を押したなら、だって押す。結果は寿人に満貫の放銃となったが、それは意志を伴った失点だった。
それでも、亜樹は亜樹らしく
この試合は、4者合わせて18回ものリーチがかかる、激しい打ち合いとなった。東3局は、3軒目のリーチに踏み込んだ内川が、山に数少ないアガリ牌を一発でツモってハネ満。
東4局1本場では、親の茅森がこちらも一発ツモで満貫。
流局を2局挟んで迎えた南2局4本場は、2軒リーチに押し切った茅森がホンイツ赤の満貫をツモ。亜樹のリードは、ツモによってジリジリと削られていく。
ただ、この局は亜樹に一つ選択があった。道中、チートイツのテンパイをしていたが、を引いたところで撤退。リーチに全く通っておらず、さらに下家の内川がマンズの一色手模様で、切るほどの価値はないという判断。この辺りは、守備意識の高い亜樹らしい判断だった。
迎えた南3局は、と役牌2つにドラがトイツという手をもらい、1巡目からを仕掛ける。
をポン、さらにを自力で暗刻にしてテンパイ。
親番で打点の見える1シャンテンだった寿人から打ち出され、満貫の出アガリ。
リードを広げた亜樹が、久しぶりのトップで対局場を赤く染めた。
全16局中アガリが生まれたのが12局、その2/3に及ぶ8回のアガリが満貫以上という、非常に派手な打ち合いとなった一戦。そのなかで見せた亜樹の戦いからは、持ち前の守備意識の高さに加え、押すべき牌をしっかりと押す芯の強さが感じられた。
勝利者インタビューの最後には、YouTubeで約束したという「山ポーズ」を披露。ある意味で、Mリーグではこれまであまり見られなかった亜樹の一面が垣間見えた試合だった。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。