伊達の当たり牌を重ねた近藤。
“凌いだ”
誰もがそう思ったのもつかの間、
背後から瑠美が、近藤の喉元に刃を突きつけていた。
少考ののちに待ちはを選択。をカンしているので、イーペーコー赤赤でも満貫だ。
近藤が持ってきたのは、
自身3枚目のだった。
こんなことがあるのだろうか。
テンパイをキープするためには、を切るほかない。
1ヶ月ぶりの復帰戦に、こんな牌のめぐり合わせがあるなんて。
河を見ながら考える近藤。
近藤は、
近藤誠一は、
を打たなかった…!
を切って回ったのだ。
また、伊達がを切ってから堀は手替わりをしていないので、は堀にリャンメンでは当たらない。堀は3巡目にを切っているので、からのシャンポン固定も薄いと考えての打だった。
近藤誠一は、リーチにも仕掛けにも、そしてダマテンにも放銃することなく回り切ったのだった。
近藤のスーパープレーに騒然とするなかで、
4枚目のをアッサリと掴んだのは堀だった。
手牌4センチの堀は、
テンパイを崩してを止めた!!
これもまた凄まじい一打だ。理由としては、
まず、そもそもが伊達に通っていない。中筋にはなっているが、カンチャンを構成するとも場にほとんど見えていない。シャンポン待ちも含めて、が当たる可能性はそれなりに残っているという判断だろう。
また、いくらドラポンをしているとはいえ、伊達の現物でもないフリテンの2枚の待ちでは、このまま押し続けても勝算が低い、というのもあるだろう。
ならばを持っての現物2枚を切っている間に、周りを引いてのテンパイ復活、というルートを見据えていたのではないだろうか。
さらに、瑠美に関しては打時の小考からソウズの上ブロックがあることを読んでいたのだろうと思う。
そもそも、カンをしている瑠美がリーチをしていないことから、テンパイだと読める可能性は決して高くないだろう。役牌ももう残ってない。
しかし、を切っていて4枚目のが手から出てきたとなると、未完成ターツならからの打は
パターンとして消去しきれない。
合わせ技で放銃回避を決めた、こちらも神打牌だ。
近藤だけが見ることの出来る景色。
堀だけが取ることの出来る選択。
選手の数だけオリジナルの打牌があり、Mリーグは
そんな美しいシーンを見せてくれる。
素晴らしい時代に、私たちは生きていることを実感する瞬間だった。
感動している間にも、試合は進んでいく。
堀が次にツモってきたのは、
だった。これは伊達にも瑠美にも現物だ。
堀は、
ここでプッシュ!!
が早くてを切っている瑠美には、めったに当たらない。待ちなら、3枚残っていて合わせられていない現物待ち。
一転して堀は、腹をくくって勝負に出た。
4人が作り上げた芸術の一局。
アガリという最後のワン・ピースを埋めたのは、