ハイテイの悲劇
日向藍子、
運命を変えてしまった
痛恨の選択
文・江嵜晋之介【火曜担当ライター】2021年11月23日
第2回戦
東家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:丸山奏子(赤坂ドリブンズ)
西家:二階堂亜樹(EX風林火山)
北家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
どうしてこうなった…?
東1局、日向の手牌。
これが配牌・序盤の手牌ならテンションも上がるところだが、残念なことに最後のツモでなおかつハイテイだ。
テンパイではない日向はもっとも他家に通りそうな牌を一枚切らなくてはいけない。
しかし、この局。
南家の丸山がドラのをポンしてカン待ち。
そして東家の滝沢がなんと最終手番でツモ切りリーチを敢行! 待ちはカン待ち。
2件のリーチに対して、鳴いている丸山は無筋を切っており降りていない。つまり日向は3人に対して通る牌を切らなければいけない。
ここでもう手牌を見てみよう。
お分かりだろうか。
共有の安全牌が一枚もないのだ。
ドラ3の丸山、その丸山に対してリーチをかけてきた亜樹、そして親リーチの滝沢。
ハイテイなので、誰に放銃したとしても8,000点クラスの失点になることは確実だ。
日向は今シーズン恵まれない展開が多く、現在個人成績31位に留まっている。
1回戦目の白鳥のトップに続き、プラスをチームに持って帰りたいところだが、開始早々のピンチ。
どうしてこうなった…。
序盤はむしろ日向が主導権を握っていた。こんな展開になるとは、見ていた誰もが想像し得なかったのではないだろうか?
だが序盤のある選択から徐々に歯車が狂い始めたように見える。
話を東1局の配牌まで戻そう。
日向の配牌。カンチャン2つ残りではあるもののイーシャンテン。
タンヤオに振り変われば打点も十分な手だ。まず先手は取れそうに見える。
4巡目の手牌。前巡にドラのを引き抱えたところ。
東を鳴かれるのは嫌だが、マンズが横に伸びれば両面を作りつつ平和・タンヤオと打点もアップするためここはを早めに処理。
愚形ターツを解消しつつ、タンピン・一盃口うまくいけば二盃口まで狙うことができる勝負手だ。
打牌選択の候補はか、まだ序盤なので引きを考慮して打がマジョリティーだろう。
同じカンチャンの・と比べて、を打っておけばタンヤオが確定するので鳴き仕掛けも選択することができ、引きでリャンカン・両面の形、引きでシャンポンの受け入れを増やしつつ、周りの両面変化も狙うことができる。
だが、日向が選んだのはだった。
一応・引きから二盃口はまだ狙えるものの、あえてタンヤオを消す選択。
この選択、一番の要因はドラのをポンした丸山の河にがあることだろう。
ドラ3の丸山の河はどうやっても注目を集める。
滝沢・亜樹のどちらかが1牌だけ勝負するとなったとき、丸山の現物の方が切られやすくなると見越して、あえて打点の下がる選択をする。