速の放銃
東1局。
たろうのリーチにビシバシと要らない牌をツモ切っていく寿人だったが、このまでも燃えないゴミを捨てる主婦と同じテンションで捨てていくと…
たろうの3900(リーチ・ピンフ・赤)にストライク。
(赤で放銃して3900だなんてツイてるぜ… たろうさん調子悪いんじゃないの?)
くらい思っていそうだ。それにしてもあまりに早い決断。
たろうや松本ももともと打牌速度の速い打ち手だが、亜樹までが釣られて速くなっている感がある。
座して死を待つよりも
東2局、アガったたろうが親のリーチを受けた終盤。
亜樹(対面)から打たれたドラをポンするか。
ポンすればたしかにマンガンテンパイだが、無筋のが出ていってしまう。
VS親(しかも亜樹)、あと2巡、一応トップ目… スルーする要素がたろうの頭をかすめるが、たろうの腹は決まっていた。