もどかしい。
しかし、今はツモを信じて待つほかない。
高宮は、
戦えるところまで手を育てていた。
123三色やタンヤオを見ながら、場に1枚見えているを切ることで、裏目のツモを極小枚数におさえた。
このは親の現物。見た目の印象よりも強気の一打である。勝負どころで腹をくくっているのが伝わってくる。
次の巡目、勝又の手から虎の子の安全牌、が放たれた。
ツモってきた牌は、
だった。役アリのイーシャンテンだ。
さらに、
次の手番でドラを引き入れる!
危険度、待ちへの布石、全員がないしを切っていることからのへの色気、諸々を考慮しつつを対面に合わせ打つ。
そして、
見事テンパイ!
勝又は、
流れるようにを縦に置いた。
ダマテンだ。
今は、3900は4200の出アガリでも頭一つ抜け出すことが出来る点差である。
ドラそばの待ちでリーチをかけることで、アガリ率が低下するのを嫌った格好だ。
たしかに、が3枚見えているここは、ダマテンならこぼれてくる可能性が高い。
何より素晴らしいのは、
配牌からここまで、一連の打牌で勝又のリズムが全然ブレないことだ。
僅差の勝負でも揺るぎない選択と自信。まさに、
“動かざること山のごとし”
である。
他三者は、
瀬戸熊がイーシャンテン。
魚谷も依然イーシャンテン。
高宮も、
を引いてイーシャンテンに。
ん? は勝又のアガリ牌だ! を切っているうえ、が2枚見えなので、は使いにくい。
高宮は、
を切った!
自身がを切っていてフリテン含みだったこともあるが、が見えている情報からを狙う意図もあったのだろう。
勝又はツモれず。
「リーチ」
!!!
声の主は、
瀬戸熊だ!
三色は崩れてしまったが、ツモれば2着まで浮上出来るテンパイだ。
魚谷は、
進まない。苦しい時間が長すぎる。
高宮は、
追いついた!
狙い通りのツモだ!