狂気の沙汰ほど面白い…!神の一打が飛び交う極上の半荘を制するのは…誰だ!【Mリーグ2022-23観戦記1/12】担当記者:ゆうせー

伊達の当たり牌を重ねた近藤。

“凌いだ”

誰もがそう思ったのもつかの間、

背後から瑠美が、近藤の喉元に刃を突きつけていた。

少考ののちに待ちは【6ソウ】を選択。【1ピン】をカンしているので、イーペーコー赤赤でも満貫だ。

近藤が持ってきたのは、

自身3枚目の【6ソウ】だった。

こんなことがあるのだろうか。

テンパイをキープするためには、【6ソウ】を切るほかない。

1ヶ月ぶりの復帰戦に、こんな牌のめぐり合わせがあるなんて。

河を見ながら考える近藤。

近藤は、

近藤誠一は、

【6ソウ】を打たなかった…!

【2ソウ】を切って回ったのだ。


【6ソウ】は下家の堀に通っていない。

また、伊達が【5ソウ】を切ってから堀は手替わりをしていないので、【2ソウ】は堀にリャンメンでは当たらない。堀は3巡目に【1ソウ】を切っているので、【1ソウ】【2ソウ】【2ソウ】からのシャンポン固定も薄いと考えての打【2ソウ】だった。

近藤誠一は、リーチにも仕掛けにも、そしてダマテンにも放銃することなく回り切ったのだった。

近藤のスーパープレーに騒然とするなかで、

4枚目の【6ソウ】をアッサリと掴んだのは堀だった。

手牌4センチの堀は、

テンパイを崩して【6ソウ】を止めた!!

これもまた凄まじい一打だ。理由としては、

まず、そもそも【6ソウ】が伊達に通っていない。中筋にはなっているが、カンチャンを構成する【5ソウ】【7ソウ】とも場にほとんど見えていない。シャンポン待ちも含めて、【6ソウ】が当たる可能性はそれなりに残っているという判断だろう。

また、いくらドラポンをしているとはいえ、伊達の現物でもないフリテンの【4ソウ】2枚の待ちでは、このまま押し続けても勝算が低い、というのもあるだろう。
ならば【6ソウ】を持って【2ソウ】【3ソウ】の現物2枚を切っている間に、【6ソウ】周りを引いてのテンパイ復活、というルートを見据えていたのではないだろうか。

さらに、瑠美に関しては打【9ソウ】時の小考からソウズの上ブロックがあることを読んでいたのだろうと思う。
そもそも、【1ピン】カンをしている瑠美がリーチをしていないことから、テンパイだと読める可能性は決して高くないだろう。役牌ももう残ってない。
しかし、【7ソウ】を切っていて4枚目の【9ソウ】が手から出てきたとなると、未完成ターツなら【赤5ソウ】【7ソウ】【9ソウ】からの打【9ソウ】
パターンとして消去しきれない。

合わせ技で放銃回避を決めた、こちらも神打牌だ。

近藤だけが見ることの出来る景色。

堀だけが取ることの出来る選択。

選手の数だけオリジナルの打牌があり、Mリーグは

そんな美しいシーンを見せてくれる。

素晴らしい時代に、私たちは生きていることを実感する瞬間だった。

感動している間にも、試合は進んでいく。

堀が次にツモってきたのは、

【3ソウ】だった。これは伊達にも瑠美にも現物だ。

堀は、

ここで【4ソウ】プッシュ!!

【3ソウ】が早くて【7ソウ】を切っている瑠美には、めったに当たらない。【5ソウ】待ちなら、3枚残っていて合わせられていない現物待ち。

一転して堀は、腹をくくって勝負に出た。

4人が作り上げた芸術の一局。

アガリという最後のワン・ピースを埋めたのは、

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